広東葱かんとんねぎ
夕飯の時刻になったので新井君と自分とは家を出た。そして自分の行きつけの——と云っても二三回行っただけの——黄華軒という支那料理店へ夕飯を食いに這入って行った。 「日本人は一人も居ないんだね」 新井君は不意にこう云ったが、自分にはその意味が解 …