“しま”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:シマ
語句割合
20.4%
18.0%
11.2%
9.0%
7.7%
仕舞5.8%
4.9%
失敗3.5%
3.4%
3.1%
2.4%
1.6%
揣摩1.5%
1.0%
失策0.8%
志摩0.7%
0.5%
四万0.4%
0.3%
柳条0.2%
山斎0.2%
林泉0.2%
0.2%
0.2%
土地0.2%
0.2%
四萬0.1%
0.1%
島嶼0.1%
0.1%
緦麻0.1%
代地0.1%
ヶ島0.1%
三宅島0.1%
仕廻0.1%
仕損0.1%
佃島0.1%
保存0.1%
保有0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
場所0.1%
失念0.1%
始末0.1%
孤島0.1%
0.1%
志万0.1%
0.1%
新佃島0.1%
0.1%
条痕0.1%
条白0.1%
社界0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
花街0.1%
詩魔0.1%
0.1%
0.1%
須臾0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
大抵は無愛想なような、人の善さそうな爺さん連で、若い顔はまれであるが、彼等は日が暮れると、各自の箱に錠を卸して帰ってしまう。
愛書癖 (新字新仮名) / 辰野隆(著)
つるつる坊主の蒼白そうはくの顔に、小さなしまの絹の着物を着せられて、ぐったりよこたわっている姿は文楽か何かの陰惨な人形のようであった。
廃墟から (新字新仮名) / 原民喜(著)
父も母も驚いて、大騒ぎして、薬をのんで、はきだしてしまえと言って、すすめたが、むっつりした兵さんは、やっぱり我慢していた。
あまり者 (新字新仮名) / 徳永直(著)
私は妻という(しての)気持から、あなたとしては極めて自然に云われた数言を、耳へしみこませ、わが懐の奥ふかくしまう心持です。
四国しこくしまわたって、うみばたのむら托鉢たくはつしてあるいているうちに、ある日いつどこでみち間違まちがえたか、山の中へまよんでしまいました。
人馬 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
「吸血鬼事件も、これでお仕舞しまいになるでしょうな。どうも訳が分らないうちにお仕舞いになって、すこし惜しい気もするけれど」
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
白いきれが、くるくると小さくなり、左右から、きりりとしまって、細くなって、その前髪を富士形に分けるほど、鼻筋がすっと通る。
沼夫人 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
失敗しまッた」と口へ出して後悔しておくせに赤面。「今にお袋が帰ッて来る。『慈母さんこれこれの次第……』失敗しまッた、失策しくじッた」
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
と、右の方から黒い大きな戸が音を立ててしまって来た。彼はしかたなしに足をめたが、その戸はみるみる左の方へ往ってしまった。
女の首 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
さらでだに虫の音も絶え果てた冬近い夜のさびしさに、まだ宵ながら家々の戸がピタリとしまつて、通行とほる人もなく、話声さへ洩れぬ。
赤痢 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
義雄の方でもそう言うし、貴様も当分謹慎していたいと言うものなら、俺も今度は見合せて帰る。まあ、この手紙はそっちへしまって置け
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「しかし友田屋、これは、少し無理かもしれないがね。人魚も骨肉相姦も、当分のうちは、神話の中にしまっておいたら、どんなものだろう」
人魚謎お岩殺し (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
宇内うだいの大勢を揣摩しまし、欧洲の活局を洞観するの烱眼けいがんに到りては、その同時の諸家、彼に及ぶものすくなし、いわんや松陰においてをや。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
ピータ なんぢゃ、けんしまうて洒落しゃれけ? よし! すれば、名劍めいけんしまうて名洒落めいじゃれ打挫うちひしいでくれう。さ、をとこらしう試合しあうてい。
失策しまった——と思ってふりかえると、氏は書き終えたらしい手紙を四角な封筒に入れ、その端の糊を嘗め嘗め封をしているところだった。
深夜の市長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
吹田村すゐたむら氏神うぢがみの神主をしてゐる、平八郎の叔父宮脇志摩しまの所へ捕手とりての向つたのは翌二十日で、宮脇は切腹して溜池ためいけに飛び込んだ。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
わたしが望んだごとく、われわれのうしろの氷面が破れて、細い水のしまが現われて来た。それが遠く全体にわたって拡がっている。
警報隊長の四万しま中尉は、兵員の間に交って、いつもは東京全市に正午の時刻を報せる大サイレンの真下ましたに立っていた。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
今日は浦人も城下に出でず、城下よりしまへ渡る者もなければ渡舟おろし頼みに来る者もなし。夜に入りて波ますます狂い波止場の崩れしかと怪しまるる音せり。
源おじ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
那処あすこに遠くほん小楊枝こようじほどの棒が見えませう、あれが旗なので、浅黄あさぎに赤い柳条しまの模様まで昭然はつきり見えて、さうして旗竿はたさをさきとび宿とまつてゐるが手に取るやう
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
卯の花は白く、鴨頭草つきくさは青く、かきつばたはうすい紫、あるひは青に紅の交りあつた色かとおもはれる。亡くなつたいもと二人で作つた山斎しまは黒くさへ見えるほど深い緑である。
或る国のこよみ (新字旧仮名) / 片山広子(著)
石多き林泉しまのたをりにつく鴨の寄り寄りにさびしおのがじしをる
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
却説さて兎と熟兎は物の食べようを異にす、たとえば蕪菁かぶくらうるに兎や鼠は皮をいで地に残し身のみ食うる、熟兎は皮も身も食べてしまう。
太空そらは一片の雲も宿とどめないが黒味わたッて、廿四日の月は未だのぼらず、霊あるが如き星のきらめきは、仰げば身もしまるほどである。
里の今昔 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
……とりわけ柳橋がお好きで始終あの土地しまへ行っておいでゞした。——西巻さんはその方の大のお気に入り。……お側去そばさらずの恰好でしたから柳橋で西巻さんを知らなかったらそれこそモグリ。
春泥 (新字新仮名) / 久保田万太郎(著)
以て願へと雖も聞入きゝいれさけびける故やが門外もんそとへ送り出すにぞお梅は腰掛こしかけにて暫時しばし休息きうそくし又々訴訟所へどつさりすわり以前の如く申故又々送り出され最早もはや夜に入り門もしまりければ是非なく腰掛こしかけに夜を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
もう三四里を歩いて四萬しま温泉へ廻らうか、それとも直ぐ中之條へ出て伊香保まで延ばさうかと二人していろ/\に迷つたが、つひに四萬へ行くことにきめて、晝飯を終るとすぐまた草鞋を穿いた。
みなかみ紀行 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
まず引掛ひっかけの昼夜帯が一つ鳴ってしまった姿。わざと短い煙管きせるで、真新しい銅壺どうこに並んで、立膝で吹かしながら、雪の素顔で、くるわをちらつく影法師を見て思出したか。
第二菎蒻本 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
自分は星斗せいとにぎはしき空をば遠く仰ぎながら、心のうちには今日よりして四十幾日、長い/\船路ふなぢの果によこたはるおそろしい島嶼しまの事を思浮おもひうかべた。自分はどうしてむざ/\巴里パリーを去ることが出来たのであらう。
黄昏の地中海 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
金剛石ダイヤモンドだって、高々人間が大事がってしまっておくもんだよ、よくかたまりだね。金と灰吹はたまるほど汚いというが、その宝を盗んで来るのは、塵芥溜ごみためから食べ荒しをほじくり出す犬と同一おんなじだね、小汚ない。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
重きは斬衰ざんさいの親から、輕きは緦麻しまの親に至るまで、苟くも喪服を着くべき關係に在る者は、法律上必ず特別の規定を設けて、一言一行と雖ども、その尊卑長幼の關係如何に應じて
……両人は、辰の刻、お仮屋前にてお出むかいいたし、お鷹狩のあいだに代地しまならびに代のかこいの検証をすませておく。
顎十郎捕物帳:09 丹頂の鶴 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
いずれも四方にひろいほりをめぐらして隣接地と隔離させ、代地しま陸地くがとの交通は、御飼場舟という特別の小舟で時刻をさだめて行うなど、なかなか厳重をきわめたものであった。
顎十郎捕物帳:09 丹頂の鶴 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
いちばんの重罪は、文観僧正で、これは、平家のむかし俊寛しゅんかんがやられた鬼界きかいヶ島しま——つまり硫黄島いおうとう流しときまった。
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
三宅島しまにいたころのことを思や、これでも極楽ごくらく、下らねえ欲をかいて、変なことから、身性みしょうれでもすると、とんだことだと思って、つつしんではいるものの、精進しょうじんぐらしも、これで三年
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
仕廻しまつて休むがいゝといふに下男彌助何さま然樣さやう致さんと早々に見世をかたつけいま戸をたてんとする處へ見上みあぐる如き大兵の武士てつ禪杖ぜんぢやうを引さげつか/\と這入はひり來り是々若いもの酒を一升かんを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
男は仕損しまったと心得て、だいぶあったかになりましたと気を換えて見たが、それでもげんが見えぬので、鯉がの方へ移ろうとしたのである。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
佃島つくだじまの家にいることがすくなくなって、あらたに、母の住むようになった、鶴見つるみの丘の方のうちにいたし、佃島しまでは出入りに不便でもあるので、小石川に大きな邸をもって
朱絃舎浜子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
その翌日あくるひもやっぱり今の通りに液を沸立てて栗へかけて一週間毎日そうしてそのまま保存しまっておくと一年過ぎても味が変らない。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
パリス おゝ、かりそめにも勤行ごんぎゃうのおさまたげをしてはならぬ!……ヂュリエットどの、木曜日もくえうびにはあさはやうおむかへきませうぜ。それまでは、おさらば。このきよ接吻キッス保有しまっておいてくだされ。
加之のみならず年老としとつた両親と、若い妻と、妹と、生れた許りの女児をんなのこと、それに渠を合せて六人の家族は、いかに生活費のかからぬ片田舎とは言へ、又、倹約家しまりやの母がいかにしまつてみても
足跡 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
年老としとつた兩親と、若い妻と、妹と、生れた許りの女兒と、それに渠を合せて六人の家族は、いかに生活費のかゝらぬ片田舍とは言へ、又、儉約家の母親がいかにしまつてみても
足跡 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
しまっていたので、高島田にさした平打を抜いて、蓮葉はすはに、はらんばいになったが、絹蒲団にもつかえたか、動きが悪いから、するりと起き上って、こう膝を立てていましたッてね。
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
下谷の旦那はなかなかしまっていらっしゃる方で、月々の極めた物のほかには一文も余計に下さらないもんですから、この寒空にむかってほんとうに困ってしまうと
半七捕物帳:10 広重と河獺 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
なんとなく、「ジャックと豆の木」の物語に出て来る天空てんくうおにしまにまでとどく豆蔓まめづるの化物のように思われた。螺旋階段の下には事務室へ通ずる入口の外にも一つ廊下に通ずる入口があった。
階段 (新字新仮名) / 海野十三(著)
うまのやうに乘上のりあがつたくるまうへまへに、角柱かくばしら大門おほもんに、銅板どうばんがくつて、若葉町わかばちやうあさひくるわてかゝげた、寂然しんとした、あかるい場所しまたからである。
飯坂ゆき (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
何となく燃えしぶった白けた心持で、其儘別れて始末しまったという、別れる迄の小説的な事実。
大正女流俳句の近代的特色 (新字新仮名) / 杉田久女(著)
それからあつときにはいへうしろながれて清流せいりう身體からだきよめ、すゞしいときには留守居るすゐ水兵すいへい日出雄少年ひでをせうねん凖備ようゐしてれるこの孤島しまには不相應ふさうおう奇麗きれい浴湯よくたうはいつて、やがたのしい夕食ゆふしよくをはると
酒亭三河屋は弁才天べんざいてんを安置したしまの南岸にあった。維新以前には嶼の周囲に酒亭がひさしを接していたのであるが、維新の後ことごとく取払われてひとり三河屋のみが酒帘しゅれんを掲げることを許された。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
肌がぴいんとしまって来た気がする。自然な温かい気持ちになり、モウレツに激しい恋をしてみたくなる。いろんな記憶の底に、男の思い出がちらちらとする。
新版 放浪記 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
木橋もくきょう相生橋あいおいばしに潮がさしてくると、座敷ごと浮きあがって見えて、この家だけが、新佃島しま全体ででもあるような感じに、庭の芝草までが青んで生々してくる、大川口おおかわぐちの水ぎわに近い家の初夏だった。
朱絃舎浜子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
無限てふことのかしこさ夢さめてなほしまらくを心慄へゐる
和歌でない歌 (旧字旧仮名) / 中島敦(著)
男の顔は、白い条痕しまをなしている間に、赤い溝が交錯し、額に黒ずんだひだが灼きついていて二タ目と見られぬ物凄い形相だった。
暗中の接吻 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
太い雨が竿さおあたる、水面は水煙を立てて雨がねる、見あげると雨の足が山の絶頂から白い糸のように長く条白しまを立てて落ちるのです。
女難 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
二人の中がその社界しまぢゆうにおつぴらになつて見ると、女は意地にも男の心を引きつけて置かなけりやならない。それで居て女はちよいちよい浮気をした。
瘢痕 (新字旧仮名) / 平出修(著)
兎に角戀の惱みをゑがいた新刊小説を讀むと、自分も急にさう云ふ事が書いて見たく、書いたなら幾分か心の慰めになるだらうと思つて、私はしまつて置いた手紙を再讀し
歓楽 (旧字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
までたかくはないが、骨太ほねぶと肉附にくづきい、丸顏まるがほあたまおほきなひとまなじりながれ、はなたかくちしまり、柔和にうわなか威嚴ゐげんのある容貌かほつきで、生徒せいとしたしんでました。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
どの花街しまも哀れやいつ建つ草の波
艶色落語講談鑑賞 (新字新仮名) / 正岡容(著)
痩容そうようあに詩魔しまの為のみならんや。往昔自然主義新に興り、流俗の之に雷同するや、塵霧じんむしばしば高鳥を悲しましめ、泥沙でいさしきりに老龍を困しましむ。
「鏡花全集」目録開口 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
〔評〕十年のえき、私學校の彈藥製造所だんやくせいざうじよかすむ。南洲時に兎を大隈おほすみ山中にふ。之を聞いてにはかいろへて曰ふ、しまつたと。爾後じご肥後日向に轉戰して、神色夷然いぜんたり。
「あがへるこころぐやと、早く来て見むとおもひて」(巻十五・三六二七)、「相見ては須臾しましく恋はぎむかとおもへど弥々いよよ恋ひまさりけり」(巻四・七五三)
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)