“かおだち”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
容貌41.9%
顔立29.0%
顔容19.4%
面相3.2%
顔貌3.2%
顔質3.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
世には妙な容貌かおだちの人もあればあるもので、泣いている時ですら見たところは笑っているとしか思われないものがあります。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
特に「御所人形ごしょにんぎょう」とか「嵯峨人形さがにんぎょう」とか呼ばれるもので、昔からの技を守るものは出来が上等であります。顔立かおだちにも身形みなりにも型を守って乱しません。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
わたくしは又ぎよつとして振返ると、わたくしの左の方にならんでゐる十五六の娘——その顔容かおだちは今でもよく覚えてゐます。
私は急いで余所を向いて了ったから、くは、分らなかったが、何でも下女の話の通り細面ほそおもてで、蒼白い、淋しい面相かおだちの、い女だ……と思った。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
顔は度々合せるから漸く分ったが、く見ると、雀斑そばかすが有って、生際はえぎわに少し難が有る。髪も更少もすこし濃かったらと思われたが、併し何となく締りのあるキリッとした面相かおだちで、私は矢張やっぱりいと思った。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
主人公の顔貌かおだちが能面でもあるかのように上品すぎることと、その胆汁たんじゅうみだしたような黄色い皮膚と、そして三十女の婦人病を思わせるような眼隈めのくまくろずみぐらいなものであった。
赤耀館事件の真相 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「こういうと未練があるようでおかしいが、顔質かおだちは悪い方じゃありませんでした。眉毛まみえの濃い、時々八の字を寄せて人に物を云う癖のある」といったような言葉をぽつぽつ頭の中でおもい起しながら
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)