沢山うんと)” の例文
旧字:澤山
……僕は苦しくつてたまらなくなると何時でも田舎に逃出すんです。今度も然うです、畢竟つまり、僕自身にもまだロマンチツクが沢山うんと残つてます。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
(木ペンかばの木に沢山うんとあるじゃ)キッコはふっとこう思いました。けれども樺の木の小さなえだには鉛筆ぐらいの太さのはいくらでもありますけれどもけっして黒い心がはいってはいないのです。
みじかい木ぺん (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
叔父は上框あがりがまちに突立つて、『悪いなら悪いと云へ。沢山うんと怒れ。うなの小言など屁でもねえ!』と言つて、『馬鹿野郎。』とか、『この源作さんに口一つ利いて見ろ。』とか、一人で怒鳴りながら出て行く。
刑余の叔父 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)