水上滝太郎
1887.12.06 〜 1940.03.23
“水上滝太郎”に特徴的な語句
直
直
外
殊
又
頭腦
貰
一寸
咽喉
如何
乍併
暫時
頬邊
面
程
沢山
悄氣
麥酒
主人
側
僅
他人事
何時
彼
入
自
真似
紅
頭脳
位
随分
躍
他人
籠
何
訊
見
要之
自
考
堪
真面目
眞實
先
氣障
兼
憧
冷
噛
奴
著者としての作品一覧
遺稿:01 「遺稿」附記(新字新仮名)
読書目安時間:約2分
この無題の小説は、泉先生逝去後、机辺の篋底に、夫人の見出されしものにして、いつ頃書かれしものか、これにて完結のものか、はたまた未完結のものか、今はあきらかにする術なきものなり。昭和 …
読書目安時間:約2分
この無題の小説は、泉先生逝去後、机辺の篋底に、夫人の見出されしものにして、いつ頃書かれしものか、これにて完結のものか、はたまた未完結のものか、今はあきらかにする術なきものなり。昭和 …
遺産(新字新仮名)
読書目安時間:約27分
おもいもかけない大地震は、ささやかな彼の借家と、堂々たる隣の家との境界を取払ってしまった。 いい家だけれど、あの塀があんまり高くて、陰気で、しめっぽくていけないと、引越して来た日か …
読書目安時間:約27分
おもいもかけない大地震は、ささやかな彼の借家と、堂々たる隣の家との境界を取払ってしまった。 いい家だけれど、あの塀があんまり高くて、陰気で、しめっぽくていけないと、引越して来た日か …
大阪の宿(旧字旧仮名)
読書目安時間:約4時間8分
夥しい煤煙の爲めに、年中どんよりした感じのする大阪の空も、初夏の頃は藍の色を濃くして、浮雲も白く光り始めた。 泥臭い水ではあるが、その空の色をありありと映す川は、水嵩も増して、躍る …
読書目安時間:約4時間8分
夥しい煤煙の爲めに、年中どんよりした感じのする大阪の空も、初夏の頃は藍の色を濃くして、浮雲も白く光り始めた。 泥臭い水ではあるが、その空の色をありありと映す川は、水嵩も増して、躍る …
大人の眼と子供の眼(新字新仮名)
読書目安時間:約10分
私の子供の頃のことであるが、往来を通る見ず知らずの馬車の上の人や車の上の人におじぎをして、先方がうっかり礼をかえすと、手をうって喜ぶいたずらがあった。日清戦争の頃で、かつ陸海軍の軍 …
読書目安時間:約10分
私の子供の頃のことであるが、往来を通る見ず知らずの馬車の上の人や車の上の人におじぎをして、先方がうっかり礼をかえすと、手をうって喜ぶいたずらがあった。日清戦争の頃で、かつ陸海軍の軍 …
覚書(旧字旧仮名)
読書目安時間:約4分
泉鏡花先生は、天賦の才能を以て、極めて特異な思想感情を、あますところなく文字に表現し盡しておかくれになつた。凡そいかなる作家と雖も、一作を成すや直に、何か表現し切れないものゝ胸に殘 …
読書目安時間:約4分
泉鏡花先生は、天賦の才能を以て、極めて特異な思想感情を、あますところなく文字に表現し盡しておかくれになつた。凡そいかなる作家と雖も、一作を成すや直に、何か表現し切れないものゝ胸に殘 …
貝殻追放:001 はしがき(旧字旧仮名)
読書目安時間:約1分
古代希臘アゼンスに於ては、人民の快とせざるものある時、其の罪の有無を審判することなく、公衆の投票によりて、五年間若くは十年間國外に追放したりといふ。牡蠣殼に文字を記して投票したる習 …
読書目安時間:約1分
古代希臘アゼンスに於ては、人民の快とせざるものある時、其の罪の有無を審判することなく、公衆の投票によりて、五年間若くは十年間國外に追放したりといふ。牡蠣殼に文字を記して投票したる習 …
貝殻追放:002 新聞記者を憎むの記(旧字旧仮名)
読書目安時間:約25分
大正五年秋十月。 八月の中旬に英京倫敦を出た吾々の船は、南亞弗利加の喜望峯を𢌞り、印度洋を越えて、二ヶ月の愉快な航海の終りに、日本晴といふ言葉が最も適確にその色彩と心持とを云ひ現す …
読書目安時間:約25分
大正五年秋十月。 八月の中旬に英京倫敦を出た吾々の船は、南亞弗利加の喜望峯を𢌞り、印度洋を越えて、二ヶ月の愉快な航海の終りに、日本晴といふ言葉が最も適確にその色彩と心持とを云ひ現す …
貝殻追放:003 「文明一周年の辞」を読みて(旧字旧仮名)
読書目安時間:約3分
大正元年の秋海外の旅に出しより余の永井荷風先生に見えざる事既に久しく、昨年十月歸朝以來常にお目にかかり度くおもひながら、機を得ずして遂に今日に及びたりしが、この度「文明一周年の辭」 …
読書目安時間:約3分
大正元年の秋海外の旅に出しより余の永井荷風先生に見えざる事既に久しく、昨年十月歸朝以來常にお目にかかり度くおもひながら、機を得ずして遂に今日に及びたりしが、この度「文明一周年の辭」 …
貝殻追放:004 「幻の絵馬」の作者(旧字旧仮名)
読書目安時間:約2分
「幻の繪馬」讀後の感想是非とも申述度存居候ひし處、先頃來健康勝れず臥床勝にて到底期日迄に書上げ候事覺束なく被存候まゝ、乍殘念今囘は御斷り申上候。事情右の如くに候間不惡思召被下度候。 …
読書目安時間:約2分
「幻の繪馬」讀後の感想是非とも申述度存居候ひし處、先頃來健康勝れず臥床勝にて到底期日迄に書上げ候事覺束なく被存候まゝ、乍殘念今囘は御斷り申上候。事情右の如くに候間不惡思召被下度候。 …
貝殻追放:005 永井荷風先生の印象(旧字旧仮名)
読書目安時間:約1分
政治家、實業家、役人、軍人、教育家、いろいろちがつた職業に從事してゐる第一流と呼ばれる人間に逢つても、頭の下る人は皆無に候處、兎角はきちがへた人間の多い小説の作家の中に、永井先生を …
読書目安時間:約1分
政治家、實業家、役人、軍人、教育家、いろいろちがつた職業に從事してゐる第一流と呼ばれる人間に逢つても、頭の下る人は皆無に候處、兎角はきちがへた人間の多い小説の作家の中に、永井先生を …
貝殻追放:006 「八千代集」を読む(旧字旧仮名)
読書目安時間:約21分
岡田夫人から「八千代集」を頂いた。 ひと昔前の事、自分がまだ中學の時代に、如何いふ心持で讀んだのか忘れてしまつたが、小山内薫氏の「夢見草」と、小山内八千代さんの「門の草」といふ文集 …
読書目安時間:約21分
岡田夫人から「八千代集」を頂いた。 ひと昔前の事、自分がまだ中學の時代に、如何いふ心持で讀んだのか忘れてしまつたが、小山内薫氏の「夢見草」と、小山内八千代さんの「門の草」といふ文集 …
貝殻追放:007 愚者の鼻息(旧字旧仮名)
読書目安時間:約19分
人をつかまへて親切めかして忠告するのは、人をつかまへて無責任に罵倒するのと同じ位いい氣持なものである。 これは自分の座右の銘では無い。大正七年二月深川區猿江町吉村忠雄と封筒には署名 …
読書目安時間:約19分
人をつかまへて親切めかして忠告するのは、人をつかまへて無責任に罵倒するのと同じ位いい氣持なものである。 これは自分の座右の銘では無い。大正七年二月深川區猿江町吉村忠雄と封筒には署名 …
貝殻追放:008 「その春の頃」の序(旧字旧仮名)
読書目安時間:約13分
自分の第二小説集「その春の頃」は、大正元年の秋自分が渡米した後で、第一集「處女作」に續いて突然出版の運びになつた。第二集の爲めにと思つて書いた序文は間に合はなかつたので、その儘机の …
読書目安時間:約13分
自分の第二小説集「その春の頃」は、大正元年の秋自分が渡米した後で、第一集「處女作」に續いて突然出版の運びになつた。第二集の爲めにと思つて書いた序文は間に合はなかつたので、その儘机の …
貝殻追放:009 「心づくし」の序(旧字旧仮名)
読書目安時間:約1分
此の集收むるところの作品の過半は今日までに發表したる余の作品中最も厭ふべく忌むべきものと自おもへるところのものにしていづれは昨日の事の悔まれぬはなきが中にもかゝる作品を出せし事は就 …
読書目安時間:約1分
此の集收むるところの作品の過半は今日までに發表したる余の作品中最も厭ふべく忌むべきものと自おもへるところのものにしていづれは昨日の事の悔まれぬはなきが中にもかゝる作品を出せし事は就 …
貝殻追放:010 「海上日記」の序(旧字旧仮名)
読書目安時間:約2分
大正元年の秋北米合衆國に渡り同三年の初夏の頃迄東部マサチュセツ州ケムブリツヂの學校町の下宿の二階に一年あまりを送つた間に書いたものを集めて一册とした。 その頃自分はそれ迄に書いた自 …
読書目安時間:約2分
大正元年の秋北米合衆國に渡り同三年の初夏の頃迄東部マサチュセツ州ケムブリツヂの學校町の下宿の二階に一年あまりを送つた間に書いたものを集めて一册とした。 その頃自分はそれ迄に書いた自 …
貝殻追放:011 購書美談(旧字旧仮名)
読書目安時間:約14分
吾々の時代の多過ぎる程多數の作家の中で、古典として尊重せらるべき作品を後世に殘す人が幾人あるかを想ふ度に、自分は自分自身をも含ませてなさけ無い心持になるのを禁じる事が出來無い。 十 …
読書目安時間:約14分
吾々の時代の多過ぎる程多數の作家の中で、古典として尊重せらるべき作品を後世に殘す人が幾人あるかを想ふ度に、自分は自分自身をも含ませてなさけ無い心持になるのを禁じる事が出來無い。 十 …
貝殻追放:012 向不見の強味(旧字旧仮名)
読書目安時間:約22分
たださへ夏は氣短になり勝なのに全身麻醉をかけられて、外科手術をした後の不愉快な心持は、病院を出てから一週間にもなるのに、未だに執念深く殘つて居る。 甚だ汚ならしい話だが、疾患は痔瘻 …
読書目安時間:約22分
たださへ夏は氣短になり勝なのに全身麻醉をかけられて、外科手術をした後の不愉快な心持は、病院を出てから一週間にもなるのに、未だに執念深く殘つて居る。 甚だ汚ならしい話だが、疾患は痔瘻 …
貝殻追放:013 先生の忠告(旧字旧仮名)
読書目安時間:約21分
或日曜の朝の事であつた。寢坊をした床の中でぼんやりして、起きようか寢てゐようか迷ひながら、枕頭の火鉢の上の鐵瓶の口から、さかんに立昇る湯氣を見てゐるところに、こまつちやくれの下宿の …
読書目安時間:約21分
或日曜の朝の事であつた。寢坊をした床の中でぼんやりして、起きようか寢てゐようか迷ひながら、枕頭の火鉢の上の鐵瓶の口から、さかんに立昇る湯氣を見てゐるところに、こまつちやくれの下宿の …
貝殻追放:014 本年発表せる創作について ――「新潮」の質問に答ふ――(旧字旧仮名)
読書目安時間:約1分
大正七年一月新聞記者を憎むの記三田文學 一月先生大阪毎日新聞 二月汽車の旅三田文學 三月ベルフアストの一日三田文學 五月「八千代集」を讀む三田文學 六月汽車の旅三田文學 七月愚者の …
読書目安時間:約1分
大正七年一月新聞記者を憎むの記三田文學 一月先生大阪毎日新聞 二月汽車の旅三田文學 三月ベルフアストの一日三田文學 五月「八千代集」を讀む三田文學 六月汽車の旅三田文學 七月愚者の …
貝殻追放:015 「末枯」の作者(旧字旧仮名)
読書目安時間:約23分
久保田万太郎君と自分とのおつきあひも既に十年になつた。久保田君が「朝顏」を書き、自分が「山の手の子」を書いた頃から知己になつたのだ。 あれは「三田文學」創刊の年の秋だつたと思ふ。そ …
読書目安時間:約23分
久保田万太郎君と自分とのおつきあひも既に十年になつた。久保田君が「朝顏」を書き、自分が「山の手の子」を書いた頃から知己になつたのだ。 あれは「三田文學」創刊の年の秋だつたと思ふ。そ …
貝殻追放:016 女人崇拝(旧字旧仮名)
読書目安時間:約14分
「お母さん、私は何處から生れて來たの。」 「それはね、遠くの遠くの方から鸛の鳥が銜へて來て、家の煙突の中に落して行つたのです。」 西洋の子供も、自分達が何處から生れて來たかを訝かし …
読書目安時間:約14分
「お母さん、私は何處から生れて來たの。」 「それはね、遠くの遠くの方から鸛の鳥が銜へて來て、家の煙突の中に落して行つたのです。」 西洋の子供も、自分達が何處から生れて來たかを訝かし …
貝殻追放:017 泉鏡花先生と里見弴さん(旧字旧仮名)
読書目安時間:約18分
田山花袋氏は里見弴さんを評して「大正の鏡花」と呼んで居る。その他、雜誌や新聞にも「大正の鏡花」は散見した。云ひ出したのは田山氏か、別の人か、自分は知らない。無責任な雜誌や新聞の「大 …
読書目安時間:約18分
田山花袋氏は里見弴さんを評して「大正の鏡花」と呼んで居る。その他、雜誌や新聞にも「大正の鏡花」は散見した。云ひ出したのは田山氏か、別の人か、自分は知らない。無責任な雜誌や新聞の「大 …
果樹(新字新仮名)
読書目安時間:約27分
相原新吉夫婦が玉窓寺の離家を借りて入ったのは九月の末だった。残暑の酷しい年で、寺の境内は汗をかいたように、昼日中、いまだに油蝉の声を聞いた。 ふたりは、それまでは飯倉の烟草屋の二階 …
読書目安時間:約27分
相原新吉夫婦が玉窓寺の離家を借りて入ったのは九月の末だった。残暑の酷しい年で、寺の境内は汗をかいたように、昼日中、いまだに油蝉の声を聞いた。 ふたりは、それまでは飯倉の烟草屋の二階 …
九月一日(新字新仮名)
読書目安時間:約29分
八月三十一日の夕方、朔日から学校の始まるちいさい子供達を連れて、主人夫婦は東京に帰る事になり、由井ヶ浜の曲淵の別荘には、九人の人数が残る事になった。長男の一郎と、長女の甲子と、次女 …
読書目安時間:約29分
八月三十一日の夕方、朔日から学校の始まるちいさい子供達を連れて、主人夫婦は東京に帰る事になり、由井ヶ浜の曲淵の別荘には、九人の人数が残る事になった。長男の一郎と、長女の甲子と、次女 …
山の手の子(新字新仮名)
読書目安時間:約32分
お屋敷の子と生まれた悲哀を、しみじみと知り初めたのはいつからであったろう。 一日一日と限りなき喜悦に満ちた世界に近づいて行くのだと、未来を待った少年の若々しい心も、時の進行につれて …
読書目安時間:約32分
お屋敷の子と生まれた悲哀を、しみじみと知り初めたのはいつからであったろう。 一日一日と限りなき喜悦に満ちた世界に近づいて行くのだと、未来を待った少年の若々しい心も、時の進行につれて …
山を想ふ(旧字旧仮名)
読書目安時間:約16分
富士の嶺はをみなも登り水無月の氷のなかに尿垂るとふ 與謝野寛氏の歌だ。近頃の山登の流行は素晴しい。斷髮洋裝で舞踏場に出入し、西洋人に身を任せる事を競ふ女と共に、新興國の産物である。 …
読書目安時間:約16分
富士の嶺はをみなも登り水無月の氷のなかに尿垂るとふ 與謝野寛氏の歌だ。近頃の山登の流行は素晴しい。斷髮洋裝で舞踏場に出入し、西洋人に身を任せる事を競ふ女と共に、新興國の産物である。 …
“水上滝太郎”と年代が近い著者
今月で没後X十年
今年で生誕X百年
今年で没後X百年
ジェーン・テーラー(没後200年)
山村暮鳥(没後100年)
黒田清輝(没後100年)
アナトール・フランス(没後100年)
原勝郎(没後100年)
フランシス・ホジソン・エリザ・バーネット(没後100年)
郡虎彦(没後100年)
フランツ・カフカ(没後100年)