“憧憬”のいろいろな読み方と例文
読み方(ふりがな)割合
どうけい29.5%
あこがれ26.8%
あこが21.3%
しょうけい15.8%
しようけい4.9%
あくがれ1.1%
あくが0.5%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
そう云う夫人の言葉に恐る/\面を上げた青年の武士は、初めて彼が憧憬どうけいの的であった女性にょしょうの姿を仰ぎ視た。
法律の条文を暗記させるように教え込むべきものではなくて、自然の不思議への憧憬どうけいを吹き込む事が第一義ではあるまいか。
化け物の進化 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
天国でも、星の世界でも眼の前に引き寄せようとする、希望と憧憬あこがれに充ち満ちた少年らしい純情が響きあらわれていた。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
純白の広東縮緬カントン・クレエプの客間着に銀の帯を〆め憧憬あこがれに満ちたあどけない眼を見開きながら、希望の条々につき
修道院へ——それは、私が北海道へ旅立つ以前から樂しみ憧憬あこがれてゐた、深く心惹こゝろひかれる一つの眼あてであつた。
処女作の思い出 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
私はまた雑草をわけ木立の中を犬のようにくぐって崖端へ出て見はるかす町々の賑わいにはかなく憧憬あこがれる子となった。
山の手の子 (新字新仮名) / 水上滝太郎(著)
そして彼女の心のなかの憧憬しょうけいが、あふれるようになった時、悲哀が彼女を涙ぐませる程にいつか一ぱいになってしまってた。
咲いてゆく花 (新字新仮名) / 素木しづ(著)
けれども、妙にこの像面では鼻の円みと調和していて、それが、とろけ去るような処女の憧憬しょうけいを現わしていた。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
そして今私が會ひに行く爲めに身を飾らうとしてゐる彼は、私の知らざる未來の日の不安な、しかし憧憬しようけいの表象である。
地面は、燃えるやうな憧憬しようけいを持つた青年を新らしく主人に迎へて喜こび、且つ彼を愛してゐるやうでもあつた。
新らしき祖先 (新字旧仮名) / 相馬泰三(著)
しんの涙か、憧憬あくがれの孤寂の闇の椶櫚しゆろの花
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
いつもなら、さうした歌が若々しい声のもとに歌ひ出されて、いろいろな憧憬あくがれの思ひ出が絵巻のやうにかれの頭を掠めるのであつたけれども、一木一草もその思ひ出の種とならぬのはなかつたのであつたけれども、しかも今日は心は全く暗く、親しい友を迎へるにすら、それほど強い喜びを感じてはゐなかつた。
ひとつのパラソル (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
死のマグネシューム光が照し出す荒涼たる黒土原……殺人器械の交響楽が刻み出す氷光の静寂の中に、あらゆる希望を奪い尽くされた少年が、タッタ一つ恩人の顔だけを見て死にたいと憧憬あくがれ願っている……その超自然的な感情が裏書きする戦争の暴風的破壊が……秒速数百米突メートルの鉄と火の颶風ぐふう、旋風
戦場 (新字新仮名) / 夢野久作(著)