“えん”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:エン
語句割合
31.8%
24.3%
6.3%
5.1%
3.8%
3.2%
3.0%
3.0%
2.4%
2.3%
2.0%
1.5%
1.4%
1.2%
1.2%
0.8%
0.8%
0.5%
0.5%
0.5%
0.5%
0.3%
0.3%
0.3%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
縁引0.2%
縁板0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
しかたなくあなからて、もとすんでいた、ようすのわかっているうちえんしたへゆこうとおもって、よるになるのをってやってきました。
ねずみとバケツの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
つくろわねどもおのずからなるももこびは、浴後の色にひとしおのえんを増して、おくれ毛の雪暖かきほおに掛かれるも得ならずなまめきたり。
書記官 (新字新仮名) / 川上眉山(著)
入口のふすまをあけてえんへ出ると、欄干らんかんが四角に曲って、方角から云えば海の見ゆべきはずの所に、中庭をへだてて、表二階の一間ひとまがある。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
金があるかないかはもとより知らず、この家に来てから五年になるが「ろくなお小遣も貰わなかった」と少しえんずる色があります。
「うちのような貧乏人びんぼうにんにゃ、三十えんといやたいしたかねがまうが、利助りすけさんとこのような成金なりきんにとっちゃ、三十えんばかりはなんでもあるまい。」
牛をつないだ椿の木 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
折から、明夜は八月十五日、ご邸内に名月のえんが催されるから、月見がてらに、訪ねて参れという有難いおことばなので
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
また日本にほん小説せうせつによくあらはれる魔法遣まはふづかひが、不思議ふしぎげいえんずるのはおほくは、一はん佛教ぶつけうから一はん道教だうけう仙術せんじゆつからたものとおもはれる。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
孫悟空はキント雲にのり、えん小角おづぬは雲にのり、自雷也じらいやはガマにのり、猿飛佐助は何にも乗らずドロンドロンと空を走った。
戦争論 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
えんに泣く民の一人にても存在すると云ふことは聖代の歴史の一大汚辱なりとして恐懼自戒措く能はざる人人である。此人達は天皇の御名の下に裁判権を行ふ。
公判 (新字旧仮名) / 平出修(著)
トロイの城壁を三匝さんそうしたとか、えんぴと張飛が長坂橋ちょうはんきょう丈八じょうはち蛇矛だぼうよこたえて、曹操そうそうの軍百万人をにらめ返したとか大袈裟おおげさな事ばかり連想する。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それもつくづく見たのではないから、年紀としのほども顔立かおだてもよくは分らなかったけれども、ただ彼が風俗は一目見て素人でないことを知った。えんたるこの大都の芸妓げいしゃの風俗、梓はぞっとしたのである。
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
さればいよいよ湯上りの両肌りょうはだ脱ぎ、うちつぶれようが地面が裂けようが、われかんせずえんという有様、身も魂も打込んで鏡に向う姿に至っては、先生は全くこれこそ
妾宅 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
伊佐子さんばかりでなく、奥さんまでが本当にそう信じているならば、山岸のために進んでそのえんをすすぐのが自分の義務であると思いました。
白髪鬼 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
紋着もんつきしろえりで盛裝せいさうした、えんなのが、ちやわんとはしを兩手りやうてつて、めるやうにあらはれて、すぐに一切ひときれはさんだのが、そのひとさ。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
殊勝のえんつらなれる月卿雲客、貴嬪采女きひんさいじょ、僧徒等をして、身おののき色失い、慙汗憤涙ざんかんふんるい、身をおくところ無からしめたのも、うそでは無かったろうと思われる。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
今日の状態は独りえん世凱せいがい〕政府たるがためのみでなく、袁ほろんでそんぶん〕が立とうが、こうこう〕が立とうが、誰が立とうとも同一である。
三たび東方の平和を論ず (新字新仮名) / 大隈重信(著)
「ワッハッハ、矢をはなちてまずえんさだむ、これすなわち事の初めなり。どうだ、驚いたか」
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
えんと、いずれの文字をあてはめても似つかわしいのはこの人ばかりであると、わたしの眼は吸いつけられていた。
大橋須磨子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
名はえんあざなは伯寿、本御厩みうまや氏、肥前の人である。蘭医方をジイボルドに受けた。幕府は安政五年に冲斎等を挙げ用ゐるに及んで、さきに阿部正弘が老中たる時に下した禁令を廃したさうである。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
現代稀有の邪妖劇名女優、天川呉羽あまかわくれは嬢の保護者として有名であったが、昨三日(昭和×年八月)諾威ノルエー公使館に於ける同国皇帝誕辰たんしんの祝賀えんに個人の資格をもって列席後
二重心臓 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
むかしは、宰相さいしょうして人のためにえんにそそいだという話があるが、花前はそれにすべき感がある。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
その細君はえんといってすこぶる美しい女であったが、ある夜自分の内室いまにいると一人の若い強そうな男が外から不意に入って来て、剣に手をかけて四辺あたりを見まわしたので、じょちゅうばあやは恐れて逃げてしまった。
五通 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
天下の羣小ぐんしょうさしまねいで、いたずらにタイモンのいきどおりを招くよりは、らんを九えんき、けいを百けいえて、ひとりそのうち起臥きがする方が遥かに得策である。余は公平と云い無私むしと云う。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
このゆえ太祖たいそ実録じつろく重修ちょうしゅうするや、えん実にその監修をし、又支那しなありてより以来の大編纂だいへんさんたる永楽大典えいらくだいてんの成れるも、衍実に解縉かいしんともこれせるにて、れ皆文を好むのに出で、道余録どうよろくを著し
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
いつみても、臙脂えんじいろの毒の花に、甘粘あまねばい蜜をたたえているようなおえんは、湯上がりの濃粧のうしょう籠行燈かごあんどんに浮き立たせて、ひじかけ窓から、前の小六を流しめに見ていた。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「おえんですよ。蘭谷あららぎだにの山荘で、初めて会った時からザッと五年越し、いまだにお前さんを想いつづけている私を忘れちゃ、幾ら何でも可哀そうじゃありませんかえ」
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
えんは、孔明がいつも糧道の円滑に悩んでいた例を幾多知っていたので、こんどは水路を利用して魏へ入ろうとして建議したが、蜀の朝廷では
三国志:12 篇外余録 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
えんは、大将軍尚書令に累進したので、そのあとには費褘ひいが代って就任した。また、呉懿ごいが新たに車騎将軍となって、漢中を総督することになった。
三国志:12 篇外余録 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
これにはいし大小だいしよう種々しゆ/″\ありますが、おほきなものになるとえん直徑ちよつけい一町いつちようくらゐもあり、いしたかさは二三十尺にさんじつしやくおよぶものもあります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
ぎに裝飾そうしよく模樣もようるいも、石器時代せつきじだい土器どきにあるような、曲線きよくせんのごて/\した模樣もようのまったくないことは、まへまをしたとほりで、たゞ簡單かんたんえん三角さんかくほかには、刀劍とうけんつかかざりにあつたような
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
縁に余白がなくなっているので、手に把って暫く眺めていると、どうもえん側が狭すぎて、やや窮窟な感じを与えるのがきずである。
愛書癖 (新字新仮名) / 辰野隆(著)
ぬれえんも悪くないなどと洒落れて見るが、やっぱりいけない。その次に、蒐集家が紙質に注意する事は云う迄もないが、其上にお製本が丈夫に出来ていなければならない。
愛書癖 (新字新仮名) / 辰野隆(著)
尾藤孝肇びとうかうてう曰ふ、律義りちぎとはけだちよくにして信あるを謂ふと。余謂ふ、孤城をえんなきに守るは、谷中將の如くば可なりと。嗚呼中將は忠且つ勇なり、而して孝其のうちに在り。
曰ふ、しやうはたるは、氣盛なる者之を能くす、而かも眞勇しんゆうに非ざるなり。孤城こじやうえんなきに守り、せん主を衆そむくにたもつ、律義者りちぎものに非ざれば能はず、故に眞勇は必ず律義者りちぎものに出づと。
『和漢三才図会』にいわく、〈『和名抄』、えん獼猴みこう以て一物と為す、それあやまり伝えて、猿字を用いて総名と為す、猨猿同字〉と。誠にさようだがこの誤り『和名抄』に始まらず。
狖に似て大なるは果然かぜんなり。狖に似て小なるは蒙頌もうしょうなり。狖に似て善く躍越するは獑𪕱ざんこなり。猴に似て長臂ちょうひなるはえんなり。猨に似て金尾なるはじゅうなり。猨に似て大きく、能く猨猴を食うはどくなり〉。
「今、えんがいったことはほんとうだ。私のさっきいったのは、じょうだんだよ。」
現代訳論語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
その募集の方法は、二えんの切符を買って第一舞台で芝居見物をするので、そこに出る役者は皆名人で、小叫天しょうきょうてんもその中にいた。
村芝居 (新字新仮名) / 魯迅(著)
これ村野の人後患をえんするの法なり云々とあって、昔はさしも大切につかえた地方の神が、次第に軽ぜられのちついに絶縁して、いつとなく妖怪変化ようかいへんげの類に混じた経路を語っている。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
放逐ほうちくされると覚悟をすれば、何もおそれる事は無いと度胸をめ、ある夜師の坊の寝息を考え、本堂のえんの下に隠してある、例の待網を取出とりだしての小溝へ掛けたが、今夜は如何どうした訳か
枯尾花 (新字新仮名) / 関根黙庵(著)
笛吹川は甲武信岳の方から、釜無川は甲斐駒の方から、峡中を流れてかじか沢で合し、俄然大河の相を具現してえんに移りせんに変わり、とうとうの響きを打って東海道岩淵で海へ注ぎ込む。
香魚の讃 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
〔譯〕獨立どくりつ自信じしんたふとぶ。ねつえんくのねん、起す可らず。
二仕掛を左右さゆうげんに下し終り手を拭いてえんを吹く時。後の方には、船頭の鈴を弄する声す。亦投綸とうりんに取りかかりたるを知る。
大利根の大物釣 (新字新仮名) / 石井研堂(著)
山の神連が白昼居酒屋へ集まって、一杯やりながら亭主をこきおろして怪気えんをあげているのは、珍らしい図ではない——その居酒屋会議の噂の一つくらいには、まさにのぼりそうなものである。
女肉を料理する男 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
ここの機業史はそれほど古い。が今は、繊維工場のえんとつが、渡良瀬川をけむらせていた。
随筆 私本太平記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
えんの字をあてているが、淵猴とも書くことがある。
故郷七十年 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
ことほか御機嫌ごきげんで、「村の祭が、取り持つえんで——」という、卑俗ひぞくな歌を、口ずさんでいましたが、ぼくの寝姿をみるなり
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
是れと言ふも矢張原田さんの縁引えんが有るからだとて宅では毎日いひ暮して居ます、お前に如才は有るまいけれど此後とも原田さんの御機嫌の好いやうに
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
この時、もう左門は、その独活うどの皮を剥いたように白い足で、縁板えんを踏み、地へ下り、染八の面前へまで殺到して来ていた。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
大手前の方から真っ直ぐにお練りで来た大名の一列がある——先払いの徒士かち侍、二本萌黄羅紗もえぎらしゃの道具金紋先筥さきばこえんとして半町にわたる行列、今しも外濠の橋を渡りかけて半ばは町へ入っていた。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一生又相見あひみじと誓へるその人の顔の、おのれながめたりし色はく失せて、たれゆゑ今のべつえんなるも、なほ形のみは変らずして、にかの宮にして宮ならぬ宮と
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
第二種(夢想編)夢、奇夢、夢告、夢合ゆめあわせ、眠行、えん
妖怪学講義:02 緒言 (新字新仮名) / 井上円了(著)