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腫物
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できもの
ふりがな文庫
“
腫物
(
できもの
)” の例文
我国にて塩引にしたるを
大晦日
(
おほつごもり
)
の
節
(
せち
)
には用ひざる家なし。又病人にも
喰
(
くは
)
す。他国にて
腫物
(
できもの
)
にいむは、これになれざるゆゑにやあらん。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
それを師匠が
嫉妬
(
やきもち
)
をやきまして、何も怪しい事も無いのにワク/\して、眼の
縁
(
ふち
)
へポツリと
腫物
(
できもの
)
が出来まして、それが
斯
(
こ
)
う
膨
(
は
)
れまして
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
次女は年が年中
腫物
(
できもの
)
だらけの頭をしていた。風通しが悪いからだろうというのが
本
(
もと
)
で、とうとう髪の毛をじょぎじょぎに
剪
(
き
)
ってしまった。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「お忘れかもしれませんが、たった一ぺん、おふくろの
腫物
(
できもの
)
を
癒
(
なお
)
していただいたことがございましてね。はい。
潯陽江
(
じんようこう
)
の張順と申すんで」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
私は今度
躯
(
からだ
)
に
腫物
(
できもの
)
が出来たので、これは
是非共
(
ぜひとも
)
、入院して切開をしなければ、いけないと云うから、
致方
(
いたしかた
)
なく、
京都
(
きょうと
)
の某病院へ
入
(
い
)
りました。
死体室
(新字新仮名)
/
岩村透
(著)
▼ もっと見る
わたしは
腫物
(
できもの
)
で困つてゐる者ですが、幸ひに親切な人が
一貼
(
いっちょう
)
の
膏薬
(
こうやく
)
をくれまして、これを貼れば
直
(
す
)
ぐに
癒
(
なお
)
るといふのです。
赤膏薬
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「
紫錦
(
しきん
)
」と「
爺
(
とっ
)
つあん」は云いつづけた。「俺の命は永かあねえ、胃の腑に
腫物
(
できもの
)
が出来たんだからな。で俺はじきに死ぬ。また死んでも惜しかあねえ。 ...
大捕物仙人壺
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
本職でなくても
宜
(
い
)
い。
腫物
(
できもの
)
のあるのや
禿頭病
(
とくとうびょう
)
白雲
(
しらくも
)
田虫
(
たむし
)
湿瘡
(
しっそう
)
皮癬
(
ひぜん
)
なんてのを
見繕
(
みつくろ
)
って、
入
(
い
)
り
代
(
かわ
)
り立ち代り坐り込ませる。これなら親類にいくらもあるだろう?
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
じっとしていると、水面に
覗
(
のぞ
)
いている大きな眼のようでもあり、どんより
澱
(
よど
)
んだ沼の
腫物
(
できもの
)
のようでもある。
博物誌
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
夫人は身体に妙な
腫物
(
できもの
)
が出来たといって、温泉の別荘へ来て
居
(
お
)
られた。それは確です。僕はその変名婦人の主治医ということになっていました。それも
確
(
たしか
)
です。
白髪鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
ハイ、猪の肉は冬の寒い時食べても人の
腫物
(
できもの
)
や
疵
(
きず
)
が
直
(
す
)
ぐに
膿
(
うみ
)
を持つ位で大層刺撃性の強いものです。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
しかし驚くべきはこの辺に住んでいる女房たちで、寒い日にはそれをば
頻
(
しきり
)
と便利がって、
腫物
(
できもの
)
だらけの
赤児
(
あかご
)
を背負い汚い歯を出して無駄口をききながら物を洗っている。
監獄署の裏
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
そうして其処を気にしながら、「
腫物
(
できもの
)
が出来ましてね。」とこぼしていた。
上海游記
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
私は元来
脾弱
(
ひよわ
)
かつたうへに生れると間もなく大変な
腫物
(
できもの
)
で、母の形容によれば「松かさのやうに」頭から顔からいちめんふきでものがしたのでひきつづき東桂さんの世話にならなければならなかつた。
銀の匙
(新字旧仮名)
/
中勘助
(著)
青
(
あお
)
ッ
洟
(
ぱな
)
だの、
腫物
(
できもの
)
たかりだの、眼やにくそだの、味噌っぱだの、頬も手も、かじかんでる癖に、寒さを知らない伊吹山の麓の風の子たちが
雲霧閻魔帳
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
眼の下へポツリと
訝
(
おか
)
しな
腫物
(
できもの
)
が出来て、其の腫物が段々
腫上
(
はれあが
)
って来ると、紫色に少し赤味がかって、
爛
(
たゞ
)
れて
膿
(
うみ
)
がジク/″\出ます、眼は一方
腫塞
(
はれふさ
)
がって
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
腫物
(
できもの
)
なんて嘘の皮さ。ただ甘い亭主をだます悪がしこい手段に過ぎなかったのさ。オイ、お豊、わしの推察に少しでも間違った所があるか。あるなら云って見るがいい。
白髪鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「そんなことはありませんよ。
腫物
(
できもの
)
で瞼が引き釣ったりした場合には必要な手術ですからね」
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
ただ自分の隣りに
腫物
(
できもの
)
だらけの、
腐爛目
(
ただれめ
)
の、
痘痕
(
あばた
)
のある男が乗ったので、急に心持が悪くなって向う側へ席を移した。どうも当時の状態を今からよく考えて見るとよっぽどおかしい。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ほんとにほんとに太郎丸という奴、まるで命取りの
腫物
(
できもの
)
のような奴だ!
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
ところが近世の新刀となると、これほど錆させたらもうだめですわい。新刀の錆は、まるで
質
(
たち
)
のわるい
腫物
(
できもの
)
のように
地鉄
(
じがね
)
の
芯
(
しん
)
へ腐りこんでいる。
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
先刻
(
さっき
)
彼処
(
あすこ
)
へ掛ると雨は降出します、土手を下りるにも、鼻を
撮
(
つま
)
まれるも知れません真の闇で、すると、お久の眼の下へポツリと
腫物
(
できもの
)
みたような物が出来たかと思うと
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
瑠璃子は、数日前から身体に
腫物
(
できもの
)
が出来て、少しも直らないというのだ。
白髪鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
手術ってたって、そう
腫物
(
できもの
)
の
膿
(
うみ
)
を出すように簡単にゃ行かないんだよ。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「
腫物
(
できもの
)
なら私だと痛いですから、誰か他の方に紹介して上げましょう」
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
またよく見ると、その毛の根には、大きな
灸
(
きゅう
)
の
痕
(
あと
)
みたいな古傷がある。幼少の時に病んだ
疔
(
ちょう
)
という
腫物
(
できもの
)
のあとで
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
高く成ったから不思議で、何うなさるかと思うと、額の肉を
殺
(
そ
)
いで鼻へ附けて、段々高くしたんですが、飴細工みたようで、少し
腫物
(
できもの
)
が痛いと云うと、フと斬って、イヤ
癒
(
なお
)
ったろうと云うのですが
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
勝家は大紋の衣服の
皺
(
しわ
)
を大きく揺りうごかした。
午
(
ひる
)
まえなのでまだ暑気もさしてではないが、彼には式服の厚着と例の皮膚の
腫物
(
できもの
)
とが人知れぬ苦痛らしかった。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
耕介の横びんに
薄禿
(
うすはげ
)
があって、鼠に
齧
(
かじ
)
られたような
腫物
(
できもの
)
に、
膏薬
(
こうやく
)
が貼ってあるところなど——
窯
(
かま
)
の中で
傷
(
きず
)
になった
陶器
(
やきもの
)
の自然のくッつきとも見えて、一だんと
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
頭の脳天に——ちょうど
月代
(
さかやき
)
の辺に
疔
(
ちょう
)
という
腫物
(
できもの
)
を
患
(
わずら
)
って、今でも
痣
(
あざ
)
のような黒い
痕
(
あと
)
を残しているので
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ひん曲った
板屋廂
(
いたやびさし
)
の下や、荒壁と荒壁の路地のあいだから、この
界隈
(
かいわい
)
の子達が、あせもだの
腫物
(
できもの
)
だの、鼻くそ光りの顔をもって、羽の強い虫みたいにいま飛び出して来た。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
蛮境の乱は、たとえば
癬疥
(
せんかい
)
という
腫物
(
できもの
)
のようなもので、気にすればうるさい病だが、ほうっておけばまたいつのまにか癒るものである。——何とかお考え直しはなりませぬか
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いちどの
湯浴
(
ゆあ
)
みも水拭きもしたことなく、皮膚は
垢
(
あか
)
とこの冬中の寒気で松かさみたいになっている。やや暖かになって来たと思うと、体じゅう
得体
(
えたい
)
の知れない
腫物
(
できもの
)
ができてきた。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかし、喰われた後は血になって、それが無数に、
胡麻粒
(
ごまつぶ
)
ほどな
腫物
(
できもの
)
になっていた。
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
内職もやる、百姓仕事もする、それでもなお喰えないとみえ、非番の日は、
腫物
(
できもの
)
だらけな子どもを負い、
洟垂
(
はなた
)
らしの手をひいて、諸家の弓直しや具足の手入れなどさせて貰って
糊
(
のり
)
をしていた。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「背なかの
腫物
(
できもの
)
をこの眼で見たい。鏡をよこせ」
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
旅土産
(
たびみやげ
)
は、
腫物
(
できもの
)
でござったか」
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
腫
常用漢字
中学
部首:⾁
13画
物
常用漢字
小3
部首:⽜
8画
“腫”で始まる語句
腫
腫脹
腫瘍
腫上
腫瘤
腫起
腫眶
腫塞
腫気
腫熱