“了”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
しま47.0%
おわ18.9%
9.8%
おお5.9%
をは4.7%
3.0%
ちま1.7%
おほ1.0%
さと0.9%
しも0.9%
りょう0.9%
じま0.5%
いけ0.4%
わか0.4%
おは0.3%
0.3%
ヲフ0.3%
ちゃ0.3%
れう0.3%
オワ0.3%
 しま0.1%
あらかじ0.1%
おう0.1%
おえ0.1%
おわり0.1%
しまい0.1%
しまっ0.1%
しまひ0.1%
しまほ0.1%
つい0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
をはり0.1%
をはん0.1%
をわ0.1%
ハテ0.1%
0.1%
0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
るとぞつとする。こけのある鉛色なまりいろ生物いきもののやうに、まへにそれがうごいてゐる。あゝつてしまひたい。此手このてさはつたところいまはしい。
おわっても、それを読みはじめたときから私の胸を一ぱいにさせていた憤懣ふんまんに近いものはなかなか消え去るようには見えなかった。
菜穂子 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
窓ぎわに椅子をずらしてそんな思い出にふけっていた私は、そのとき急に、いまやっと食事をえ、そのままベッドの上に起きながら
風立ちぬ (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
しかし、駆黴剤くばいざい浸染しみはかくしおおせぬ素姓をいう……、いまこの暗黒街をべる大顔役ボス二人が、折竹になに事を切りだすのだろう。
人外魔境:08 遊魂境 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
一向ひたぶるしんを労し、思を費して、日夜これをのぶるにいとまあらぬ貫一は、肉痩にくやせ、骨立ち、色疲れて、宛然さながら死水しすいなどのやうに沈鬱しをはんぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
女王樣ぢよわうさま論據ろんきようでした、何事なにごとにせよ、まつた時間じかんえうせずしてうせられなかつたなら、所有あらゆる周圍しうゐたれでもを死刑しけいしよする。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
で、非常な乱暴をやっちまった。こうなると人間は獣的嗜慾アニマルアペタイトだけだから、喰うか、飲むか、女でももてあそぶか、そんな事よりしかしない。
予が半生の懺悔 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
が、再び学窓に其人はあらはれなかつた。山間水涯さんかんすゐがいに姓名を埋めて、平凡人となりおほするつもりに料簡をつけたのであらう。
観画談 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
亨一の歸りを出迎へたとき、その推想があたつて居ることをさとつた。そして亨一の心中を想ひやつて氣の毒に思ふ心のみが先に立つて居た。
計画 (旧字旧仮名) / 平出修(著)
不断ふだんから人様の合力で飯を喰ってるものにさせるが宜い、長いようでも日脚は早い、こんなことをいってると刀豆が段々虫に喰われてしもうようだ、やれやれ。
厄払い (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
米国べいこくの太平洋艦隊は、今や大西洋艦隊の廻航を待ちてこれに合せんとし、の主力艦は既に布哇ハワイパール湾に集結をりょうしたりとの報あり!」
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
結局高輪の方で検視して葬ったんだそうだけれども、身許などまるで分らずじまいさ。そんな事で行方不明なんて人が世間にザラにあるんだね
支倉事件 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
お浦「オット爾はいけません、此の鍵は私が拾ったのだから、真の持主が現われるまで私が預ります、誰にも渡しません」
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
晃 むむ、ごとに見れば星でもわかる……ちょうど丑満うしみつ……そうだろう。(と昂然こうぜんとして鐘を凝視し)山沢、僕はこの鐘をくまいと思う。どうだ。
夜叉ヶ池 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
既に文書したゝおはりし篠田は、今や聖書ひもときて、就寝前の祈祷きたうを捧げんとしつゝありしなり
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
「お前これを見たな!」と叫けんで「し私にも覚悟がある、覚悟がある」と怒鳴りながらそのまま抽斗をめて錠を卸し、非常な剣幕で外面そとに飛び出してまった。
酒中日記 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
吾子ワコよ。吾子のヲフせなんだアラび心で、吾子よりももつと、わるい猛び心を持つた者の、大和に来向うのを、待ち押え、へ防いで居ろ、と仰せられた。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
「まあ、自分の勝手なお饒舌しゃべりばかりしていて、おかん全然すっかりちゃった。一寸ちょっと直して参りましょう。」
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
〔譯〕凡そ事に眞是非しんぜひ有り、假是非かぜひ有り。假是非とは、通俗つうぞくの可否する所を謂ふ。年わかく未だ學ばずして、先づ假是非をれうし、後におよんで眞是非を得んと欲するも、亦入りやすからず。
後、コノ下総原ニ一ボウオクト田ヲ獲、年経ルママ思エドモ、山河ヲ隔テ、又消息ヲ絶ツノ今、カエッテ子ノサチニ如何アルベシナド思イ、イツシカ歳月ノ流レニマカセオワンヌ。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
兄が英語をやって居たから家では少しずつ教えられたけれど、教える兄は癇癪持かんしゃくもち、教わる僕は大嫌いと来て居るから到底とうてい長く続くはずもなく、ナショナルの二位でおしまいになって しまったが
落第 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
この様な色々な差異が次第に成長して何時か完全な一つのものとなるの日が来るといふ確信を私が抱いてゐる者であるといふことをあらかじめ含んで置いて頂きたい。
婦人解放の悲劇 (新字旧仮名) / エマ・ゴールドマン(著)
彼女の魂はまったく夫の魂となりおうせて、マリユスの考えの中で影におおわれてるものは皆、彼女の考えの中でも暗くなるのであった。
うまく行かなけりゃ途中で銭をつかって始末におえねい道楽者になってしまうし、旨く行って少しでも出世するとモー国の事を忘れてしまって以上たっても帰らない。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
此の夏のおわりから二月あまり旅に出ていた絵師の露月が、つい二三日前江戸へ帰ったので、今日しも久々の友垣を招き、旅日記を聴こうためのあるじもうけをしたのでした。
艶容万年若衆 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
七兵衛——この船頭ばかりは、仕事のしまいにも早船をここへつないで戻りはせぬ。
葛飾砂子 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
好い講演が始まってそこでもここでも聴衆が水を打ったようにシーンとしてしまった時はどんなに彼も我を忘れて若い心に興奮を覚えたろう……
桜の実の熟する時 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
銀さんと私とは姉の家から同じ小學校へ通ひましたが一年ばかり經つうちに銀さんの方は學校を退いてしまひました。
おたあちやんは、三又土筆つくしのことをお母さんに話してしまほふかと思ひましたが、それでは却つてお母さんに心配をかけるだらうと、一人で胸をいためて居りました。
虹の橋 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
顔面 ついことならじ。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
我は此獄室をもて金殿玉楼と思ひしつゝ、たのし娑婆しやば世界と歓呼しつゝ、五十年の生涯、誠に安逸に過ぐるなるべし。
我牢獄 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
芝居がねていったん茶屋へ引き上げる時、お延はそこでまた夫人に会う事を恐れた。しかし会ってもう少し突ッ込んで見たいような気もした。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
おれは、此世に居なかつたと同前の人間になつて、現し身の人間どもには忘れされて居るのだ。憐みのないおつかさま。おまへさまは、おれの妻の、おれに殉死ともじにするのを、見殺しになされた。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
ここに於てか電火ひらめき、万雷はためき、人類に対する痛罵つうばあたか薬綫やくせんの爆発する如く、所謂いはゆる「不感無覚」の墻壁しようへきを破りをはんぬ。
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
晩餐をわりてみんく、少焉しばらくありて眼覚めさむれば何ぞはからん、全身あめうるをうて水中におぼれしが如し、しうすでに早くむ、皆わらつて曰く君の熟睡うらやむにへたりと、之より雨益はなはだしく炉辺ろへんながれて河をなし
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
単に叙述文に過ぎないものとなりハテるので、詩歌たる資格は、形式美を有することばのすぐれた方が、まだしも多いわけである。
和歌批判の範疇 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
おれは、此世に居なかつたと同前の人間になつて、ウツし身の人間どもには、忘れされて居るのだ。憐みのないおつかさま。おまへさまは、おれの妻の、おれに殉死トモジにするのを、見殺しになされた。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫釈迢空(著)
歌いへた姥は、大息をついて、ぐつたりした。其から暫らく、山のそよぎ、川瀬の響きばかりが、耳についた。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)