随分寒い晩でした。私は宵の中から机の前に坐つて、この間から書かうと思つてゐるものを、今晩こそは書き出さうと、一所懸命に想を凝らして居りました。——ところが余り寒いのでついペンをとる筈の指先は火鉢の上を覆ふやうになつてしまふのでありました。窓 …
著者 | 牧野信一 |
ジャンル | 文学 > 日本文学 > 小説 物語 |
初出 | 「少女 第八十六号(二月号)~第八十七号、第八十九号~第九十一号、第九十三号(九月号)」時事新報社、1920(大正9)年1月6日~2月、4月~6月、8月6日 |
文字種別 | 新字旧仮名 |
読書目安時間 | 約43分(500文字/分) |
朗読目安時間 | 約1時間12分(300文字/分) |