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彷徨
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うろつ
ふりがな文庫
“
彷徨
(
うろつ
)” の例文
同時にまた松山の狭い天地を出て初めて大きな都に出たという満足の下にその千年前の旧都を飽きもせずに
彷徨
(
うろつ
)
き廻る日も多かった。
子規居士と余
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
品川の
停車場
(
ステーション
)
でお若が怪しい様子に付けこんで目を放さない気味のわるい男は、下谷坂本あたりを
彷徨
(
うろつ
)
いております
勘太
(
かんた
)
という奴。
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
彼はこの
宵
(
よい
)
の自分を顧りみて、ほとんど
夢中歩行者
(
ソムナンビュリスト
)
のような気がした。彼の行為は、
目的
(
あて
)
もなく
家中
(
うちじゅう
)
彷徨
(
うろつ
)
き廻ったと一般であった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ああ、少年は火葬場に骨拾いに来る人を待ち受けて
施与
(
ほどこし
)
を貰うために、この物淋しい月の夜をこんなところに
彷徨
(
うろつ
)
いているのだ。
駅夫日記
(新字新仮名)
/
白柳秀湖
(著)
或る一事とは、乃ち昔自分が夜の盛岡を
彷徨
(
うろつ
)
いて居た際に起つた大奇談である。——或夜自分は例によつて散歩に出懸けた。
葬列
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
▼ もっと見る
あいつは昨夜ジナイーダが結婚すると云う噂に亢奮して、
終夜
(
よっぴて
)
この
周囲
(
ぐるり
)
を
彷徨
(
うろつ
)
き歩いていたと云うのだがね。しかし、あの男は犯人じゃない。
聖アレキセイ寺院の惨劇
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
また町の三階造の宿屋の
窓硝子
(
まどガラス
)
がぎらぎらと黄金色に輝いていた。太吉は町の中を
彷徨
(
うろつ
)
いていた。馬が荷車を引いて通った。人力が駆けて行った。
越後の冬
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
親戚
(
みより
)
も無し、
職業
(
しょうばい
)
も無し、金も無い
此
(
こ
)
の人が、これから他国を
彷徨
(
うろつ
)
いて、末は
何
(
ど
)
うなることであろう。
何時
(
いつ
)
までも乞食をしているより
他
(
ほか
)
はあるまい。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
モン長 げに、
幾朝
(
いくあさ
)
も/\、
未
(
まだ
)
乾
(
ひ
)
ぬ
露
(
つゆ
)
に
涙
(
なみだ
)
を
置添
(
おきそ
)
へ、
雲
(
くも
)
には
吐息
(
といき
)
の
雲
(
くも
)
を
加
(
くは
)
へて、
彷徨
(
うろつ
)
いてゐるのを
見掛
(
みか
)
けたとか。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
マウパツサンの墓が見附からないので広い墓地を
彷徨
(
うろつ
)
いて探して居ると、
瑠璃紺
(
るりこん
)
の皺だらけのマントウを
被
(
はふ
)
つた
老人
(
としより
)
の墓番が一人通つたので
呼留
(
よびと
)
めて問うた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
「困るたって、それを解決しなければ、永久にこうして亡者として、八方塞がりの籠の中を、うろうろ
彷徨
(
うろつ
)
いて、無意味に行きつ戻りつしていなけりゃならん」
大菩薩峠:36 新月の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
肝腎
(
かんじん
)
の
稼業
(
かげふ
)
のお稽古もしないで、
色情
(
さかり
)
のついた犬みたやうに、一體
何處
(
どこ
)
を
彷徨
(
うろつ
)
いて歩いてゐるんだよ。
絶望
(旧字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
多少
(
いくらか
)
纏まった銭が骨折れずに入った時であったから、何時もちょび/\本を売っては
可笑
(
おかし
)
な処ばかしを
彷徨
(
うろつ
)
いていたが、今日は少し気楽な贅沢が為て見たくなって
別れたる妻に送る手紙
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
出稼ぎして諸方を
彷徨
(
うろつ
)
いてゐた方が、ひもじい
想
(
おもひ
)
をしない、
寝泊
(
ねどま
)
りする処にも困らない。生れた村には
食物
(
くひもの
)
が
欠乏
(
たりな
)
くて
皆
(
みんな
)
が
難渋
(
なんじふ
)
してゐるけれど、
余処
(
よそ
)
は
其程
(
それほど
)
でもない。
椋のミハイロ
(新字旧仮名)
/
ボレスワフ・プルス
(著)
このほど死んだワレス氏が六十年前シンガポールに寓した時常に近所を
彷徨
(
うろつ
)
く虎若干ありて、新開の
阿仙薬園
(
アンビエルえん
)
に働く支那人を平均日に一人ずつ殺したと『
巫来群島篇
(
ゼ・マレー・アーキペラゴ
)
』
十二支考:01 虎に関する史話と伝説民俗
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
ブラリと家を出て、復た日の暮れる頃まで
彷徨
(
うろつ
)
いた三吉は、離縁という
思想
(
かんがえ
)
を持って帰って来た。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
師の家を出てから、弟子の慶四郎は伊豆箱根あたりを
彷徨
(
うろつ
)
いているという
噂
(
うわさ
)
であった。
呼ばれし乙女
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
彷徨
(
うろつ
)
きながら、見ぬ振をして横目でチョイチョイ見ていると、お糸さんが赤い
襷
(
たすき
)
に白地の手拭を
姉様冠
(
あねさまかぶ
)
りという甲斐々々しい
出立
(
いでたち
)
で、私の机や本箱へパタパタと
払塵
(
はたき
)
を掛けている。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
僕の様に毎日々々遊んで
彷徨
(
うろつ
)
いて暮すと別に不愉快な事もない。大臣になつて乾分を
死線を越えて:01 死線を越えて
(新字旧仮名)
/
賀川豊彦
(著)
黄昏
(
たそが
)
れの白い
靄
(
もや
)
が、片側の崖の森から往来へ淡く立ちこめていた。よく分らないが、
慥
(
たし
)
かに女である。目黒門の外に
彳
(
たたず
)
んで、時折、塀のふし穴でもさがすように
彷徨
(
うろつ
)
いているのだった。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
卯平
(
うへい
)
は
自分
(
じぶん
)
の
手
(
て
)
から
作
(
つく
)
つた
罪
(
つみ
)
といふものは
殆
(
ほと
)
んど
見
(
み
)
られなかつた。
唯
(
たゞ
)
彼
(
かれ
)
は
盛年
(
さかり
)
の
頃
(
ころ
)
は
他
(
た
)
の
傭人等
(
やとひにんら
)
と
共
(
とも
)
に
能
(
よ
)
く
猫
(
ねこ
)
を
殺
(
ころ
)
して
喫
(
た
)
べてた。
尤
(
もつと
)
も
其
(
その
)
頃
(
ころ
)
は
猫
(
ねこ
)
でも
犬
(
いぬ
)
でも
飼主
(
かひぬし
)
を
離
(
はな
)
れて
雞
(
にはとり
)
を
狙
(
ねら
)
ふのが
彷徨
(
うろつ
)
いた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
家の前を
彷徨
(
うろつ
)
いてゐたのだらうゆき子の姿が眼に浮んで来る。ゆき子はハンカチを外套のポケットから出して眼を拭いた。思ひがけなく、そのハンカチは、富岡がダラットで使つてゐたものであつた。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
その時からお屋敷の附近を
彷徨
(
うろつ
)
き始めました。
美人鷹匠
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
或る一事とは、乃ち昔自分が夜の盛岡を
彷徨
(
うろつ
)
いて居た際に起つた一奇談である。——或夜自分は例によつて散歩に出懸けた。
葬列
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
十時に物産会社から特に出して
呉
(
く
)
れるランチに乗る迄には四時間以上もあるので、
四馬路
(
スマロ
)
の方へ掛けて
雑沓
(
ざつたふ
)
の中をぶらぶらと
彷徨
(
うろつ
)
き廻つたが容易に時間は経たない。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
其の職其の身にもあらぬため
却
(
かえ
)
って罪となりつるか、かゝる無人島に
彷徨
(
うろつ
)
いて
徒
(
いたず
)
らに乾殺され、後世人の笑いを受けるより、
寧
(
いっ
)
そ此の場に切腹して
潔
(
いさぎよ
)
く相果て申さん
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
彼女
(
かれ
)
も
流石
(
さすが
)
に
狂人
(
きちがい
)
ではない。
此
(
こ
)
の
吹雪
(
ふぶき
)
の中を
的途
(
あてど
)
も無しに駈け歩いたとて、重太郎の行方は知れそうも無いのに、
何時
(
いつ
)
まで
彷徨
(
うろつ
)
いているのも馬鹿馬鹿しいと思った。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
お島は
昔気質
(
むかしかたぎ
)
の
律義
(
りちぎ
)
な父親に手をひかれて、或日の晩方、自分に深い憎しみを持っている母親の
暴
(
あら
)
い怒と
惨酷
(
ざんこく
)
な
折檻
(
せっかん
)
から
脱
(
のが
)
れるために、野原をそっち
此方
(
こっち
)
彷徨
(
うろつ
)
いていた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「一体こんな時刻に、どうしてこの辺を
彷徨
(
うろつ
)
いているのだね。僕は地方裁判所の検事なんだが。」
聖アレキセイ寺院の惨劇
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
代助は
今朝
(
けさ
)
も
此所
(
こゝ
)
へ
来
(
き
)
た。
午
(
ひる
)
からも町内を
彷徨
(
うろつ
)
いた。下女が買物にでも
出
(
で
)
る所を
捕
(
つら
)
まへて、三千代の容体を聞かうと思つた。然し下女は遂に出て
来
(
こ
)
なかつた。平岡の影も見えなかつた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
お宮は、心は何処を
彷徨
(
うろつ
)
いているのか分らないように、懐手をして、
呆然
(
ぼんやり
)
窓の処に立って、つま先きで足拍子を取りながら、何かフイ/\口の中で言って、
目的
(
あて
)
もなく
戸外
(
そと
)
を眺めなどしている。
別れたる妻に送る手紙
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
私は
内々
(
ないない
)
其を心待にしていて、来ると急いで部屋を出て椽側を
彷徨
(
うろつ
)
く。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
寧ろ広漠な東京市中をただ訳もなく
彷徨
(
うろつ
)
き廻る日の方が多かった。
子規居士と余
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
澄み切つた鋼鐵色の天蓋を
被
(
かつ
)
いで、寂然と靜まりかへつた夜の盛岡の街を、唯一人犬の如く
彷徨
(
うろつ
)
く樂みは、其昔、自分の夜毎に繰返すところであつた。
葬列
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
出来るだけ立派な
身装
(
なり
)
をして、自身浅井の知合いの家を尋ねまわるかと思うと、絶望的な蒼い顔をして、髪も結わずに、不断着のままで子供をつれて近所を
彷徨
(
うろつ
)
いたり
爛
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
代助は今朝も
此所
(
ここ
)
へ来た。
午
(
ひる
)
からも町内を
彷徨
(
うろつ
)
いた。下女が買物にでも出る所を
捕
(
つら
)
まえて、三千代の容体を聞こうかと思った。然し下女は遂に出て来なかった。平岡の影も見えなかった。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
併しさすがに以前の理想では満足出来ん所から、新理想主義になって来たんだ。文学の方で最近の傾向はシンボリズムとか、ミスチシズムとか云うのだが、イズムの
中
(
うち
)
に
彷徨
(
うろつ
)
いてる
間
(
うち
)
や未だ駄目だね。
私は懐疑派だ
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
澄み切つた
鋼鉄色
(
かうてついろ
)
の天蓋を
被
(
かづ
)
いて、
寂然
(
じやくねん
)
と静まりかへつた夜の盛岡の街を、唯一人犬の如く
彷徨
(
うろつ
)
く楽みは、其昔、自分の夜毎に繰返すところであつた。
葬列
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
松公は
此
(
この
)
四五日、姿も見せない。お大は
頭腦
(
あたま
)
も體も燃えるやうなので、
宅
(
うち
)
に
熟
(
じつ
)
としてゐる瀬はなく、毎日ぶら/\と
其處
(
そこ
)
ら中
彷徨
(
うろつ
)
きまはつて、
妄濫
(
むやみやたら
)
と行逢ふ人に突かゝつて喧嘩を
吹
(
ふつ
)
かけて居る。
絶望
(旧字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
渠は
恁麽
(
こんな
)
事を
止度
(
とめど
)
もなく滅茶苦茶に考へ乍ら、
目的
(
あて
)
もなく唯町中を
彷徨
(
うろつ
)
き𢌞つて居た。何處から
怎
(
どう
)
歩いたか自身にも解らぬ。洲崎町の角の煙草屋の前には二度出た。
病院の窓
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
当てどもなしに
彷徨
(
うろつ
)
いているその姿が見出されたり、どこへも入りそびれて、思いがけない場末に、人気の少い
鶏屋
(
とりや
)
などの二階の部屋の薄白い電燈の下で、淋しい晩飯にありついていたりした。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
渠は
恁麽
(
こんな
)
事を止度もなく滅茶苦茶に考へ乍ら、
目的
(
あて
)
もなく唯町中を
彷徨
(
うろつ
)
き廻つて居た。何処から
怎
(
どう
)
歩いたか自身にも解らぬ。洲崎町の角の煙草屋の前には二度出た。
病院の窓
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
田舎から来た人たちも、皆な着替えをすまして、そこらに
彷徨
(
うろつ
)
いていた。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
不図したら、猟銃を肩にしたツルゲネーフが、人の好ささうな、髯の長い、巨人の如く背の高い露西亜の百姓と共に、此処いらを
彷徨
(
うろつ
)
いて居はせぬかといふ様な心地がする。
雪中行:小樽より釧路まで
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
又、「エイ、エイッ」と馬丁の掛聲勇ましき黒塗馬車の公道を嫌つて、常に人生の横町許り
彷徨
(
うろつ
)
いて居る朱雲がかゝる男と相知るの必ずしも不合理でない事もうなづかれる。
雲は天才である
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
又、「エイ、エイツ」と馬丁の掛声勇ましき黒塗馬車の公道を嫌つて、常に人生の横町許り
彷徨
(
うろつ
)
いて居る朱雲がかゝる男と相知るの必ずしも不合理でない事もうなづかれる。
雲は天才である
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
風の寒い浜辺を、飢ゑて疲れて、古袷一枚で
彷徨
(
うろつ
)
き乍ら、其檣を眺むるともなく眺めて「破船」といふことを考へた。そして渠は、濡れた巌に突伏して声を出して泣いた事があつた。
病院の窓
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
風の寒い濱邊を、飢ゑて疲れて、古袷一枚で
彷徨
(
うろつ
)
き乍ら、其檣を眺むるともなく眺めて「破船」といふことを考へた。そして、渠は、濡れた巖に突伏して聲を出して泣いた事があつた。
病院の窓
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
暫らく其材木の
端
(
はし
)
に腰掛けて、昔の事を懷うて見ようかとも思つたが、イヤ待て
恁
(
こん
)
な晝日中に、
宛然
(
さながら
)
人生の横町と
謂
(
い
)
つた樣な此處を
彷徨
(
うろつ
)
いて何か
明處
(
あかるみ
)
で考へられぬ事を考へて居るのではないかと
葬列
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
イヤ待て
恁
(
こん
)
な昼日中に、
宛然
(
さながら
)
人生の横町と謂つた様な此処を
彷徨
(
うろつ
)
いて何か
明処
(
あかるみ
)
で考へられぬ事を考へて居るのではないかと、通りがかりの巡査に怪まれでもしては、一代の不覚と思ひ返して止めた。
葬列
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
“彷徨”の意味
《名詞》
彷徨(ほうこう)
さまよい歩くこと。うろつくこと。
(出典:Wiktionary)
彷
漢検1級
部首:⼻
7画
徨
漢検1級
部首:⼻
12画
“彷徨”で始まる語句
彷徨彳亍