“微笑”のいろいろな読み方と例文
読み方(ふりがな)割合
ほほえ48.2%
ほほえみ8.1%
ほゝゑ8.0%
びしょう6.7%
わら5.6%
ほゝゑみ3.4%
えみ3.3%
ほほゑ3.3%
びせう3.2%
ほほゑみ1.9%
(他:60)8.3%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
“微笑”を含む作品のジャンル比率
文学 > フランス文学 > 小説 物語69.8%
文学 > 日本文学 > 小説 物語13.9%
文学 > 日本文学 > 小説 物語(児童)5.2%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
と寄ると、英吉は一足引く。微笑ほほえみながらり寄るたびに、たじたじと退すさって、やがて次の間へ、もそりと出る。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それから数時間ののち、私は今川橋行きの電車の中で、福岡市に二つある新聞の夕刊の市内版を見比べて微笑ほほえんでいた。
空を飛ぶパラソル (新字新仮名) / 夢野久作(著)
ところが、そのとき滝人の頭の中に、ふと一つの観念が閃くと、知らず知らず残忍な微笑ほほえみが、口の端を揺るがしはじめた。
白蟻 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
こう云って松虫は微笑したが、その微笑ほほえみは寂しそうであった。荒野に生い立ったこの娘は誰をでも懐しく思うのであろう。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
余り僕等が注視するのでその女も気が附いたらしく、のちには僕等の下を通る度にわざわざ見上げて微笑ほゝゑんで居た。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
『またはじめたな、玄竹げんちく洒落しやれふるいぞ。』と、但馬守たじまのかみ微笑ほゝゑんだ。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
彼は微笑びしょうしないように努力しながら、Sの五六歩へだたったのちにわかにまた「おい待て」と声をかけた。
三つの窓 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
かれはくちびるに微笑びしょうをたたえて、むねの中では、これだけ売ればいくらになるという勘定かんじょうをしていた。
私が入口に入る姿を見ると、すぐ上り口の間で炬燵こたつにあたっていた加藤の老人夫婦は声をそろえて微笑わらいながら、
うつり香 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
耳を引っ張って、藤吉は何ごとか囁き込む。にやり微笑わらって委細承知した彦兵衛、一足先に部屋を出て、急ぎ梯子段を下りて行く音。
けれども話す人も聞く人も、たゞ静かに安らかにぢっと微笑ほゝゑみをつゞけてゐるばかりであって、彼等は少しも動かなかった。
晩餐 (新字新仮名) / 素木しづ(著)
またこの目には左右に等閑なほざりの壁ありき、聖なる微笑ほゝゑみ昔の網をもてかくこれを己の許に引きたればなり 四—六
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
そして、その木が鉞の幾落下いくらっかによって、力尽き、地を揺がせて倒れるとき、俊寛の焼けた顔には、会心の微笑えみが浮ぶ。
俊寛 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
「これが泉ちゃんですか」と言って子供の方を見る客の顔にはようやく以前のふるい鈴木の家の主人公らしい微笑えみが浮んだ。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
そんなら吉ちやんお前が出世の時は私にもしておくれか、その約束もきはめて置きたいねと微笑ほほゑんで言へば、そいつはいけない
わかれ道 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
其度に彼はひげだらけの顔に、いよいよ皺の数を加へ、須世理姫は始終微笑ほほゑんだ瞳に、ますます涼しさを加へて行つた。
老いたる素戔嗚尊 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
小六ころくさんがおこつてよ。くつて」と御米およねはわざとねんしていて微笑びせうした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
かれ小柄こがらぢいさんで一寸ちよつとばあさんかへりみて微笑びせうしながらいつたのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
五十歳くらゐな男で、赤い髪を長くのばし、ひげのないやせた顔に、なんだかさびしさうな微笑ほほゑみをうかべてゐます。
エミリアンの旅 (新字旧仮名) / 豊島与志雄(著)
只目の前にゐる美しい女の微笑ほほゑみが折々変つて、その唇が己に新なる刺戟を与へてくれさへしたら、己はそれに満足してゐただらう。
復讐 (新字旧仮名) / アンリ・ド・レニエ(著)
日本外史にほんがいしとどっちがおもしろい」と僕が問うや、桂は微笑わらいを含んで、ようやく我にかえり、いつもの元気のよい声で
非凡なる凡人 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
わたしは微笑わらいみながら真面目まじめになって、そのくせ後へはむきもせずに耳をすましていた。
マダム貞奴 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
……いま、ちらりと微笑ほゝえむやうな、口元くちもとるゝは、しろはな花片はなびらであつた。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そうして御台の無心らしい微笑ほゝえみや長閑のどかな笑いごえの底にも、じっと感情を押し殺している跡が見え
聞書抄:第二盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
現世うつしよは めでたきみ代ぞ たひらけく 微笑ゑみはせな 百済くだらみほとけ
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
そして老僕をいたはる心持で微笑んでゐた微笑ゑみが消えてしまつた。
祭日 (新字旧仮名) / ライネル・マリア・リルケ(著)
須弥壇の観音像は、二つだが全く一つとなっている夫婦というもののこんな場合のすがたを、微笑みしょうの下に見おろしていた。
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
疾翔大力、微笑みしょうして金色こんじきの円光をもっこうべかぶれるに、諸鳥歓喜かんぎ充満じゅうまんせり。則ち説いて曰く、
二十六夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
快活な微笑うすわらひも寛大な言葉も、彼とは交はすべくもなかつた。
平吉は眼に微笑うすわらいを見せていた。
春心 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
あの女の顔に普段充満しているものは、人を馬鹿にする微笑うすわらいと、勝とう、勝とうとあせる八の字のみである。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
私は微笑うすわらいしながら黙っていた。
うつり香 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
そしてその女の癖であざやかな色したくちを少しゆがめたようにしてまぶしそうにひとみをあげて微笑みかけながら黙っていた。
うつり香 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
「本当に済みませんでしたねえ、随分待ったでしょう。」此方こちらに顔を見せて微笑んだ。
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
そんな家はいい加減にして引きあげた。どちらも微笑にこにこしている間に、自然ととり交わされた礼節が、子供らの敏感な心を柔らげるのであった。
幼年時代 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
「あゝ、今日会いましたよ。」と、微笑にこにこしながら、私の顔を見て言う。
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
それを常談事じょうだんごとにして了って、お三どん新参で大狼狽おおまごつきといって微笑にっこり……偉い!
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
と又微笑にっこりする。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
ルイザは安心して彼をながめ、頭を振り、微笑はほえんでいた。
少年モーツァルトの無邪気ぶりは微笑はほえましい。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
欣弥は手招けば、白糸は微笑ほおえむ。その肩を車夫はとんとちて、
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
微笑ほおえみつつ女子おんなはかく言い捨てて乗り込みたり。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
微笑ほゝえみ光輝かゞやきとにちてゐた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
春の曙の夢は千々に乱れて薄紅の微笑ほゝえみ、カラカラと鳴り渡るしろがねの噴泉、一片ひとひらの花弁、フツと吹けば涙を忘る——泣いて泣いて泣き明した後の清々しさ……と、このやうなとりとめもない言葉を持つて形容するより他
嘆きの孔雀 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
愛嬌のよい微笑わらひを浮べた少年は、トン/\と飛ぶやうに階段を馳け降りて来た。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
青楼ちややへ遊びにゆく客といふものは、大抵見え坊で、内証ないしようはぴいぴいでも、懐中ふところには山をひ、やしきを購ひ、馬を購ひ、郵便切手を購ひ、おつりで若いをんな微笑わらひを購ふ位の財貨かねは、いつも持合はせてゐるらしい顔つきをしてゐるものだ。
奥様は目を細くなさいました。何とも物は仰いませんでしたけれど、御顔を見ているうちに、美しい朱唇くちびるゆがんで来て、しまい微笑にっこりわらいになって了いました。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「溝の中を歩く人。」と口の中で云つて、私は思はず微笑につこりした。
菊池君 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
「どうも有難うございました」、とのめるように私の床のそばに坐りながら、「好かったわねえ」、と私と顔を看合わせて微笑にッこりした。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
あいといって雪江さんが私のかおを見て微笑にッこりする……
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
心配しんぱいするなと微笑びしようふくんでつむりでらるゝに彌々いよ/\ちゞみて、喧嘩けんくわをしたとふと親父とつさんにかられます
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「…………」お米は何んとも云わなかったが、その代わり静かに顔を上げ、幽かに微笑ほおえみを頬に浮かべた。
三甚内 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
そうってわたくしかお微笑ほほえまれました。
「何だい?」と答えて棟梁は庄吉の顔を見返したが、庄吉が其儘下を向いて了ったので唯微笑ほほえんでみせた。
少年の死 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)