“腫物”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
はれもの61.6%
できもの17.1%
しゅもつ11.6%
おでき3.0%
でき2.4%
しゆもつ1.8%
くさ0.6%
しゅぶつ0.6%
できもん0.6%
ふきでもの0.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「この辺は、みんな、あなたの畑なんでしょうか。」かえって私のほうが、腫物はれものにでも触るような、冷や冷やした気持で聞いてみた。
善蔵を思う (新字新仮名) / 太宰治(著)
我国にて塩引にしたるを大晦日おほつごもりせちには用ひざる家なし。又病人にもくはす。他国にて腫物できものにいむは、これになれざるゆゑにやあらん。
浅草は東京という都会の皮膚に開いた毒々しい腫物しゅもつの花だからだ。そこには常態でない凡てのものが、ウジャウジャとたかっている。
猟奇の果 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
五歳になるその上の女の子は、頭から顔から腫物おできが出来て、夜になるとそれが痛いのかかゆいのか、これも又ヒステリイの様に泣き叫ぶのだ。
毒草 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「きれいな子ですよ。お腫物でき一つできない……。」と言って、お銀は餅々もちもちしたそのもものあたりを撫でながら、ばさばさした襁褓むつきあてがってやった。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
眼をねぶつた様な積りで生活といふものゝ中へ深入りして行く気持は、時として恰度ちやうどかゆ腫物しゆもつを自分でメスを執つて切開する様な快感を伴ふ事もあつた。
弓町より (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
その他、つまらんようなことですが、足にマメができたとか、あるいは頭に腫物くさができたとかいうときには、俗に「馬」という字を三つ書くとなおると申します。
妖怪学一斑 (新字新仮名) / 井上円了(著)
それでいて腫物しゅぶつでもあるのであろう、角に切った膏薬が貼ってあった。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
腫物できもんの神さんの石切の下の百姓に預けられたいうさかい、親父も気のせわしい男やったが、こっちもこっちで、八月でおんのおなか飛びだすぐらいやさかい、気の永い方やない。
アド・バルーン (新字新仮名) / 織田作之助(著)
それが一月の末時分から口や鼻のまわりから頭髪あたまさい腫物ふきでもののようなものが出来て来たからまた医者に行って見てもらうと医者は、顔をしかめて
うつり香 (新字新仮名) / 近松秋江(著)