“彷徨”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
さまよ49.3%
ほうこう29.6%
うろつ8.8%
はうくわう2.6%
さまよい1.7%
さすら1.4%
ぶらつ1.2%
うろうろ0.9%
ぶらぶら0.7%
さまよひ0.5%
うろ/\0.5%
さま0.2%
うろ0.2%
うろつき0.2%
さすらい0.2%
さまよう0.2%
さまよふ0.2%
のそのそ0.2%
ふら/\0.2%
ぶら/\0.2%
ほッつき0.2%
まご/\0.2%
ホウコウ0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
彼はいま、不可抗と闘いながら、路傍を彷徨さまよっている。人が裁くか、神が裁かれるか——それこそ、人間の一番な壮烈な姿であろう。
地虫 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
とにかく彼はえたいの知れないまぼろしの中を彷徨ほうこうしたのちやっと正気しょうきを恢復した時には××胡同ことうの社宅にえた寝棺ねがんの中に横たわっていた。
馬の脚 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
同時にまた松山の狭い天地を出て初めて大きな都に出たという満足の下にその千年前の旧都を飽きもせずに彷徨うろつき廻る日も多かった。
子規居士と余 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
あゝ、当年豪雄の戦士、官軍を悩まし奥州の気運を支へたりし快男子、今は即ち落魄らくはくして主従唯だ二個、異境に彷徨はうくわうして漁童の嘲罵にふ。
客居偶録 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
高田の下男銀平は、下枝を捜しいださんとて、西へ東へ彷徨さまよいつ。ちまた風説うわさに耳をそばだて、道く人にもそれとはなく問試むれど手懸り無し。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
イネ帝国が亡びると同時に、国軍の一部は、悲憤の涙をのんで、数隻の潜水艦に乗って、太青洋に彷徨さすらい出たのであった。
二、〇〇〇年戦争 (新字新仮名) / 海野十三(著)
自分にも市中を彷徨ぶらついてみたりしたが、自分の智識が許しそうな仕事で、一生懸命になり得るような職業はどこにも見当らなかった。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「危ねい! 往来の真ン中を彷徨うろうろしてやがって……」とせいせい息をはずませながら立止って怒鳴り付けたのは、目のこわい車夫であった。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
「ちよつと、そこいらを彷徨ぶらぶらしてゐてお呉れね。いくら田舎でもお役所だからね。お前を一緒に伴れて行くのも変だからね?」
島の唄 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
追駈おつかけ候中とくに日は暮方角はうがくわからず彷徨さまよひりしうちはからずも九助に出會段々の物語りに手間取てまどり追々夜も更行ふけゆくしたがひ月も出しかば夫を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
『お前着物を如何どうなんだよ。此寒いのに、ベラ/\したあはせかなんかで。其樣そん姿なりで此邊を彷徨うろ/\しておくれでないよ、眞實ほんとうに外聞が惡いから。』
絶望 (旧字旧仮名) / 徳田秋声(著)
蕭条しょうじょうと荒れ果てた灰色の野の中を、真黒い外套と共に、あてもなく彷徨さまよっている中田の顔は、世にもすさみ切った廃人のそれであった。
自殺 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
といって、子供の時は、まったくたまにしか見ることはなかったのですけど、それが、中学のなかば頃からは、殆んど毎夜のように夢の世界を彷徨うろつき廻っていたのです。
歪んだ夢 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
どこをどう彷徨うろつきまわってたんだい
人間失格 (新字新仮名) / 太宰治(著)
見て世の中に能物よきもの醫者いしやなり何程の療治れうぢ出來できずとも流行出せばかくの如し我も故郷は勘當され此江戸へ來りて所々しよ/\方々はう/″\彷徨さまようばかりにて未だ何の仕出しいだしたる事もなくこれぞと云身過みすぎの思ひ付もなきをりなれば此上は何卒なにとぞして我も醫師いしやとなり長棒ながぼう駕籠かごにて往來なし一身の出世しゆつせ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
切て勘當かんだうせしにかれ方々はう/″\彷徨さまよふうち少く醫師の道を覺え町内へ來て山田元益と表札へうさつ門戸もんこを張れどももとよりつたな庸醫よういなれば病家はいと稀々まれ/\にて生計くらしの立つほど有らざれば内實ないじつ賭博とばく
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
青臭いどころか、お前、天狗巌てんぐいわだ、七不思議だと云ふ者が有る、可恐おそろしい山の中に違無いぢやないか。そこへ彷徨のそのそひまさうなかほをして唯一箇たつたひとりつて来るなんぞは、能々よくよく間抜まぬけと思はなけりやならんよ
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
『それは死んでは大変ですけどもね。大丈夫ですよ。そんなに、わけなく人間は死ねるもんぢやありませんよ。本当に死ぬ気なら、あんなに彷徨ふら/\してゐはしませんよ』
波の音 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
「たしか直行は十時二十分です。あそこは連絡船の出帆するのは八時半ですが、九時になりますから、まだ、あなたを見送つてから一時間ほどあそこいらを彷徨ぶら/\しなければなりませんね?」
海をわたる (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
私はまたあてもなくそこを出た。するうちに、ボツボツ店明みせあかりが点きだす。腹もだんだん空いてくる。例のごとく当もなく彷徨ほッつき歩いていると、いつの間にか町外れへ出た。
世間師 (新字新仮名) / 小栗風葉(著)
彼方にも此方にも彷徨まご/\して居るやうに描いてある——露西亜では婦人の職業と言ふと家庭教師であるが、今日の露西亜では、此の家庭教師が、ぎつしりと一杯につて居るらしいのだ
未亡人と人道問題 (新字旧仮名) / 二葉亭四迷(著)
家郷追放カキョウツイホウ吹雪フブキナカツマトワレ、三人サンニンヒシトイ、サダマラズ、ヨロヨロ彷徨ホウコウ衆人蔑視シュウジンベッシマトタル、誠実セイジツ小心ショウシン含羞ガンシュウ、オノレノヒャクウツクシサ、イチズ、高円寺コウエンジウロウロ
創生記 (新字新仮名) / 太宰治(著)