“黄昏”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
たそがれ78.3%
たそが16.4%
ゆうぐれ2.1%
こうこん1.3%
タソガレ0.6%
くわうこん0.4%
くゎうこん0.2%
たぞがれ0.2%
ひくれ0.2%
ゆうがた0.2%
トワイライト0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
に入つて洋燈を點けるのもいので、暫くは戲談口などきき合ひながら、黄昏の微光の漂つて居る室の中に、長々と寢轉んでゐた。
一家 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
低い山の裾をまわり、保土ヶ谷をすぎるころから、黄昏れが深くなった。米軍の軍用トラックはいちだんとスピードを増しはじめた。
その一年 (新字新仮名) / 山川方夫(著)
承応巳年八月十一日の黄昏のことであった。与右衛門夫婦は畑から帰っていた。二人はその日朝からいていた豆を数多背負っていた。
累物語 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
到着せしは黄昏の頃なりしが、典獄はねて報知に接し居たりと見え、特に出勤して、一同を控所に呼び集め、今も忘れやらざる大声にて
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
だが、寺は物音もない黄昏だ。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫釈迢空(著)
若し夫野口君に至つては、予の最近の閲歴と密接な関係のあつた人だけに、予の悲みも深からざるを得ない。其日は、古日記などを繙いて色々と故人の上を忍びながら、黯然として黄昏に及んだ。
矯首はじめて見る故園の家黄昏戸にる白髪の人弟を抱き我を春又春
俳人蕪村 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
の馬上において東西を指点するにこの旗十数所あり。村人の永住の地を去らんとする者とかりそめに入りこみたる旅人とまたかの悠々たる霊山とを黄昏に来たりて包容し尽したり。
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
「そんぢやつからでもけるくべ」勘次はおつぎをれてた。冬至になるまで打棄つてくものはには一人もないのであつた。勘次荷車りて黄昏までに二いた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
黄昏に、私は水汲をして手桶を提げながら門のところまで参りますと、四十恰好の女が格子前に立っておりました。姿を視れば巡礼です。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
北方の五月は黄昏がながい。もう太陽は河の彼方に沈んだ。燦めきのない残光が空中にあって、空を建物を人物の色彩を不思議に鮮かに浮きたたせる。
わが五月 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)