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掴
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つかま
ふりがな文庫
“
掴
(
つかま
)” の例文
ここで按摩が殺す気だろう。構うもんか、勝手にしろ、似たものを
引
(
ひき
)
つけて、とそう覚悟して按摩さん、背中へ
掴
(
つかま
)
ってもらったんだ。
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
彼女は男が、娘や私たちを認めて、歩を運び出した
刹那
(
せつな
)
に、「あたし——」といって、かなりあらわに体を
慄
(
ふる
)
わして、私の肩に
掴
(
つかま
)
った。
河明り
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「なに臨終だァ?
莫迦
(
ばか
)
をいいなさい生きているものを
掴
(
つかま
)
えて、臨終とは何ごとかッ」大竹女史は、男のような
険
(
けわ
)
しい顔付をして叫んだ。
西湖の屍人
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
このくらい秘密の
魅力
(
みりょく
)
に富んだ、
掴
(
つかま
)
え所のない問題はない。保吉は死を考える度に、ある日
回向院
(
えこういん
)
の
境内
(
けいだい
)
に見かけた二匹の犬を思い出した。
少年
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
傳「旦那もう過去ったから構わねえが、此の人が
死人
(
しびと
)
と知らずに帯に
掴
(
つかま
)
って出ると、
死人
(
しにん
)
が出たので到頭ぼくが割れて縛られて
往
(
い
)
きました」
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
▼ もっと見る
あの場合はまあ脅迫した奴が
掴
(
つかま
)
ったから好いですが、もしそうでなかったらですね、令息は監禁せられていたのですよ
急行十三時間
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
今ごろは世の栄華に誇り切つた目を上げて、新らしい恋人の耳に
私語
(
さゝや
)
いて居ぬとも限らぬ。「昔の事は昔の事。」と男の肩に
掴
(
つかま
)
つて居るかも知れぬ。
茗荷畠
(新字旧仮名)
/
真山青果
(著)
思うに「詩」という言語ほど、従来広く一般的に使用されて、しかもその実体の不可解であり、意味の
掴
(
つかま
)
えどころなく漠然としたものはないであろう。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
「そんなことはわけはない。あなたは、自分の足をいためたことを怒つて、あなたの底豆をけとばしたやつを
掴
(
つかま
)
へてやらうと思つてゐるんぢやないか。」
虹猫の話
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
「それはあたり前さ。何週間も
寝台
(
ねだい
)
の上に寝ていたものが、久し振りに起きたのだから。」こう云って学士が片手を
掴
(
つかま
)
えると、女が反対の側の手を掴えた。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
ふらふらして流し場から脱衣場へ逃れ出ようとすると、佐吉さんは私を
掴
(
つかま
)
え、髯がのびて居ます。
老ハイデルベルヒ
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
巡査は女将の手首を
掴
(
つかま
)
へて、表へ引張り出さうとはするが、肥つた女の
体躯
(
からだ
)
が入口に一杯になつて
何
(
ど
)
うにも仕方が無い。強ひて拘引しようとすれば、入口を
毀
(
こは
)
さなければならぬ。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
死んだ親爺もおふくろも、
賑
(
にぎ
)
やかでお祭り騒ぎが好きで家の中には、笑い声が絶えたことがなかった。兄貴は絵書きになるんだといって家中の誰彼を
掴
(
つかま
)
えてはモデルにしたもんだ。
女の一生
(新字新仮名)
/
森本薫
(著)
男は越中
褌
(
ふんどし
)
一本、女は腰巻一枚、大の字
也
(
なり
)
になり、鼻から
青提灯
(
あおぢょうちん
)
をぶら下げて、惰眠を
貪
(
むさぼ
)
っている
醜体
(
しゅうたい
)
は見られたものではない。試みに
寝惚
(
ねぼ
)
け眼を
摩
(
こす
)
って起上った彼等のある者を
掴
(
つかま
)
え
本州横断 癇癪徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
だが、それは無効であつたと云へる。女は片足を踏出すと、突然、彼の
袂
(
たもと
)
を——それから身体全体を抱へるやうに
掴
(
つかま
)
へて了つたのである。そこには必死な抵抗すべからざるものがあつた。
釜ヶ崎
(新字旧仮名)
/
武田麟太郎
(著)
お信さんは私の腕に
掴
(
つかま
)
つて、漸く身を支へたが、私も少しひよろ/\したので、その拍子に、提灯が烈しく揺れて、火がパツと消えた。同時にお信さんの下駄の鼻緒が片方切れて了つた。
乳の匂ひ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
なんだい、継母じゃないかという眼で玉子を見て、そして、大宝寺小学校へ来年はいるという年ごろの新次を
掴
(
つかま
)
えて、お前は継子だぞと言って聴かせるのに、残酷めいた快感を味っていた。
アド・バルーン
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
平次は子分に
掴
(
つかま
)
へさして居る女中の顏を覗いて、こんな事を言つて居ります。
銭形平次捕物控:002 振袖源太
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
『先生、そこまで御供しやせう。』とまた一人の生徒は橇の後押棒に
掴
(
つかま
)
つた。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
お母さまのいらつしやらない小さい坊ちやんは、もうおくみにお馴れになつて、人なつつこさうに手に
掴
(
つかま
)
つて帰つてお出でになる。向うの電車の音が、あたりの青い木立の中に
軋
(
きし
)
つて聞える。
桑の実
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
「何です何です、泥棒ですか、早く
掴
(
つかま
)
えておしまいなさい」
大菩薩峠:07 東海道の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
彼は
躊躇
(
ためら
)
いがちに、その男を
掴
(
つかま
)
えた。
あめんちあ
(新字新仮名)
/
富ノ沢麟太郎
(著)
柱に
掴
(
つかま
)
って
覗
(
のぞ
)
いたから、どこへおいでることやらと、弥吉はうろうろする内に、お縫は
裾
(
すそ
)
を打って、ばたばたと例の六畳へ取って返した。
葛飾砂子
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その柱の一本に
掴
(
つかま
)
って青白い
生
(
いき
)
ものが水を掻いている。薫だ。薫は小初よりずっと体は大きい。
顎
(
あご
)
や
頬
(
ほお
)
が
涼
(
すず
)
しく
削
(
そ
)
げ、整った美しい顔立ちである。
渾沌未分
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
その忙しさの間に、園長を
掴
(
つかま
)
えてきて、これも料理しスペシァルの御馳走として
象
(
ぞう
)
や
河馬
(
かば
)
などにやらなきゃならんそうで、いやはや大変な
騒
(
さわ
)
ぎですよ
爬虫館事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
又
下
(
おり
)
る時には今にも奈落の底へ
墜入
(
おちい
)
りますかと思う程の有様で、実に山三郎も
迚
(
とて
)
ももういかんと心得ましたから、只
船舷
(
ふなべり
)
に
掴
(
つかま
)
って、船の沈んではならんと
垢
(
あか
)
を
掻出
(
かいだ
)
すのみで
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
といいも終らず、滝太郎はつかつかと庭に出て、飛石の上からいきなり
地
(
つち
)
の上へ手を伸ばした、
疾
(
はや
)
いこと!
掴
(
つかま
)
えたのは一疋の小さな
蟻
(
あり
)
。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
彼のインチキ男は、檻の鉄棒に
掴
(
つかま
)
って、それを前後に揺り動かしながら、私に向って訳のわからぬ言葉で
罵
(
ののし
)
った。
大脳手術
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「あたくし、久しく行水しないから、この
綺麗
(
きれい
)
な水へ入って汗を流したいのよ。あたりに
誰
(
だれ
)
もいませんから、あなたも
一緒
(
いっしょ
)
に入って
腕
(
うで
)
に
掴
(
つかま
)
らしといて下さらない、
怖
(
こわ
)
いから」
鯉魚
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
本人にも一向
掴
(
つかま
)
え処はない。いつも見る景色だけれども、朝だか、晩方だか、薄曇った
日中
(
ひなか
)
だか、それさえ
曖昧
(
あいまい
)
で、ただ見える。
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
チェリーは外へ逃げだしたが、そこで深夜の街を歩いていた丘田医師に
掴
(
つかま
)
ったのだった。掴るというよりも、むしろ助けられたといった方が当っていた。
ゴールデン・バット事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
彼は客の誰彼を
掴
(
つかま
)
えてはニューヨークの
文士村
(
グリンウィッチビレージ
)
の話をした。
巴里
(
パリ
)
の芸術街を
真似
(
まね
)
ようとするこの街はアメリカ人気質と、憧憬による誇張によって異様で刺激的なものがあった。
食魔
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
稲妻を
掴
(
つかま
)
えそうな慌て方で、ざぶざぶ
真中
(
まんなか
)
で
追
(
おっ
)
かける、人の
煽
(
あお
)
りで、水が動いて、手毬は一つくるりと廻った。岸の方へ寄るでねえかね。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
鉄梯子に
掴
(
つかま
)
って、上を見ると、政は、
気息奄々
(
きそくえんえん
)
たる形であるが、早くも半分ばかりの高さまで登っていた。
夜泣き鉄骨
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
千歳が呆れるのも構わずに、慶四郎は無造作に千歳の肩を
掴
(
つかま
)
えて向を変えさせ、腕を抱えてぐんぐん外へ連れ出した。家にいるときも慶四郎は悪気もなくよく突飛なことをする男だった。
呼ばれし乙女
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
ちょうど今しがた、根津の交番で、
太
(
いた
)
く取乱した女が一人
掴
(
つかま
)
ったが、神月という人を尋ねるのだとばかりで、
取留
(
とりとめ
)
のないことを言っている。
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
実はルナ・アミーバーを一匹
掴
(
つかま
)
えたんだ。そいつは、この門の近くの沼に浮いているのを見付けたんだ。
崩れる鬼影
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
そして船の中へ移るとき、わざとよろけて柚木の背を抱えるようにして
掴
(
つかま
)
った。
老妓抄
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
どうかして、座敷へ
飛込
(
とびこ
)
んで戸惑いするのを
掴
(
つかま
)
えると、
掌
(
てのひら
)
で暴れるから、このくらい、しみじみと雀の顔を見た事はない。
二、三羽――十二、三羽
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
大胆不敵の
兇賊
(
きょうぞく
)
痣蟹仙斎
(
あざがにせんさい
)
が隠れ柱の中に逃げこもうとするのを、素早く覆面探偵青竜王がムズと
掴
(
つかま
)
えたと思ったが、引張りだしてみると何のこと、痣蟹の左足の長靴と
恐怖の口笛
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
そして船の中へ移るとき、わざとよろけて柚木の背を抱えるようにして
掴
(
つかま
)
った。
老妓抄
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
前
(
まへ
)
を
通
(
とほ
)
り
拔
(
ぬ
)
けるばかりで、
身體
(
からだ
)
が
窘
(
すく
)
みます。
歩行
(
ある
)
けなく
成
(
な
)
つた
所
(
ところ
)
を、
掴
(
つかま
)
つたら
何
(
ど
)
うしませう……
私
(
わたし
)
死
(
し
)
んで
了
(
しま
)
ひますよ……
婦
(
をんな
)
は
弱
(
よわ
)
いものですねえ。
艶書
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
僕の考えでは、黒田さんは、私を襲ったと同じ怪物に、いきなり
掠
(
さら
)
われたんだと思いますよ。あの怪物が、追っかけた黒田さんの身体を
掴
(
つかま
)
え、空中へ
攫
(
さら
)
いあげたのでしょう。
崩れる鬼影
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
貴女、それこそ
乳母
(
おんば
)
日傘で、お浅間へ参詣にいらしった帰り途、円い竹の
埒
(
らち
)
に
掴
(
つかま
)
って、御覧なすった事もありましょう。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「そうそう、ミツ坊に、この靴下を持ってってやらなきゃあ。おじいさんは、靴下を早く持って行けと云っときながら、あたしのことを
掴
(
つかま
)
えてモルモットの話なんだからねえ」
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
けれども、私だって、まるで夢を見たようなんですから、霧の中を探るように、こう
前後
(
あとさき
)
を
辿
(
たど
)
り辿りしないと、
茫
(
ぼう
)
として
掴
(
つかま
)
えられなくなるんですよ。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「ほう、もう八時に二分しか無いね。先生、また女の患者にでも
掴
(
つかま
)
ってんのじゃないか」
恐しき通夜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
五合
(
ごんつく
)
ふるまわれたお
庇
(
かげ
)
にゃ、名も覚えりゃ、人情ですよ。こけ勘はお里が知れまさ、ト
楫棒
(
かじぼう
)
へ
掴
(
つかま
)
った形、腰をふらふらさせながら前のめりに
背後
(
うしろ
)
から
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そのうえに、路がだんだん
泥濘
(
ぬか
)
ってきて、一歩力を入れてのぼると、二歩ズルズルと滑りおちるという風だった。それを
傍
(
そば
)
の
棒杭
(
ぼうぐい
)
に
掴
(
つかま
)
ってやっと身体を支え、ハアハア息を切るのだった。
西湖の屍人
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
浴室
(
ゆどの
)
だ、
浴室
(
ゆどの
)
だ。
見
(
み
)
ておいで。と
女中
(
ぢよちゆう
)
を
追遣
(
おひや
)
つて、
倒
(
たふ
)
れ
込
(
こ
)
むやうに
部屋
(
へや
)
に
入
(
はい
)
つて、
廊下
(
らうか
)
を
背後向
(
うしろむ
)
きに、
火鉢
(
ひばち
)
に
掴
(
つかま
)
つて、ぶる/\と
震
(
ふる
)
へたんです。……
老爺
(
おぢい
)
さん。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
掴
漢検準1級
部首:⼿
11画
“掴”を含む語句
引掴
一掴
大掴
鷲掴
手掴
掴出
掴取
掴合
打掴
鰌掴
掻掴
掴殺
掴寄
掴込
片手掴
掴得
荒掴
諸掴
掴拳
鼻掴
...