“陽炎”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
かげろう75.8%
かげろふ14.8%
かげろ2.3%
かげらふ1.6%
カゲロフ1.2%
かぎろひ1.2%
カゲロ1.2%
ようえん0.8%
かぎろ0.4%
ひや0.4%
カゲロウ0.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
もはや彼は、奔馬のような脈を感じ、錯覚さえも生じて、蘆も土橋も水も何もかも、キラキラした、陽炎かげろうの中に消え去る思いがした。
人魚謎お岩殺し (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
障子しやうじを細目に開けて見ると、江戸中の櫻のつぼみが一夜の中にふくらんで、いらかの波の上に黄金色の陽炎かげろふが立ち舞ふやうな美しい朝でした。
唯、朱雀の並み木の柳の花がほほけて、霞のように飛んで居る。向うには、低い山と、細長い野が、のどかに陽炎かげろうばかりである。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
陽炎かげらふひざつて、太陽たいやうはほか/\としてる。そられたが、くさ濡色ぬれいろは、次第しだいかすみ吸取すひとられやうとする風情ふぜいである。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
日の光りは、霞みもせず、陽炎カゲロフも立たず、タダをどんで見えた。昨日眺めた野も、斜になつた日を受けて、物の影が細長く靡いて居た。青垣の様にとりまく山々も、愈々イヨイヨ遠く裾を曳いて見えた。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
海凪ぎぬ、陽炎かぎろひひがしに立つと
新頌 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
唯、朱雀の竝み木の柳の花がほゝけて、霞のやうに飛んで居る。向うには、低い山と、細長い野が、のどかに陽炎カゲロふばかりである。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫釈迢空(著)
そこをドナウはゆるくうねり、銀いろに光って流れている。そのながれが遠く春の陽炎ようえんのなかに没せむとして、絹糸きぬいとの如くに見えている。
ドナウ源流行 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
陽炎かぎろひわたるたまのつや
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
男はガルールの頭のてっぺんから、真黒に陽炎ひやけのした頑丈な頸筋や、広い肩や、逞ましい腕のあたりをじろじろと見た。
この國の女子ヲミナゴに生れて、一足も女部屋ヲンナベヤを出ぬのを、美徳とする時代に居る身は、親の里も、祖先の土も、まだ踏みも知らぬ。あの陽炎カゲロウの立つてゐる平原を、此足で、隅から隅まで歩いて見たい。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫釈迢空(著)