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さまよ
ふりがな文庫
“
徜徉
(
さまよ
)” の例文
かかる折から、柳、桜、
緋桃
(
ひもも
)
の
小路
(
こみち
)
を、
麗
(
うらら
)
かな日に
徐
(
そっ
)
と通る、と
霞
(
かすみ
)
を
彩
(
いろど
)
る
日光
(
ひざし
)
の
裡
(
うち
)
に、
何処
(
どこ
)
ともなく雛の影、人形の影が
徜徉
(
さまよ
)
う、……
雛がたり
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
林
(
はやし
)
は
彼等
(
かれら
)
の
天地
(
てんち
)
である。
落葉
(
おちば
)
を
掻
(
か
)
くとて
熊手
(
くまで
)
を
入
(
い
)
れる
時
(
とき
)
彼等
(
かれら
)
は
相
(
あひ
)
伴
(
ともな
)
うて
自在
(
じざい
)
に
徜徉
(
さまよ
)
ふことが
默託
(
もくきよ
)
されてある。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
『
先
(
ま
)
づ
第一
(
だいいち
)
に、
復
(
ま
)
た
元
(
もと
)
の
身長
(
せい
)
にならなくては』と、
森
(
もり
)
の
中
(
なか
)
を
徜徉
(
さまよ
)
ひながら
愛
(
あい
)
ちやんは
獨語
(
ひとりごと
)
を
云
(
い
)
つて
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
二人
(
ふたり
)
三人
(
みたり
)
づゝ、いづくへ
行
(
ゆ
)
くとも
知
(
し
)
らず、いづくから
來
(
く
)
るとも
分
(
わ
)
かず、とぼ/\した
女
(
をんな
)
と
男
(
をとこ
)
と、
女
(
をんな
)
と
男
(
なとこ
)
と、
影
(
かげ
)
のやうに
辿
(
たゞよ
)
ひ
徜徉
(
さまよ
)
ふ。
露宿
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
愛
(
あい
)
ちやんは
何
(
ど
)
うかして
此
(
この
)
暗
(
くら
)
い
穴
(
あな
)
から
出
(
で
)
て、
美
(
うつく
)
しい
花壇
(
くわだん
)
や、
清冽
(
きれい
)
な
泉
(
いづみ
)
の
邊
(
ほとり
)
に
徜徉
(
さまよ
)
ひたいと
頻
(
しき
)
りに
望
(
のぞ
)
みました、が
其戸口
(
そのとぐち
)
からは
頭
(
あたま
)
を
出
(
だ
)
すことさへも
出來
(
でき
)
ませんでした、
可哀相
(
かあいさう
)
に
愛
(
あい
)
ちやんは
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
▼ もっと見る
どこにも座敷がない、あっても
泊客
(
とまりきゃく
)
のないことを知った長廊下の、
底冷
(
そこびえ
)
のする板敷を、影の
徜徉
(
さまよ
)
うように、我ながら
朦朧
(
もうろう
)
として
辿
(
たど
)
ると……
鷭狩
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
占めようと、右の
猟夫
(
りょうし
)
が夜中
真暗
(
まっくら
)
な森を
徜徉
(
さまよ
)
ううちに、青白い光りものが、目一つの山の神のように動いて来るのに
出撞
(
でっくわ
)
した。
神鷺之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
やがて、世の
状
(
さま
)
とて、絶えてその人の
俤
(
おもかげ
)
を見る事の出来ずなってから、心も魂もただ
憧憬
(
あこがれ
)
に、家さえ、町さえ、霧の中を、夢のように
徜徉
(
さまよ
)
った。
小春の狐
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
唯、糸七の遠い雪国のその小提灯の幽霊の
徜徉
(
さまよ
)
う場所が小玉小路、断然話によそえて拵えたのではない、とすると、蛙に
因
(
ちな
)
んで顕著なる奇遇である。
遺稿:02 遺稿
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
雲
(
くも
)
暗
(
くら
)
し、
雲
(
くも
)
暗
(
くら
)
し、
曠野
(
あらの
)
を
徜徉
(
さまよ
)
ふ
狩
(
かり
)
の
公子
(
こうし
)
が、
獸
(
けもの
)
を
照
(
てら
)
す
炬火
(
たいまつ
)
は、
末枯
(
うらがれ
)
の
尾花
(
をばな
)
に
落葉
(
おちば
)
の
紅
(
べに
)
の
燃
(
も
)
ゆるにこそ。
五月より
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
その行燈の
枕許
(
まくらもと
)
に、有ろう?
朱羅宇
(
しゅらお
)
の
長煙管
(
ながぎせる
)
が、蛇になって動きそうに、
蓬々
(
おどろおどろ
)
と、
曠野
(
あれの
)
に
徜徉
(
さまよ
)
う夜の
気勢
(
けはい
)
。地蔵堂に釣った紙帳より、かえって
侘
(
わび
)
しき草の
閨
(
ねや
)
かな。
吉原新話
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
一度
冥途
(
めいど
)
を
徜徉
(
さまよ
)
ってからは、仏教に
親
(
したし
)
んで参禅もしたと聞く。——小母さんは寺子屋時代から、小僧の父親とは
手習傍輩
(
てならいほうばい
)
で、そう毎々でもないが、時々は
往来
(
ゆきき
)
をする。
絵本の春
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
散
(
ち
)
る、
風
(
かぜ
)
なくして
散
(
ち
)
る
其
(
その
)
もみぢ
葉
(
ば
)
の
影
(
かげ
)
の
消
(
き
)
ゆるのは、
棚田
(
たなだ
)
、
山田
(
やまだ
)
、
小田
(
をだ
)
の
彼方此方
(
あちこち
)
、
砧
(
きぬた
)
の
布
(
ぬの
)
のなごりを
惜
(
をし
)
んで
徜徉
(
さまよ
)
ふ
状
(
さま
)
に、
疊
(
たゝ
)
まれもせず、
靡
(
なび
)
きも
果
(
は
)
てないで、
力
(
ちから
)
なげに
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
ぶつぶつと、我とも分かず、口の
裡
(
うち
)
で、何とも知らず、覚えただけの経文を
呟
(
つぶや
)
き呟き、鶯谷から、上野の山中を
徜徉
(
さまよ
)
って
歩行
(
ある
)
いた
果
(
はて
)
が、夜ふけに、清水の舞台に上った。
白花の朝顔
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
朧夜
(
おぼろよ
)
にはそこぞと思う小路々々を
徜徉
(
さまよ
)
い徜徉い日を重ねて、青葉に移るのが、酔のさめ際のように心寂しくってならなかった——人は二度とも、美しい
通魔
(
とおりま
)
を見たんだ
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
夫人はふいと
衾
(
ふすま
)
を出て、胸を
圧
(
おさ
)
えて、
熟
(
じっ
)
と見据えた目に、閨の内を
眗
(
みまわ
)
して、
懵
(
ぼう
)
としたようで、まだ覚めやらぬ夢に、菫咲く春の野を
徜徉
(
さまよ
)
うごとく、
裳
(
もすそ
)
も畳に
漾
(
ただよ
)
ったが、ややあって
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
主人
(
あるじ
)
は
居室
(
ゐま
)
を
迷出
(
まよひい
)
でて、
漫
(
そゞ
)
ろに庭を
徜徉
(
さまよ
)
ひしが、恐しき声を発して、おのれ! といひさま刀を抜き、竹藪に
躍蒐
(
をどりかゝ
)
りて、えいと
殺
(
そ
)
ぎたる竹の
切口
(
きりくち
)
、
斜
(
なゝめ
)
に
尖
(
とが
)
れる
切先
(
きつさき
)
に
転
(
まろ
)
べる胸を貫きて
妖怪年代記
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
この土地の新聞
一種
(
ひといろ
)
、買っては読めない境遇だったし、新聞社の掲示板の前へ立つにも、土地は狭い、人目に立つ、死出
三途
(
さんず
)
ともいう処を、一所に
徜徉
(
さまよ
)
った
身体
(
からだ
)
だけに、自分から気が
怯
(
ひ
)
けて
縷紅新草
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
あの、紅また薄紅、うつくしい小さな天女の、水晶の翼は、きらきらと輝くのだけれど、もう冬で……遊びも
闌
(
たけなわ
)
に、
恍惚
(
うっとり
)
したらしく、夢を
徜徉
(
さまよ
)
うように、ふわふわと浮きつ、沈みつ、
漾
(
ただよ
)
いつ。
みさごの鮨
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
今だってやっぱり、私は
同一
(
おなじ
)
この国の者なんですが、その時は
何為
(
なぜ
)
か家を出て一月
余
(
あまり
)
、山へ入って、かれこれ、何でも生れてから死ぬまでの半分は
徜徉
(
さまよ
)
って、
漸々
(
ようよう
)
其処
(
そこ
)
を見たように思うですが。
薬草取
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
燻
(
くすぶ
)
った、その癖、師走空に
澄透
(
すみとお
)
って、
蒼白
(
あおじろ
)
い陰気な
灯
(
あかり
)
の前を、ちらりちらりと冷たい魂が
徜徉
(
さまよ
)
う姿で、
耄碌頭布
(
もうろくずきん
)
の
皺
(
しわ
)
から、
押立
(
おった
)
てた古服の
襟許
(
えりもと
)
から、汚れた襟巻の
襞襀
(
ひだ
)
の中から、
朦朧
(
もうろう
)
と
顕
(
あらわ
)
れて
露肆
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
玉簾
(
たますだれ
)
の
中
(
なか
)
もれ
出
(
い
)
でたらんばかりの
女
(
をんな
)
の
俤
(
おもかげ
)
、
顏
(
かほ
)
の
色
(
いろ
)
白
(
しろ
)
きも
衣
(
きぬ
)
の
好
(
この
)
みも、
紫陽花
(
あぢさゐ
)
の
色
(
いろ
)
に
照
(
てり
)
榮
(
は
)
えつ。
蹴込
(
けこみ
)
の
敷毛
(
しきげ
)
燃立
(
もえた
)
つばかり、ひら/\と
夕風
(
ゆふかぜ
)
に
徜徉
(
さまよ
)
へる
状
(
さま
)
よ、
何處
(
いづこ
)
、いづこ、
夕顏
(
ゆふがほ
)
の
宿
(
やど
)
やおとなふらん。
森の紫陽花
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
かくて幾分時のその間、足のままに
徜徉
(
さまよ
)
えりし、お通はふと心着きて
琵琶伝
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
月の
夜路
(
よみち
)
に
深山路
(
みやまじ
)
かけて、知らない他国に
徜徉
(
さまよ
)
うことはまた、来る年の
首途
(
かどで
)
にしよう。帰り風が
颯
(
さっ
)
と吹く、と
身体
(
からだ
)
も寒くなったと云う。私もしきりに胸騒ぎがする。すぐに
引返
(
ひっかえ
)
して帰ったんだよ。
夜叉ヶ池
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
かくては、一城の姫か、うつくしい腰元の——敗軍には違いない——
落人
(
おちゅうど
)
となって、辻堂に
徜徉
(
さまよ
)
った伝説を
目
(
ま
)
のあたり、見るものの目に、
幽窈
(
ゆうよう
)
、
玄麗
(
げんれい
)
の趣があって、
娑婆
(
しゃば
)
近い事のようには思われぬ。
神鷺之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
怨念
(
おんねん
)
の蛇がぬらぬらと出たり、魔界の
巷
(
ちまた
)
に旅人が
徜徉
(
さまよ
)
ったり。
雪柳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
道子は声も
徜徉
(
さまよ
)
うように
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
徜
部首:⼻
11画
徉
部首:⼻
9画