“えん”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:エン
語句割合
30.8%
26.5%
6.4%
4.5%
3.8%
2.8%
2.8%
2.8%
2.6%
1.9%
(他:87)15.1%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
船員の中には、陸上の悪漢団あっかんだんと、切っても切れぬくさえんのあるものがあって、いつも密輸を強制される。
ゴールデン・バット事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
月の冴ゆる夜は、峰に向った二階のえん四枚よまいの障子に、それか、あらぬか、松影射しぬ……戸袋かけて床の間へ。……
霰ふる (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
貴女きじょらしい端厳さなどは欠けていたかもしれぬが、美しくて、えんで、若々しくて男の心を十分にく力があった。
源氏物語:10 榊 (新字新仮名) / 紫式部(著)
月が明るく中天に上っていて、えんな深夜に上品な風采ふうさいの若い殿上人の歩いて行くことははなやかな見ものであった。
源氏物語:30 藤袴 (新字新仮名) / 紫式部(著)
幅一尺の揚板あげいたに、菱形ひしがたの黒い穴が、えんの下へ抜けているのをながめながら取次をおとなしく待つ。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
今度は後方うしろだと振りむく途端に、五寸近くあるおおきな奴がひらりと歯磨の袋を落してえんの下へけ込む。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
まぶたはだるそうにすぼめられ、そこから細くのぞいているひとみはぼんやりと力なく何ものかをえんじていた。
美しき死の岸に (新字新仮名) / 原民喜(著)
半醒はんせいのうちに、後家さんは、竜之助にえんじかけました。地獄をのぞいていまかえった人というような見得みえで……
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
われて、アンドレイ、エヒミチはもくしたまま、財嚢さいふぜにかぞて。『八十六えん。』
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
じつわたしけたのです。で、どうでしょう、ぜにを五百えんしてはくださらんか?』
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
ちん一代の過ちであった。しかしえんを恨んで深く郷藪きょうそうに隠れた彼、にわかに命を奉じるであろうか」
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
宍戸侯ししどこうのためにえんをそそぐという意味からも京都をさして国を離れて来たことを書き添え、なお
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
教主光明優婆塞とは、えんノ行者の石像の下でただ一度しか逢わないのではあったが、それだけで彼には十分であった。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
孫悟空はキント雲にのり、えん小角おづぬは雲にのり、自雷也じらいやはガマにのり、猿飛佐助は何にも乗らずドロンドロンと空を走った。
戦争論 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
もつと上手じやうずえんずるのをいたら、はなし呼吸こきふと、こゑ調子てうし
怪力 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それから帰り道に金ができるかもしれないから、そのときシャヴァノンへ行って、王子さまの雌牛めうしのおとぎ芝居しばいえんじることにしよう。
夜に入っては、幕将すべてを集めて、彼のために餞行せんこうえんを盛んにした。餞行の宴——つまり送別会である。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
これなどはいかにも、旅行中りよこうちゆう新室にひむろえんらしく、あかるくてゆったりとした、よいおうたであります。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
いわく、えん重兵ちょうへいを握り、かつもとより大志あり、まさこれを削るべしと。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
楽毅は春秋戦国の世に、えん昭王しょうおうをたすけて、五国の兵馬を指揮し、せいの七十余城を陥したという武人。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この日、会するもの数万にのぼった。文官軍吏の賓客、みな盛装をこらし、礼館の式場を中心に、えんとして秋天の星の如く埋まった。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
三日にわたって、祝いが挙げられた。えんとして、祭日まつりのようであった。たくさんに酒をのむ事もゆるされた。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
君らの真理や科学や知的義務などは、そのいかめしい探究の可能的結果については、口をぬぐって関せずえんとしている。
渡り廊下でつづいた別棟に、お蓮様、丹波をはじめ道場の一派、われかんせずえんとばかり、ひっそりかんと暮らしているんです。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
と冒頭して、本位田家の末孫として、大兄が祖先のえんを明らかになさろうとする点は充分にわかるが、あの小説を読まれて、
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
伊佐子さんばかりでなく、奥さんまでが本当にそう信じているならば、山岸のために進んでそのえんをすすぐのが自分の義務であると思いました。
白髪鬼 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
あのつゆびたいろは、かすかひかりをさへはなつて、たとへば、妖女えうぢよえんがある。
くさびら (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
得之これをえたるは、らず、はたもとぶを細君さいくんえんざるによるか、非乎ひか
術三則 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
彼の江戸の法庭に——刑場に赴くや、新郎の新婦のえんに赴くほどにゆかざるも、猛夫の戦場に出るが如く、勇みたりしなり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
夕方に船は皆岸へ寄せられて、奏楽は続いて行なわれたが、船中で詩のえんは開かれたのであった。
源氏物語:49 総角 (新字新仮名) / 紫式部(著)
祖父以来の駿すんえんさんの三ヵ国を他人に取られて、ただ一個の鞠をいだき、得意がっておるあの容子ようすは……さてさて
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
駿すんえんのうの間に流行し、昨年中は西は京阪より山陽、南海、西国まで蔓延まんえんし、東はぼうそう
妖怪玄談 (新字新仮名) / 井上円了(著)
えん一門の閥族中には、淮南わいなん袁術えんじゅつのような者もいるし、大国だけに賢士を養い、計謀のうつわ、智勇の良臣も少なくない。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その時副将軍のえん公という者があって、尹翁と古い知合であった。
庚娘 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
声をたよりに奥へはいってみると、へやは内庭にのぞんだ離れの六畳。見る目もえんにくずおれ伏して、ひとりしんしんと泣きつづけていたのは、ひと目にそれとわかるお蘭です。
知らずのお絃は——お絃流の、なに、そんなものはないが、とにかく、喧嘩の真中まんなかへ割り込んで、えん然にっこり名たんかを切ろうという物凄ものすご姐御あねご
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
むかしは、宰相さいしょうして人のためにえんにそそいだという話があるが、花前はそれにすべき感がある。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
供や馬を柴門の陰に残して、関羽、張飛のふたりだけを連れ、玄徳は雪ふみ分けて、えんの奥へ通って行った。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「どれ、一匕いつぴ深く探る蛟鰐こうがくえんと出掛けやうか」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
名はえんあざなは伯寿、本御厩みうまや氏、肥前の人である。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
また「余既ニ蘭ヲ滋ウルコト九えんナリ又蕙ヲ樹ウルコト百ナリ」とも出で、『詩経』には「士ト女ト方ニ蕑ヲ秉ル」(蕑はすなわち蘭である)とあり、『漢書かんじょ』には「蘭ハ香シキヲ以テ自ラ焼クナリ」と書き
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
天下の羣小ぐんしょうさしまねいで、いたずらにタイモンのいきどおりを招くよりは、らんを九えんき、けいを百けいえて、ひとりそのうち起臥きがする方が遥かに得策である。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
十内も妻の丹女も、風雅のたしなみがあるので、歌の会、茶のえんなど、折々に招きあっている。
天川呉羽あまかわくれは嬢の保護者として有名であったが、昨三日(昭和×年八月)諾威ノルエー公使館に於ける同国皇帝誕辰たんしんの祝賀えんに個人の資格をもって列席後
二重心臓 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
このゆえ太祖たいそ実録じつろく重修ちょうしゅうするや、えん実にその監修を
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
父の容態がいよいよだめと思われた朝、近所のえんという世話好きの奥さんがやって来て、父の様子を一目見て驚き、あなたはまあ、何をぼんやりしているのです、お父さんの魂は鬼界に飛んで行こうとしているではありませんか
惜別 (新字新仮名) / 太宰治(著)
「今、えんがいったことはほんとうだ。私のさっきいったのは、じょうだんだよ。」
現代訳論語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
その募集の方法は、二えんの切符を買って第一舞台で芝居見物をするので、そこに出る役者は皆名人で、小叫天しょうきょうてんもその中にいた。
村芝居 (新字新仮名) / 魯迅(著)
これ村野の人後患をえんするの法なり云々とあって、昔はさしも大切につかえた地方の神が、次第に軽ぜられのちついに絶縁して、いつとなく妖怪変化ようかいへんげの類に混じた経路を語っている。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
まへまをしたとほりで、たゞ簡單かんたんえん三角さんかくほかには、刀劍とうけんつかかざりにあつたような
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
これにはいし大小だいしよう種々しゆ/″\ありますが、おほきなものになるとえん直徑ちよつけい一町いつちようくらゐもあり、いしたかさは二三十尺にさんじつしやくおよぶものもあります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
「おえんですよ。蘭谷あららぎだにの山荘で、初めて会った時からザッと五年越し、いまだにお前さんを想いつづけている私を忘れちゃ、幾ら何でも可哀そうじゃありませんかえ」
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
えん立膝たてひざの前へ、鏡台を引き寄せた。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ぬれえんも悪くないなどと洒落れて見るが、やっぱりいけない。
愛書癖 (新字新仮名) / 辰野隆(著)
どうもえん側が狭すぎて
愛書癖 (新字新仮名) / 辰野隆(著)
孤城こじやうえんなきに守り、せん主を衆そむくにたもつ、律義者りちぎものに非ざれば能はず、故に眞勇は必ず律義者りちぎものに出づと。
余謂ふ、孤城をえんなきに守るは、谷中將の如くば可なりと。