“沢山”のいろいろな読み方と例文
旧字:澤山
読み方割合
たくさん68.8%
たんと20.5%
どつさり1.4%
どっさり1.4%
ぎょうさん1.2%
うんと0.9%
だくさん0.9%
うん0.6%
たっぷり0.6%
タクサン0.6%
いくら0.3%
えっと0.3%
えら0.3%
えらく0.3%
たん0.3%
たんた0.3%
どっしり0.3%
どつしり0.3%
なんと0.3%
やれ0.3%
ザラ0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
勿論学んでつくしたりとは言はず。かつ又先生に学ぶ所はまだ沢山たくさんあるやうなれば、何ごとも僕にぬすめるだけは盗み置かん心がまへなり。
田端人 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
弟は十六七でございますが、色の白いい男で、女の様でございます、それで姉弟でってるのだがの位のは沢山たんとはありませんな
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
光村利藻氏がまだ全盛を極めてゐた頃、その須磨の別荘には、色々な骨董物が沢山どつさり置かれてあつた。
文「あの清水の旦那が金を沢山どっさり春見屋へ預けたと仰しゃるから、それはとんだ処へ、いえなにどうも誠にどうもねえ」
毎日それが続いて、たとえばおからの煮ものを持って行くにしても、それには沢山ぎょうさん海老がはいっていると、近所のひとびとは喧しく取沙汰した。
婚期はずれ (新字新仮名) / 織田作之助(著)
……僕は苦しくつてたまらなくなると何時でも田舎に逃出すんです。今度も然うです、畢竟つまり、僕自身にもまだロマンチツクが沢山うんと残つてます。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
もちろん古くからある言葉ほど、変化の機会は多かったわけだが、事によるとその変遷へんせんは後々のものでなく、最初から名前沢山だくさんに生れ付いていたのかも知れない。
「他殺か何かなら、それ位のことをやって見る張り合いがあるけども、自殺じゃ詰らんからネエ……まだ他に事件が沢山うんとあるもんだからトテも忙がしくて……」
空を飛ぶパラソル (新字新仮名) / 夢野久作(著)
事務に懸けては頗る活溌かっぱつで、他人の一日分沢山たっぷりの事を半日で済ましても平気孫左衛門、難渋そうな顔色かおつきもせぬが、大方は見せかけの勉強ぶり、小使給事などを叱散しかりちらして済まして置く。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
自分ノ身体カラダヲ可愛ガルヨウニ。今アナタイソガシイデショウネ。大工ダイク壁屋カベヤ沢山タクサンノ仕事デ。デスカラ身体ヲ大事ニスルヨウニクレグレモ願イマス。
自分は前の方だと云いたい。しかし事実はどうもあとの方らしい。とにかくも両方まじってたと云うのが一番おだやかのように思われる。世の中には軽蔑しながらもこわいものが沢山いくらもある。矛盾にゃならない。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「せっかく、雨の中を沢山えっと歩きまわったにのう」彼は合羽かっぱをゆすりあげていった。私は答えられなかった。目を伏せたまま私は頭をさげ、挙手の礼をする警官と別れた。
演技の果て (新字新仮名) / 山川方夫(著)
婆「有難う…おや/\まアれだけおくんなさいますか、まア此様こんな沢山えら結構なお菓子を」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
多「へい、わし十年の間粉炭こなずみを拾い集め、明き俵へむやみに詰め込んで、拝借致しやしたおおきい明き納屋へ沢山えらく打積ぶッつんで有りやすから、あれで大概たいげえ宜かんべいと思って居りやす」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「儲けろ 沢山たんとな 立派人いいひとになってれ」
飢えたる百姓達 (新字新仮名) / 今野大力(著)
彼処あすこばゝあほど運のい奴はありません、無闇に金ばかり溜めて高利を取って貸すんでげすが、二つき縛りで一割の礼金で貸しやアがって、の位の者は沢山たんたア有りませんね
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
お梅の実の親のおかめが泊って居るのさ、沢山どっしり金を持ってる様子だが、丹治が己を切ってしまいそうな権幕だったから、改心して尼に成ったと云い、兄いはお縄を受けて牢死したと云って置いたのに
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
『さあ、沢山どつしり入れろ——一わたりよ、二わたりよ。』
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
「でもね、娑婆気しゃばっけだの、洒落しゃれだの、見得だの、なんにもそんなわざとでなしに、しようと思って、直ぐあの中へ、頭からお宝を撒ける人は、まあ、沢山なんとほかには無い。——おこうさんばかりなんだよ。」
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
何に田舎いなかでこそお梅さんは美人じゃが東京に行けばあの位の女は沢山やれにありますから後の二人だってお梅さんばかりねらうてもおらんよ、など厄鬼やっきになりて討論する婦人連もあった。
富岡先生 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
仮令よしや時計を見たって三十分も四十分も違ってるのが沢山ザラだから駄目ですヨ
越後獅子 (新字新仮名) / 羽志主水(著)