“容貌”のいろいろな読み方と例文
読み方(ふりがな)割合
ようぼう35.6%
きりょう31.7%
きりやう8.6%
かお3.1%
かおだち2.9%
ようばう2.6%
かおかたち2.4%
きりよう2.1%
おもばせ1.3%
みめ1.3%
(他:32)8.4%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
“容貌”を含む作品のジャンル比率
文学 > 日本文学 > 小説 物語9.2%
文学 > 日本文学 > 評論 エッセイ 随筆0.7%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
私は夢中に町の中を歩きながら、自分の室にじっすわっている彼の容貌ようぼうを始終眼の前にえがき出しました。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
その日、はじめて彼も教員室へ入ったが、そこにはいろんな年配のさまざまの容貌ようぼうをした教師たちが絶えず出入していた。
冬日記 (新字新仮名) / 原民喜(著)
浪人ながらも武士の子で、容貌きりょうが美しくて、行儀が好くて、親孝行であるという以上、嫁として申し分のない娘である。
半七捕物帳:49 大阪屋花鳥 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「その宝はそなたの容貌きりょうじゃ、世の万人に立ち越えたその美くしさじゃ、かてて加えてそなたはそのように若いのだからの」
艶容万年若衆 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
これはお冬にもして美しい容貌きりやうですが、何處か病身らしく、日蔭の花のやうにたよりない娘です。年の頃は十八九。
年のころは廿一二、容貌きりやうはよし、姿は好し、氣前はよし、なにしろ入山形いりやまがたに二つ星のなか町張ちやうばりで……。
箕輪の心中 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
それに第一あんな事になろうとは思ってませんので容貌かおやその他のこまかな事は判らなかったで御座居ます
花束の虫 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
かれはふらふらと背後へ倒れかかると、その妻の手に抱かれた、かれの容貌かおは見る見るうちに蒼ざめて行った。
或る少女の死まで (新字新仮名) / 室生犀星(著)
世には妙な容貌かおだちの人もあればあるもので、泣いている時ですら見たところは笑っているとしか思われないものがあります。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
物腰のしおらしい、背のすらりとした、黒目勝の、つくれば粧るほど見勝みまさりのしそうな御容貌かおだち
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
『見給へ、容貌ようばうを。皮膚といひ、骨格といひ、別に其様な賤民らしいところが有るとも思はれないぢやないか。』
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
ある人は蓮太郎の人物を、ある人はその容貌ようばうを、ある人はその学識を、いづれも穢多の生れとは思はれないと言つて、どうしても虚言うそだと言張るのであつた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
そして珏がだんだん大きくなったところで、容貌かおかたちが人にすぐれているうえに、りこうで文章が上手であったから、玉はますますそれを可愛がった。
阿英 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
年は二十二三にして、扮装みなりからず、容貌かおかたちいたくやつれたり。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
すこ容貌きりよう自慢じまんかとおもへば小面こづらくいと蔭口かげぐちいふ朋輩はうばいもありけれど
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
このは東京広しといへども、山村の下女に成る物はあるまじ、感心なもの、美事みごとの心がけとめるもあれば、第一容貌きりようが申分なしだと
大つごもり (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
額広く、鼻隆く、眉すこし迫つて、容貌おもばせもなか/\立派な上に、温和な、善良な、且つ才智のある性質を好く表して居る。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
小泉の家に伝って、遠い祖先の慾望を見せるような、特色のある大きな鼻の形は、彼の容貌おもばせにもよく表れていた。
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
作「なにいやどころではない、貴様の心底を看抜みぬいての上だから、人は容貌みめよりたゞ心じゃ、何しろ命を助けてくれた恩人だから、否応なしで」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
晝貌は晝もあはれや容貌みめ清きをさなどちゐて草に坐りぬ
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
平次は改めて、この非凡の醜い女に訊ねました。容貌かほに自信のない三十女が、どんなに結構な諜者スパイの役目をするかは、平次もよく心得てをります。
樽野は今更のやうに大ちやんの容貌かほが祖父似であることを知つた。
鶴がゐた家 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
器量きりやういけれども何所どこともなしに愛嬌あいけうのない無人相ぶにんさう容貌かほつきで若
世辞屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
ニコヤカなお容貌かほつきと云ひ、えり二重ふタヘつてゐる様子やうすはそつくりだね、なにしろもうかみになつちまつてやうがない
七福神詣 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
ベアトリーチェは容貌かたちを變へき、思ふに比類たぐひなき威能ちからなやみ給ひし時にも、天かく暗くなりしなるべし 三四—三六
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
かくてピエートロ、容貌かたちの變るに劣らざるまでかはれる聲にて、續いて曰ふ 三七—三九
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
泥濘をよけつつ、それと、すれちがう時、小次郎は、簾のすき間から、チラと見えた麗人の白い容貌かんばせと黒髪に、胸が、どきっとした。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
芙蓉はもう返事もしない。ぐったりと鬣に顔をうつ伏せている。その容貌かんばせの白さはおののく白芙蓉びゃくふようの花そのままだった。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
容貌おもて、醜しとあれば疎み遠ざかり、あざみ笑ひ、少しの手柄あれば俄かにいつくしみ、へつらひ寄る、人情紙の如き世中よのなかに何の忠義、何の孝行かある。
白くれない (新字新仮名) / 夢野久作(著)
眼鏡越しに是方こちらを眺める青木の眼付の若々しさ、往時むかし可懐なつかしがる布施の容貌おもてあらわれた真実——いずれも原の身にとっては追懐おもいでの種であった。
並木 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
而して熟々つくづくと穏かな容貌かおつきが慕わしうなり、又自分も到底この先生のようではないけれど、やはり帰趨きすうなき、漂浪児であるという寂しいかんじになった。
波紋は静まって水はまたもとの鏡にかえった、私は俯伏して、自分ながら嫌気のするような容貌かおつきをもう一度映しなおして見た、岸に咲きみだれた藤袴ふじばかまの花が、私の影にそうて優しい姿を水に投げている。
駅夫日記 (新字新仮名) / 白柳秀湖(著)
背の婷乎すらりとした、髪は少し赤かつたが、若い時は十人並には見えたらうと思はれる容貌かほかたち
刑余の叔父 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
年齢としも違ふ、性質も違ふ、容貌かほかたちも違ふ。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
いざ雪ふらば降れ、風ふかば吹け、我が方寸ほうすんの海に波さわぎて、沖の釣舟つりぶねおもひも乱れんか、ぎたる空にかもめなく春日はるひのどかになりなん胸か、桜町が殿の容貌おもかげも今は飽くまで胸にうかべん。
軒もる月 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
我は友のゑみを帶びたる容貌おもざし背後うしろに、暗に富貴なる人々の卑吝ひりんあざける色をかくしたるかを疑ひぬ。
○「へえーうちに居たんだね、容貌おんなうごぜえやしたろうね、容貌おんなは」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
『……でも、お嬢様は、よもや御両親を苦境に捨てて、後は何うでもなれというお考えでは御座いますまい。口の巧い、容貌かおだちのい男に限って軽薄なもの。——永い行末ゆくすえに、御後悔をなされますなよ』
夕顔の門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
清浦奎吾きようらけいご氏は持前の容貌かほたちが、頭は尖つてゐるし、眼は小さし、余りどつとしないので、せめて態度やうすにでもしつかりしたところが無くつちやと、自分の社会的地位がのぼるに連れてそれをひどく気に病んだものだ。
と云うように、大業おおぎょうな事を云うから、小瀧も此の茂之助を金の有る人と思いますと、容貌こがらも余り悪くはなし、年齢としは三十三で温和おとなしやかな人ゆえ
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「あれでも仏さまか」と疑うほどの恐ろしいお容貌すがたの仏さまがあるのです。
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
「うん、そうよ、一時はな。……窩人窩人で城下の奴らが鬼のように恐れているその窩人の娘とあっては、ちょっと好奇心ものずきも起ころうというものだ。それに容貌そっぽだって相当踏める。変わった味だってあるだろう。当座のなぐさみにゃ持って来いだ。お前だってそう思うだろう」
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「何さ。為体の知れねえかさっかきだからのう、容貌そつぼう見識みしっとく分にゃ怪我はあるめえってことよ。うん、それよりゃあ彦、手前の種ってえのを蒸返し承わろうじゃねえか。」
仙「時に少し聞きたいが、今のさむれえ容貌なりかたちは何ういうのだえ」
女は容貌みめかたちも美しかったので、かかる才能と共に、輩下の部落の土民の間でめものにされた。ふた親にとっては自慢の総領娘となった。
富士 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)