“まる”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:マル
語句割合
53.5%
19.4%
12.1%
5.3%
3.4%
1.7%
1.4%
全然0.8%
0.6%
0.3%
0.3%
0.3%
虎子0.2%
0.2%
円形0.2%
円満0.2%
滿0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「まあしかし、まるくゆくものなら、このまま納めた方がいい。そうなれば、金の方は後でどうにか心配するけれど、今はちょっとね」
挿話 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
まる年間ねんかん小言こごとはず、うらみもはず、たゞ御返事ごへんじつてります』でめられたのだからたまらない。をとこはとう/\落城らくじやうした。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
岡山「それで一つ眼ならまるで化物だ、こんな山の中で猟人かりゅうどが居るから追掛けるぞ、そんな姿なりでピョコ/\やって来るな、亭主を呼べ」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
其の果報者は何処の何奴だと空呆そらとぼけて訊きますと、相手は一層調子に乗って来て、それはそれは綺麗な美男子なのよ、まるで女見たいな。
陳情書 (新字新仮名) / 西尾正(著)
したには小石こいしが一めん敷詰しきづめてある。天井てんぜうたかさは中央部ちうわうぶは五しやくずんあるが。蒲鉾式かまぼこしきまるつてるので、四すみはそれより自然しぜんひくい。
田圃たんぼみづうみにならぬが不思議ふしぎで、どう/\とになつて、前途ゆくてに一むらやぶえる、それさかひにしておよそ二ちやうばかりのあひだまるかはぢや。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
あなたのお案じもわたくしは能く存じて居りまするが、さっぱり若旦那さまの方からお音信たよりがございません、昨年から引続きまる一年のになりまするのに、お手紙一つまいりませんから
何故なぜなら全然まるほかことかんがへてるからである。昨日きのふきみおくつてれたチエホフの短篇集たんぺんしふんでると、ツイ何時いつにか「ボズ」さんのことかんがした。
都の友へ、B生より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
『彼等は歌いました まる』歌ってなんぞいたか。編物をしとったんだ。それに馬鈴薯菓子の揚げかたかなにか、話しとったように思ったな。
トリスタン (新字新仮名) / パウル・トーマス・マン(著)
私は通りかかって、はまぐりを売っているのをみつけた。大きな、粒のそろったみごとな蛤で、バターいためにしたらさぞ美味うまかろうと思い、近よっていって、それをまる五だけ売ってもらいたいと云った。
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
今から考えると、まるで夢のようである。読者諸君がこれによってわが沖縄の変遷を知ることが出来たら望外の望である。私はそのうち気が向いた時、私の青春時代の事を書いてみようと思う。
私の子供時分 (新字新仮名) / 伊波普猷(著)
では兄さん、この残り餌を土でまるめておくれでないか、なるべく固く団めるのだよ、そうしておくれ。そうしておくれなら、わたしが釣ったさかな悉皆すっかりでもいくらでもお前の宜いだけお前にあげる。
蘆声 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
侍従の君のお虎子まるの匂を嗅いでからと云うものは、何処へ行っても色事が成功せず、こと/″\く失敗つゞきであった。
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
されば、お虎子まるの一件を始めとして侍従の君の彼に対するさま/″\な悪戯の数々は、ひょっとすると背後で此の女を操っていた左大臣の入れ智慧ぢえであったかも知れない。
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
清八は得たりと勇みをなしつつ、圜揚まるあげ(まるトハ鳥ノきもいう)の小刀さすが隻手せきしゅに引抜き、重玄を刺さんと飛びかかりしに、上様うえさまには柳瀬やなせ、何をすると御意ぎょいあり。
三右衛門の罪 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
御鷹おたかの獲物はかかり次第、まるを揚げねばなりませぬと、なおも重玄をさんとせし所へ、上様にはたちまち震怒しんどし給い、つつを持てと御意あるや否や、日頃御鍛錬ごたんれん御手銃おてづつにて
三右衛門の罪 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
もち円形まるきが普通なみなるわざと三角にひねりて客の目をかんとたくみしようなれど実はあんをつつむに手数てすうのかからぬ工夫不思議にあたりて、三角餅の名いつしかその近在に広まり
置土産 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
お宅様のようなお固い処へ縁付いて万事、円満まるく行かぬ筈はない……と見込みを付けましたのが猪口兵衛の一生の出来損い。親の因果が子に報いるとはこの事。
「東京に二年、伊豆の方にも行つてゐたし、靜岡にもゐたし、大阪にもこれで滿まる一年半になるんですよ。女中奉公はしてゐるけれど、それでも國になんか歸り度いとも思ひませんねえ。田舍はふんとにやだやだ。」
大阪の宿 (旧字旧仮名) / 水上滝太郎(著)