“梅雨”のいろいろな読み方と例文
読み方(ふりがな)割合
つゆ92.8%
ばいう4.3%
さみだれ2.2%
つうゆ0.7%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
梅雨つゆがあけて暑中になると、近鄰の家の戸障子が一斉に明け放されるせいでもあるか、他の時節には聞えなかった物音が俄に耳立ってきこえて来る。
濹東綺譚 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
返り梅雨つゆで庭先はぬかるみでしたから、地上にはかれが歩くのとともに、はっきりとうしろ前をさかしまにはいているわらじの跡がついたのです。
妾はしぶしぶ云いつけられたとおり庭に下り、梅雨つゆちかい空の下に咲き乱れる立葵の一と枝をとっては、大急ぎでまた元の座敷牢へとび上っていった。
三人の双生児 (新字新仮名) / 海野十三(著)
それは、二、三日もの間、降りつづいた、梅雨つゆのように、うっとうしい雨が、からりと晴れて、身も心も晴々とするような午後のことでございました。
両面競牡丹 (新字新仮名) / 酒井嘉七(著)
「……入梅に入つてゐるのにおしめりがないのを案じてゐたんだが、まア好かつた、雨になつて来た、これで一と安心だ——カラ梅雨つゆは不吉だ。」
籔のほとり (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
併し、嘉三郎は、そのまま何も言わずに、残っている冷酒ひやざけを一息にあおると、せわしく勘定をして、梅雨ばいうの暗い往来へ出て行った。
栗の花の咲くころ (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
梅雨ばいうはまだ明けてはいないが、朝から好く晴れた空は、日の長いころの事で、夕飯をすましても、まだたそがれようともしない。
濹東綺譚 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
それは、幾日いくにちつゞいてをつた梅雨ばいうあがかぜである、といふ意味いみです。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
梅雨ばいうはこんな風に何時から降出したともなく降り出して何時止むとも知らず引き続く……
花より雨に (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
あるあさ二人ふたりは、このおおきなほたるもんでいるのをいだしました。そのときすでに、じめじめした梅雨ばいうぎて、そらは、まぶしくかがやいていたのであります。
海ぼたる (新字新仮名) / 小川未明(著)
ほととぎす、梅雨さみだればれの白日や、大河流るる音きき居れば。
短歌 (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
梅雨さみだれの中に一日カッと晴れた日があった。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
梅雨さみだれのふるき板やの雨もりに
梅雨つうゆのおあめも寝ておくれ、
晶子詩篇全集拾遺 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)