“膨”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ふく80.4%
ふくら7.4%
6.1%
ぶく2.3%
ふっく1.3%
0.6%
ふつく0.6%
むつち0.6%
ふわ0.3%
ぶくれ0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
すると今も夕日は朱盆しゅぼんのように大きくふくれた顔を、水平線の上に浸そうというところだった。それはいつに変らぬ平和な入日だった。
空襲警報 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そうして、だんだんと指の間が離れてゆくのが、朝夕目立ってゆくうちに、このアマリリスのつぼみが、ふっくらとふくらんでまいりました。
潜航艇「鷹の城」 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
それを師匠が嫉妬やきもちをやきまして、何も怪しい事も無いのにワク/\して、眼のふちへポツリと腫物できものが出来まして、それがれまして
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
かたくびよりたかそびえて、ぞく引傾ひきかたがりと代物しろものあをぶくれのはらおほいなるうりごとしで、一尺いつしやくあまりのたなちりあまつさびつこ奈何いかん
鑑定 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
青月代あおさかやきが、例の色身いろみに白い、ふっくりした童顔わらわがお真正面まっしょうめんに舞台に出て、猫が耳をでる……トいった風で、手を挙げて、見物を制しながら、おでんと書いた角行燈をひょいと廻して
陽炎座 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
左右に振りく粟のたまも非常に軽そうだ。文鳥は身をさかさまにしないばかりにとがった嘴を黄色い粒の中に刺し込んでは、くらんだ首を惜気おしげもなく右左へ振る。
文鳥 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
藍地あゐぢこん立絞たてしぼり浴衣ゆかたたゞ一重ひとへいとばかりのくれなゐせず素膚すはだた。えりをなぞへにふつくりとちゝくぎつて、きぬあをい。
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
と、心持息をはずませて、呆氣にとられてゐる四人の顏を急しく見廻した。そしてむつちりと肥つた手で靜かにその解職願を校長の卓から取り上げた。
足跡 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
すっと入交いれかわったのが、の大きい、色の白い、年の若い、あれは何と云うのか、引緊ひきしまったスカートで、肩がふわりと胴が細って、腰の肉置ししおき、しかも、そのゆたかなのがりんりんとしている。
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
鳥屋の店先であをぶくれの若者が、パタ/\あがいてゐる鷄をつかんで首をおツぺしよるやうに引ンねぢツてゐることや、肉屋の店に皮を剥がれたまゝの豚がかぎに吊されて逆さになツてゐることや
解剖室 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)