“徜徉”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
さまよ66.7%
ぶらつ8.3%
しょうよう8.3%
しやうやう5.6%
うろつ2.8%
さまよう2.8%
ふらつ2.8%
ぶら2.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
かかる折から、柳、桜、緋桃ひもも小路こみちを、うららかな日にそっと通る、とかすみいろど日光ひざしうちに、何処どこともなく雛の影、人形の影が徜徉さまよう、……
雛がたり (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
すると文庫が創刊されてから二、三カ月目、ふと或る夕方中坂上を徜徉ぶらついていると、偶然見附けたのが硯友社の標札であった。
アレほど我を忘れて夢幻に徜徉しょうようするような心地のしたのはその後にない。短篇ではあるが、世界の大文学に入るべきものだ。
露伴の出世咄 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
出でて裏浜うらはま(唐津町の)の真砂の上に徜徉しやうやうの歩を移せば海上呼べば応へんとすばかりなる鳥島より右に後ろにさけて高島はその名のごとくそばだち
松浦あがた (新字旧仮名) / 蒲原有明(著)
音楽家はモツアルトの楽譜でも踏むやうな足つきをして、歩廊プラツトホームをあちこち徜徉うろついてゐた。
貸小袖に魂が入って立ったとも見えるし、行燈のともしおおうた裲襠かけたもとに、蝴蝶ちょうちょうが宿って、夢が徜徉さまようとも見える。
陽炎座 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
やしきの植込を徜徉ふらついてゐる時、青白い梔子くちなしの花蔭に、女郎蜘蛛が居睡りをしてゐるのを見つけでもすると、真つ青になつて、抜脚ぬきあしして逃げ出したものだ。
以前いぜんは、へん樣子やうすもこんなではかつた。涼風すゞかぜ時分じぶんでも、團扇うちは片手かたてに、手拭てぬぐひげなどして、派手はで浴衣ゆかたが、もつと川上かはかみあたりまで、きしをちらほら徜徉ぶらついたものである。
月夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)