“矢張”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
やは31.5%
やはり24.9%
やっぱり11.0%
やっぱ10.8%
やつぱり10.8%
やつぱ7.7%
やツぱり0.9%
やッぱり0.7%
やっぱし0.5%
やッぱ0.5%
やツぱ0.5%
やつぱし0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「ぢやアぼくは帰るよ。もう………。」とふばかりで長吉ちやうきち矢張やは立止たちどまつてゐる。そのそでをおいとは軽くつかまへてたちまこびるやうに寄添よりそ
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
暁方あけがた目を覚すと霧が間近の木から木へ鼠色の幕を張り渡していた。夜中に焚火の煙だと思ったのは矢張やはりこの霧であったかも知れない。
秋の鬼怒沼 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
井戸辺いどばたに出ていたのを、女中が屋後うらに干物にったぽっちりのられたのだとサ。矢張やっぱり木戸が少しばかしいていたのだとサ」
竹の木戸 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
多「はい、有難うがんすけれども、とうに着ればハア破れやんすから、矢張やっぱり此の古襦袢の方が惜気おしげがなくってかえって働きようがんす」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
『先刻田圃で吹いた口笛は、あら何ぢや? 俗歌ぢやらう。後をけて来て見ると、矢張やつぱり口笛で密淫売ぢごくと合図をしてけつかる。……』
葬列 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
仕方しかたがない矢張やつぱわたし丸木橋まるきばしをばわたらずはなるまい、とゝさんもふみかへしておちてお仕舞しまいなされ、祖父おぢいさんもおなことであつたといふ
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
矢張やツぱりいままで歩行あるいてはゞひろいなだらかなはうまさしく本道ほんだう、あと二らずけばやまになつて、それからがたうげになるはず
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
其後そのご幾年いくねんって再び之を越えんとした時にも矢張やッぱりおそろしかったが、其時は酒の力をりて、半狂気はんきちがいになって、漸く此おそろしい線を踏越した。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
「父さんが帰っていらしったら、泉ちゃんや繁ちゃんまで眼に見えて違って来ましたよ——矢張やっぱし、親は親ですねえ」
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
唯相手のない恋で、相手を失って彷徨うろうろしている恋で、其本体は矢張やッぱり満足を求めて得ぬ性慾だ。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
『米の飯が嫌ひ……それア全く不思議だ。矢張やツぱり諸君の……銀行に居られる人か?』と誰れかゞ質問した。
一月一日 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
智恵子はそれに就いての自分の感想を可成なるべく顔に現さぬ様に努めて、『兎も角お返事はお上げなすつた方が可いわ。矢張やつぱし梅ちやんや新坊さんの為には……。』
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)