“徐”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
おもむ36.6%
おもむろ22.7%
しず16.6%
しづ6.5%
しずか5.4%
しづか2.7%
じょ1.1%
そっ1.1%
ゆる0.9%
ゆるや0.9%
シヅ0.7%
0.7%
そつ0.7%
やお0.7%
やを0.7%
そろ0.2%
おもか0.2%
そぞ0.2%
そろ/\0.2%
そゞろ0.2%
のろ0.2%
オモム0.2%
シズ0.2%
シュイ0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
短銃の先はおもむろに、お富の胸のあたりへ向つた。それでも彼女は口惜くやしさうに、新公の顔を見つめたきり、何とも口を開かなかつた。
お富の貞操 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
春風はおもむろに空を吹き、また柳を吹く。柳の枝のなびくにつれて、そこに掛けた笠も揺れるのである。笠を掛けていこう者は旅人であろう。
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
私も私で、まるできのうも私達がそうしていたように、押し黙ったまま、お前の隣りへ他の椅子をもっていってしずかに腰を下ろした。
菜穂子 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
八 廣く各國の制度を採り開明に進まんとならば、先づ我國の本體をゑ風教を張り、然して後しづかに彼の長所を斟酌するものぞ。
遺訓 (旧字旧仮名) / 西郷隆盛(著)
此方こなたは愈大得意にて、ことさらしずかに歩めば、二人は遂に堪へ兼ねて、言葉をかけ、予の成功を祝せし後、「何処にて釣り候ぞ」と問へり。
釣好隠居の懺悔 (新字旧仮名) / 石井研堂(著)
アンドレイ、エヒミチはせつなる同情どうじやうことばと、其上そのうへなみだをさへほゝらしてゐる郵便局長いうびんきよくちやうかほとをて、ひど感動かんどうしてしづかくちひらいた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
適当のところでじょじょに到達して、いよいよ前途に光明を認めたという時、ここに初めて真情を吐露とろしようと考えていたのである。
かかる折から、柳、桜、緋桃ひもも小路こみちを、うららかな日にそっと通る、とかすみいろど日光ひざしうちに、何処どこともなく雛の影、人形の影が徜徉さまよう、……
雛がたり (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ありし次第をわが田に水引き水引き申し出づれば、痩せ皺びたる顔に深く長くいたる法令の皺溝すじをひとしお深めて、にったりとゆるやかに笑いたまい、婦女おんなのようにかろやわらかな声小さく
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
木下はゆるやかな足取りで大股に室から出て行った。信子は扉から壁へ沿って身をずらしながら、木下を通した。
二つの途 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
の人の眠りは、シヅかに覚めて行つた。まつ黒い夜の中に、更に冷え圧するものゝ澱んでゐるなかに、目のあいて来るのを、覚えたのである。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
人間共に未来を見せず、奴等の悦ぶ思弁にこじつけてさも世界を救う大思想のように思わせ思わせ野心と所有の慾望をろ植える手際には、俺も参った。
対話 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
その飽くまでくつきりと白い皮膚の色と、淋しい自身をさびしいとも知らないで生ひ立つて來たやうな、その黒い目の色とを盜み見ながらそつとしてゐた。
女の子 (旧字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
やおら、雪のような白足袋しろたびで、脱ぎ棄てた雪駄せった引寄ひきよせた時、友染ゆうぜんは一層はらはらと、模様の花がおもかげに立って、ぱッと留南奇とめきかおりがする。
春昼後刻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
痺れきツた腕を摩りながら、やをら起あがりざま母親はと見れば、二畳に突ツ俯したまゝスウ/\いびきを立てゝゐる。神棚、佛壇、時計すらない家は荒涼してゐた。
昔の女 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
何とかいふ豪い大小説家が自作の末に代作の広告をしてゐたさうだが、そろ/\其変遷の兆が見えるらしいやうだノ。
犬物語 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
稚兒おさなごはゝよぶやうさしまねぎつ、坐敷ざしきにもらではるかにてば、松野まつのおもかろにあゆみをすゝめて、はや竹椽ちくえんのもとに一揖いつしふするを、糸子いとこかるくけて莞爾にこやかに、花莚はなむしろなかばけつゝ團扇うちわつてかぜおくれば
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
予ク公の言の虚実をためすはこれに限ると思い、抜き足で近より見れば、負傷蟹と腹をむかえ近づけ両手でその左右の脇を抱き、親切らしくかかえ上げて、そぞろ歩む友愛の様子にアッと感じ入り
藁苞わらづとよりそろ/\と出しこししつかとゆひつけ之までかぜを引たりと僞り一ト夜も湯には入らざるのみか夜もろく/\に目眠まどろまず心を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
年順なれば兄先づ渡る其時に、転びやすきを気遣ひて弟は端を揺がぬやう確と抑ゆる、其次に弟渡れば兄もまた揺がぬやうに抑へやり、長者は苦なく飛び越えて、三人ともにいと長閑のどけそゞろに歩む其中に
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
井戸ゐどふかかつたのか、それとも自分じぶんちるのがきはめてのろかつた所爲せゐか、つてからまはりを見廻みまはし、此先このさきうなるだらうかとうたがしたまでには隨分ずゐぶんながあひだちました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
ヒザが、ヒヂが、オモムろに埋れてゐた感覚をとり戻して来るらしく、ヒトの頭に響いて居るもの——。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
シズカナルコト林ノ如シ
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
孫はジロリとシュイにらんで返事をしなかった。ぞっとするような眼だ。
雲南守備兵 (新字新仮名) / 木村荘十(著)