“厭”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
いや48.0%
いと35.5%
8.1%
3.3%
きら1.5%
0.5%
あき0.4%
いとは0.3%
いま0.3%
うと0.3%
いとひ0.2%
いとわ0.2%
まじない0.1%
イト0.1%
よう0.1%
あく0.1%
あぐ0.1%
いとはし0.1%
いな0.1%
いやが0.1%
いやだ0.1%
いやッ0.1%
0.1%
えん0.1%
ぎら0.1%
0.1%
まじな0.1%
やん0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
一方ではまた捕虜になって餓死したとか、世の中がいやになって断食して死んだとか色々の説があるから本当のことは何だか分らない。
ピタゴラスと豆 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
北原はそれを受取って、燈火の方に手をかざして封を切りながら、自分も読み、人も差覗さしのぞくことをいとわぬ形で読んでしまいましたが
大菩薩峠:32 弁信の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
路のまん中に一寸顔を出してゐる円いあばたの石ころさへも、嘉ッコはちゃんと知ってゐるのでした。きる位知ってゐるのでした。
十月の末 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
と母親は少しやな顔をした。お父さんに内証で独息子を悉皆すっかり馬鹿にしてしまう。男親が厳し過ぎると思ってかばう気があるからいけない。
脱線息子 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
そも女人をんなは、一だい五千くわん、七千餘卷のどのきやうにもほとけになれないときらはれてゐるが、法華經ほけきやうばかりには女人によにんほとけになると説かれてゐる。
「おゝなこつた、らねえよ」おつぎはすこかがめて手桶てをけつかんでまゝのばすと手桶てをけそこが三ずんばかりはなれた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
蓮華寺に詣り、午後磨針嶺すりばりれい望湖堂に小休す。数日木曾山道の幽邃にあきし故此にきたり湖面滔漫を遠望して胸中の鬱穢うつくわい一時消尽せり。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
麁略そりやくにせず力の入事いることなどはさせざりけり然ともお花は身をにしてなり恩をはうぜんものと思へば如何なるいやしわざをも少しもいとはず客が來れば夜具の上下あげさげ風呂ふろれば脊中せなか
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ただこんないまわしい曲の記憶なぞは、一刻も早くぬぐい去ってしまいたいと思っていられるかのように、新しい曲に老いの情熱をめていられるばかりでした。
棚田裁判長の怪死 (新字新仮名) / 橘外男(著)
たとえば、若い年ごろの娘さんさえみれば結婚話にひきかけてゆく大人の通俗的なうるささに対して、今日の若い娘さんがうとましがる心持は十分にうなずける。
若い婦人の著書二つ (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
○そも/\我里わがさとの元日は野も山も田圃たはたさと平一面ひらいちめんの雪にうづまり、春を知るべき庭前ていぜんの梅柳のるゐも、去年雪のふらざる秋の末に雪をいとひて丸太など立て縄縛なはからげあひたるまゝ雪の中にありて元日の春をしらず。
恨めしく取つめていはんにはいとわしきものよりほかあらんともおぼえず、あはれその厭ふ恋こそ恋の奥なりけれ……
樋口一葉 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
それから犀鳥が蛇を見れば必ず殺し虎を見れば必ず叫んで追い去らんとす。故に虎を射る場合に限り犀鳥の羽をいだ矢を用いてこれにまじない勝つのだ。
もう此頃になると、山はイトはしいほど緑に埋れ、谷は深々と、繁りに隠されてしまふ。郭公クワツコウは早く鳴きらし、時鳥が替つて、日も夜も鳴く。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
その通り蚕室は初子の日初めて掃除したので、子の日を用ゆるは専ら鼠害をようする意と見える。
窶然みすぼらしき姿にてお前に致せ母にせよ私しの家へ來られては内外の手前も面目なし此以後共に格別かくべつの御用もなきに御出は御無用とあくまで惡口あくこう吐散はきちらはぢしむるを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
われは長く机にることを好まず。神曲の大いなる二卷には、我とほ/\あぐみしが、これぞハツバス・ダアダアが禁ずるところとおもひ/\、勇を鼓して讀みとほしつ。
その妻は見るもいとはしき夫のそばに在る苦を片時も軽くせんとて、彼のしげ外出そとで見赦みゆるして、十度とたび一度ひとたびも色をさざるを風引かぜひかぬやうに召しませ猪牙ちよきとやらの難有ありがたき賢女の志ともいただき喜びて
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
陸近くがぢかなれば憂慮きづかいもなく、ただ景色のさに、ああまで恐ろしかったばばの家、巨刹おおでらやぶがそこと思うなだを、いつ漕ぎ抜けたか忘れていたのに、何を考え出して、また今のいなな年寄。……
悪獣篇 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
然し、空気銃を欲しいと云ふ事実も、僕自身が「甘える」ことをいやがつてゐるといふ事実と同じ程度に強くもなつてゐたのである。
疳の虫 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
従来これまでのやうに只だいやだばかりでは済みませんよ、相手が名に負ふ松島様で、大洞様の御手をての御縁談で御座いますから、奥様は大洞と山木の両家の浮沈にかゝはることだから
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
いやッよう、つかまえられるよう。」
政談十二社 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
小田原市では大震災でペシャンコにやられて以来、二階をむ人が多いが、倉田由之がそれで、耐震に特に注意を払ったという。胴体は鉄骨鉄筋だが、屋根は木で軽くできている。
復員殺人事件 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
これ村野の人後患をえんするの法なり云々とあって、昔はさしも大切につかえた地方の神が、次第に軽ぜられのちついに絶縁して、いつとなく妖怪変化ようかいへんげの類に混じた経路を語っている。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
なぜ借りっぱなしにして置いたか、いくら人ぎらいの小説家にもしろ、あんまり変じゃないか。
陰獣 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
子、南子なんしを見る。子路よろこばず。夫子ふうしこれちかいて曰く、われよからぬところあらば、天之をてん、天之をてんと。(雍也、二八)
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
欧州で中古禁厭まじないを行う者を火刑にしたが、アダム、エヴァの時代より、のろわれた蛇のみまじなう者をとがめなんだ。
「ほだっておら、北海道の土になってしまうのやんだな。いつけえりたくなるが判んねえし、今ここをしゃってしめえば、おらはこれ、自分の家というものは、無くなってしまうのだかんな、これ。」
土竜 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)