“掴”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
つか89.2%
つかま7.2%
つかみ1.2%
づか0.6%
かく0.5%
つま0.5%
にぎ0.5%
ツカ0.2%
0.1%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
そして右手で制動機のハンドルをつかみ、左廻しにがらがらと廻してみてから、次に右へがらがらと廻し、制動機に故障のないことをたしかめる。
季節のない街 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
と男はいうと彼女の手首をつかまえて背を向けると両手で彼女の足を抱いて歩き出した。母は男の背の上で「あぶない険い。」と笑い声でいった。
(新字新仮名) / 横光利一(著)
旅びとはあたりをちょっと見返ったが、やがてずっと寄って六三郎の手をとった。驚いて振り放そうとしたが、彼はつかんだその手をゆるめなかった。
心中浪華の春雨 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
——どうかして、座敷へ飛込とびこんで戸惑いするのをつかまえると、てのひらで暴れるから、このくらい、しみじみと雀の顔を見た事はない。
二、三羽――十二、三羽 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
思うに「詩」という言語ほど、従来広く一般的に使用されて、しかもその実体の不可解であり、意味のつかまえどころなく漠然としたものはないであろう。
詩の原理 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
「なに臨終だァ? 莫迦ばかをいいなさい生きているものをつかまえて、臨終とは何ごとかッ」大竹女史は、男のようなけわしい顔付をして叫んだ。
西湖の屍人 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ピシャリと、柿丘の頬に、まぬるいものが当ると、耳のうしろをかすめて、手帛ハンカチらしい一つかみほどのものがパッとひるがえって落ちた。
振動魔 (新字新仮名) / 海野十三(著)
平次は一とつかみの錢と小粒をぜて馬吉の膝小僧の下にならべたのです。額は二分以上あつたでせうが、馬鹿に取つては、一貫の上は二貫でなければなりません。
つかみの半襟地を窓明りにかざしては元の位置へ置き、又他の一つかみを取上げて同じ事を繰返して居た。
偽刑事 (新字新仮名) / 川田功(著)
それと気が付いたときにはあッとくず折れそうであったにかかわらず、それでもふみ耐えて、手近かな垂木たるきをわしづかみにすることが出来たのだ。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
婆奴等ばゝめらかまあななんてつけが、えゝから汝等わツらだまつててろ、なんてそれからおれぐうつとあたまふんづかめえて
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
父は、じっと、それに目を通してから、右の手に、鷲づかみにしていた札束を、相手の面前に、突き付けた。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
突然、伊兵衛は顔をなで廻している。巨富一かくの夢がさめて、顔へ落ちたきたなごみを払ったところは、あまりいい図ではありません。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
恐らくその結果は、少年をして質実堅忍な気風を慕うよりか、軽躁飄逸けいそうひょういつを喜ぶことになり、正しきためには、自己をも犠牲にせんとする純情よりは一かく千金の富貴と成功を夢むこととなり、いつしか高邁こうまいなる勧学の精神を失うと共に、読書力の低下を示すでありましょう。
と、さきに一捷いっしょうかくした秀吉から、謙譲けんじょうを示したことが、まず非常に、会議の進捗しんちょくを円滑にしたのである。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
順々に運ばれる皿数コーセスの最後に出た独活アスパラガスを、瑠璃子夫人がその白魚のやうな華奢な指先で、つまみ上げたとき、彼女は思ひ出したやうに美奈子に云つた。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
雑魚寝の女護の島で、宿酔ふつかよい海豹あざらし恍惚うっとりと薄目を開けると、友染を着たかもめのような舞子が二三羽ひらひらと舞込んで、眉をでる、鼻をつま
白花の朝顔 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「何でもないさ、東京近くのこの温泉なら先生の弟子だといってちょっと楽器をつまんでみせれば、座敷や家庭教師の口はいくらでもある。まあこのくらいな横着は先生にも大目に見て頂くさ」
呼ばれし乙女 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
兄喜三郎に頼まれて、井上流砲術の秘伝を盗む為に、二人の手先まで使って、あんな細工をしたに違いあるまい——己れ憎い女ッ、——井上半十郎思わず拳をにぎって起ち上りました。
江戸の火術 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
銭さえ払えばいとして、船頭やい、船はどうする、と嘉吉が云いますと、ばら銭をにぎったこぶし向顱巻むかうはちまきの上さ突出して、半だ半だ、何、船だ。船だ船だ、と夢中でおります。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そしてそれを手ににぎりながら入口から中へ消えてしまった。
男たちに言ひつけて、畳にしがみつき、柱にかきスガ古婆フルババツカみ出させた。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
盗、畏震イシンシテ、速ヤカニアナヲ出デ、相顧ミテ、モノヲ云ワントスレバ、クチハ皆、ウルシニ閉ジラレテ開カズ、手ノ玉帯ヲ見レバ、各〻、怖ロシゲナル巨蛇キョダツカミテアリシト。
三国志:12 篇外余録 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
其晩は鼻をまゝれる程の闇で、足許あしもとさへも覚束なかつた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)