“蟻”の読み方と例文
読み方割合
あり100.0%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
夜になって雨が降りだして珍らしい暴風雨あらしになったが、その暴風雨の中で山田家のあの中央まんなかありの塔のある土蔵がつぶれた。
春心 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
土を穿ち、土を移し、土をらし、土を積む。彼等は工兵のありである。同じ土に仕事する者でも、農は蚯蚓みみずである。蚯蚓は蟻を恐れる。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
二百疋の子供は百九十八疋までありに連れてかれたり、行衛不明ゆくえふめいになったり、赤痢せきりにかかったりして死んでしまいました。
蜘蛛となめくじと狸 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
狭い路地口には真黒い警官がつめかけていて、この家の周囲まわりありの這い出るすきもないくらい厳重にとりかこまれているようである。
冥土行進曲 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
……此を高櫓たかやぐらからあり葛籠つづら背負しょつたやうに、小さく真下まっしたのぞいた、係りの役人の吃驚びっくりさよ。
妖魔の辻占 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ありでもきましたか」と門野かどのが玄関の方からた。はかま穿いてゐる。代助はこゞんだ儘顔をげた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
秩父ちちぶふもとから、ありのように絶えまなく、山道を登って行く小さい人影は、いちど、山をめぐる密雲の中へ皆、隠れてしまう。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
トは知らずしてお勢が、怜悧れいりに見えても未惚女おぼこの事なら、ありともけらとも糞中ふんちゅううじとも云いようのない人非人
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
某百貨店でトリルダインと称する機械を買って来て据付けた最初の日の夕食時に聞いたのは、伴奏入りの童話で「あり蟋蟀きりぎりす」の話であった。
ラジオ雑感 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
——いやいやここで腕立てなどしたら、師匠の迷惑は言うまでもなく、殊更、自分は、大望ある身体からだ、千丈のつつみありの一穴。辛抱だ——
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)