“彼処”のいろいろな読み方と例文
旧字:彼處
読み方割合
かしこ37.3%
あすこ35.7%
あそこ21.3%
あちら1.0%
そこ1.0%
あっこ0.6%
あれ0.6%
あそご0.6%
あしこ0.3%
あすけ0.3%
あち0.3%
あっち0.3%
あつち0.3%
かのところ0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「昨日ノ朝、妙ナ船ニ会イマシタ、三本帆檣ノ二千バカリノ奴デス。船内ニハ誰モ居ナイ様子デ……何処彼処モ血ダラケデシタ」
流血船西へ行く (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
行き合ふ人や後から来る人に顔を見られても、彼処まで行つてしまへば何処から来たのだか分るまいと云ふやうな気がするのである。
買出し (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
どの余計なことだけれど、お前さんを見かけたから、つい其処だし、彼処の人だったら、ちょいと心づけてこうと思ってさ。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それはも旧暦八月の一日の夜で、ち名月の晩だったが、私は例の通り、師匠のをその朝早く出て、谷中に行って、終日遊んでとうとう夜食を馳走になって、彼処を出たのが、九時少し前
死神 (新字新仮名) / 岡崎雪声(著)
黎明は突如としてき起これる妖雲によって、くは閉ざされようとも、吾々の前途の希望は依然として彼処に係っている。
二・二六事件に就て (新字新仮名) / 河合栄治郎(著)
「……いつや姉ちゃんに着物持って来てもろた家なあ? 彼処やったら気分もよう分ってるし、安心やねんけど、……彼処にせえへんか?」
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
実は彼処にて聞兼て居りましたが、如何にも相手が悪いから、お嬢様をお連れ遊ばしてかし御迷惑でござろうとお察し申します、入らざる事と思召すかしらんが
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
したぞ。こんたなまで来て。して黙って彼処に居なぃがった。おぢいさん、うんと心配してるぞ。さ、早くべ。」
種山ヶ原 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
あれ、彼処に我が兄子の、狩の扮装をして野原にせて行きやる。あれ、馬から落ちられた。
森の妖姫 (新字新仮名) / 小川未明(著)
母「アヽ痛い、あゝあのお医者様から貰ったお薬は小さえ手包の中へ入れて置いたが、彼処え上げて置いたが、あれ持って来たか」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
重荷うて直下に働いて居る彼爺さん達、彼処此処に鳶色にれたの下の木蔭に平和を夢みて居る幾個茅舎
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
「そうか。お前が彼処に居なくなったのは、誰か好きな人ができて、一緒になったからだと思っていたんだ。こんな処へ稼ぎに出ているとは知らなかったヨ。」
吾妻橋 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
彼処なくなつたのは、きなができて、一になつたからだとつてゐたんだ。こんなぎにてゐるとはらなかつたヨ。
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
青柳より筑前領の大島に出で、彼処より便船を求めて韓国に渡り、伝へ聞く火賊の群に入りての国を援け、の大宗の軍兵に一泡噛ませ呉れむと思ひし也。
白くれない (新字新仮名) / 夢野久作(著)