“唇”のいろいろな読み方と例文
読み方(ふりがな)割合
くちびる69.6%
くち30.2%
クチ0.2%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
だし抜けに、荒々あらあらしく揺すぶって、柳吉が眠い眼をあけると、「阿呆あほんだら」そしてくちびるをとがらして柳吉の顔へもって行った。
夫婦善哉 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
死人のようにほっペタをへこまして、白い眼と白いくちびるを半分開いて……黄色い素焼みたいな皮膚ひふの色をして眠っているでしょう。
狂人は笑う (新字新仮名) / 夢野久作(著)
しゃべりだすと油紙に火がついたように、べらべらと止め度もなく田舎訛いなかなまりの能弁が薄いくちびるいてほとばしるのだった。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「そんならついて来い。葡萄などもうてちまへ。すっかりくちびるも歯も紫になってる。早くついて来い、来い。おくれたら棄てて行くぞ。」
(新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
うれしさうなくちびる艷々つや/\あかいのを、じつながめて、……やつこつゝんでくれた風呂敷ふろしき
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そしてその女の癖であざやかな色したくちを少しゆがめたようにしてまぶしそうにひとみをあげて微笑みかけながら黙っていた。
うつり香 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
彼女はバグリオーニの解毒剤をそのくちにあてると、その瞬間にラッパチーニの姿が入り口から現われて、大理石の噴水の方へそろそろと歩いて来た。
ガラリと格子こうしが開きました。銭形平次が帰って来たのです。さかずきを膳へ置くかと思った八五郎の手は、意地汚くそのままくちへ——。
——すると大蔵は、いきなり城太郎の手を引き寄せて、ぎゅっと、羽交締はがいじめに抱き込みながら、彼の耳へ、くちをつけて、小声にいった。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
——語りつつ藤房は、その夢ものがたりが、自分のくちから出るのでなく、自分も聴かされているてん啓示けいじみたいな気がされていた。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
盗、畏震イシンシテ、速ヤカニアナヲ出デ、相顧ミテ、モノヲ云ワントスレバ、クチハ皆、ウルシニ閉ジラレテ開カズ、手ノ玉帯ヲ見レバ、各〻、怖ロシゲナル巨蛇キョダツカミテアリシト。
三国志:12 篇外余録 (新字新仮名) / 吉川英治(著)