“此処”のいろいろな読み方と例文
旧字:此處
読み方割合
ここ85.7%
こゝ8.3%
こけ1.2%
これ0.8%
こちら0.5%
こご0.4%
こっち0.4%
このところ0.4%
こヽ0.3%
このへん0.3%
ココ0.1%
いずこ0.1%
くまん0.1%
こか0.1%
こけい0.1%
こけえ0.1%
ここい0.1%
こち0.1%
こんな0.1%
そこ0.1%
どこここ0.1%
ほけ0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
ですから何日いつかの何時頃、此処ここで見たから、もう一度見たいといっても、そうはかぬ。川のながれは同じでも、今のは前刻さっきの水ではない。
一寸怪 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
駈出す気遣きづかいはない、大丈夫だよ、さア姉さん此処こゝへお出で…あのおよしや御仏前へ線香を上げてなアもうお線香が立たない様だから
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
われがにたっだ一言臨終いまわに言い残す事があるから此処こけえ呼んだんだが、おかめも此処こけう、多助も此処こけう、おえいも五八も皆呼んでくれ
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
五「これは恐入りましたな、御家老さま、改まってこれを云えと仰せあられますと困りますが……喜三郎こゝへ出なよ、金公きんこう此処これへ出なよ」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
蟠「そうか、此処こちらへ通せ、おゝ婆アか、久しぶりだな、何時いつも達者で結構々々、うだ近頃は金儲かねもうけでも有るかな」
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「泣ぐな。雪はれるうぢ此処こごに居るべし泣ぐな。」一郎はしっかりと楢夫を抱いて岩の下に立って云ひました。
ひかりの素足 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
よいかっ!(奥の間が燃えはじめたらしい。パチパチバリバリッと音がして、黒煙と、焔の反映で此処こっちまで赤い)
天狗外伝 斬られの仙太 (新字新仮名) / 三好十郎(著)
そのしつは当時家中かちうきこえし美人なりしが、女心をんなごころ思詰おもひつめて一途に家を明渡すが口惜くちをしく、われ永世えいせい此処このところとゞまりて、外へはでじと、その居間に閉籠とぢこもり、内よりぢやうおろせしのちは、如何いかにかしけむ
妖怪年代記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
幾十年と無く毎朝まいあさめた五種香しゆかうにほひがむつと顔を撲つ。阿母さんが折々一時間も此処こヽに閉ぢこもつて出て来ぬ事がある丈に、家中うちヾうこの内陣計りはあたヽかいやうななつかしい様な処だ。
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
「茶の湯の師匠、おおそうか、実はな拙者無骨者で、これまで茶の湯を学んだことがない。……此処このへんへ来たのも何かの因縁、入門をして学びたいが……」
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
の内此処ココへ送りこまれた時、一人のウバのついて来たことは、知つて居た。だが、あまり長く音も立たなかつたので、人の居ることは忘れて居た。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
此処いずこに最も不思議なるは被害者の体の何処いずこにも怪我らしき箇所の無きことなり、ただし顔面には苦痛を止どめ、四辺あたりの地面は踏み荒らされ、格闘をなしたる形跡あり。
広東葱 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「旦那さい。ぬーん、悪事やなくとお、びらん。此処くまんかい、かくくゐていど、やびいたる。」
奥間巡査 (新字旧仮名) / 池宮城積宝(著)
駕「旦那、お前さん何かなまぐさい物を持っておいでなさりゃアしませんか、此処こかア狐が出ますからねえ」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
婆「ひやア此処こけいらにはまア沢山はねえ女でござりやすよ、ひやア」
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「や、Sさん、何処どくさん行かしたかと思っとった。此処こけえ来とらしたたい。」
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
どうもこんな竹は此処ここいらに見かけねえですから、よその国の物か知れませんネ。それにしろ二けんもあるものを持って来るのも大変な話だし。
幻談 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
うれい重荷おもにうて直下すぐしたに働いて居る彼爺さん達、彼処あち此処こちに鳶色にこがれたけやきの下かしの木蔭に平和を夢みて居る幾個いくつ茅舎ぼうしゃ
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
それより外のものは何一つ見当らない——かれらがどうして此処こんなところに住んでいるかということ、それが何時いつから始められているかということは、ほとんどおぼろげな記憶を過っても
みずうみ (新字新仮名) / 室生犀星(著)
と云われて多助はびっくり致し、ハアと云いながら思わず知らず此処そこへ泣き倒れました。
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「突然で失礼ですがね、何処どこ此処どこここと云ってるよりか、私のとこへ泊っちゃ何うです。」
浮舟 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
八「はせな、おら此処ほけへおいさすゝみざの脇差わしざしざのはぞうしさな」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)