“たん”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:タン
語句割合
17.9%
10.1%
9.7%
9.4%
8.9%
8.5%
5.3%
4.8%
3.1%
1.9%
1.9%
1.7%
1.7%
1.4%
1.4%
1.2%
1.2%
1.0%
0.7%
0.7%
0.7%
0.7%
0.5%
0.5%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
沢山0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
痰咳0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
鉛丹0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
さつきのすがめはもう側にゐない。たんも馬琴の浴びた湯に、流されてしまつた。が、馬琴がさつきにも増して恐縮したのは勿論の事である。
戯作三昧 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
○英雄には髀肉ひにくたんといふ事がある。文人には筆硯生塵ひっけんちりをしょうずといふ事がある。余もこの頃「錐錆を生ず」といふ嘆を起した。
病牀六尺 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
只違つてゐるのは、今度は今までよりも縦の方向が勝つて走るのでございます。わたくしはたんを据ゑて目を開いて周囲まはりの様子を見ました。
うづしほ (新字旧仮名) / エドガー・アラン・ポー(著)
内に眠っている事業に圧迫せられるような心持である。潜勢力の苦痛である。三国時代の英雄はに肉を生じたのを見てたんじた。
かのように (新字新仮名) / 森鴎外(著)
生れて四十年、一たんの土と十五坪の草葺のあばらぬしになり得た彼は、正に帝王ていおうの気もちで、楽々らくらくと足踏み伸ばして寝たのであった。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
とあやしまれたがのちによく見れば、独楽こま金輪かなわの一たんに、ほそい金環きんかんがついていて、その金環から数丈すうじょうひも心棒しんぼうにまいてあるのだ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
白いあぎとたんの如き唇——もっと深くさし覗くとりんとした明眸めいぼうが、海をへだてた江戸の空を、じっとみつめているのであった。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
(い)こしより足首迄の間に一行より五六行位の横線わうせんゑがきたるもの。是等の中にはたんくぼましたるも有り亦朱にていろどりたるも有り。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
天道樣が感應かんおうましまして忠兵衞にはせし者ならん如何にも此長助が一肌ひとはだぬいでお世話致さんさりながら一たん中山樣にて落着らくちやくの付し事を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
実に何んともいいようのない疼痛とうつうを感じて、いてもってもいられない位……僂麻質斯リューマチスとか、神経痛とかいうのでもなく何んでもたん内訌ないこうしてかく全身が痛むのであるとかで
今、世の人心として、人々ただちに相接すれば、必ず他のたんを見て、そのちょうを見ず、己れに求むること軽くして人に求むること多きを常とす。
学者安心論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
たんは若い船頭に命令を与える必要上、ボオトのへさきに陣どっていた。が、命令を与えるよりものべつに僕に話しかけていた。
湖南の扇 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
とすると、先祖せんぞへはともかく、友達ともだちかほにかゝはる……とたん廊下らうかつてくと、女中ぢよちう案内あんないされたのは、これまた心易こゝろやすい。
飯坂ゆき (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
動機どうきは、たんに哲学上の好奇心からこともあるし、又世間せけんの現象が、あまりに複雑ふくざつ色彩しきさいを以て、かれあたまを染めけやうとあせるからる事もあるし
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
川は急流でところどころに瀬を作り、またたんを作つてゐる。潭のところで若者らは童子どうじをも交へて泳ぎ、寒くなると川原の砂に焚火たきびしてあたつてゐる。
南京虫日記 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
日本のことわざにまじわりはたんとして水のごとしというのがある、日本人は水のごとしだ、清浄せいじょうだ、淡白たんぱくだ、どんな人とでも胸をひらいてまじわることができる。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
たんたる廣庭の中央には、雲を凌いで立つ一株の大公孫樹があつて、今、一年中唯一度の盛裝をこらして居た。
葬列 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
仲平の父は日向国ひゅうがのくに宮崎郡清武村に二たんほどの宅地があって、そこに三棟の家を建てて住んでいる。
安井夫人 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
他は菱樽ひしだるたん問屋の専売権をぎ、富豪の驩心かんしんを損ずるを顧みず、極めて急進突飛の手腕を揮い、一は常識円満、群小を包容する韓魏公に類し、他は理のある所、勢を顧りみず、勢の存する所
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
硝子ガラス戸から客間をのぞいて見ると、雨漏あまもりのあとと鼠の食つた穴とが、白い紙張りの天井てんじやう斑々はんぱんとまだ残つてゐる。が、十畳の座敷には、赤い五羽鶴ごはづるたんが敷いてあるから、畳の古びだけは分明ぶんみやうでない。
東京小品 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
すなわち、孔明は蜀に、兄のきんは呉に、従兄弟いとこたんは魏に。そして誕のことは余りいわれていないが、一書に
三国志:12 篇外余録 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
林氣𤸇りう多く、木氣多く、岸下の氣しゆ多く、石氣力多く、嶮岨の氣えい多く、谷氣多く、丘氣狂多く、陵氣たん多く、衍氣仁多く、暑氣えう多く、寒氣壽多くなどと説いて居る。
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
ゴオテイエが娘の支那シナは既に云ひぬ。José Maria de Heredia が日本もまた別乾坤べつけんこんなり。簾裡れんりの美人琵琶びはたんじて鉄衣の勇士のきたるを待つ。景情もとより日本ならざるに非ず。
良吉は、油っ濃くでくでくに肥って、抜け上った額が熱い汁を吸うたんびに赤くなって行った。
栄蔵の死 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
藩に就くに及ばず、第十子たんを生れて二月にして王とし、十六歳にして藩に兗州府えんしゅうふに就かしめ、第十一子椿ちんを封じてしょく王とし、成都せいとき、第十二子はくしょう王とし、荊州府けいしゅうふに居き
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
の太祖の言は、まさに是れ太祖が胸中の秘を発せるにて、はやくよりこの意ありたればこそ、それより二年ほどにして、洪武三年に、そうこうていしゅくていしんたんの九子を封じて
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
その奥は土地でたんと云っている煉瓦れんがのようなものが一ぱい積み上げてある。どうしても奥の壁に沿うて積み上げてあるとしか思われない。
鼠坂 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
自分の跨がっているあなの直前は背丈位の石垣になっていて、隣の家の横側がその石垣と密接している。物音はその一番奥の所でしている。表からたんの積んだのが見えている辺である。
鼠坂 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
たん地主ぢぬしかへしてしまつたらふたゝ自分じぶんしくなつても容易よういれることが出來できないのをおそれたからである。いまにおつぎを一人前にんまへ仕込しこんでると勘次かんじこゝろおもつてる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
あるひいはく、『たんすなは老子らうしなり』と。あるひいはく、『非也ひなり』と。しかるやいなやをし。
また、ソクラテスの言わるるには、「人あり、その寝に就くに、数たんに熱湯を盛り脚冷を防ぎけるに、その夜、エトナ山の噴火口辺りを徘徊はいかいしたりと夢みし」
妖怪報告 (新字新仮名) / 井上円了(著)
昌黎しやうれいまこととせず、つまびらか仔細しさいなじれば、韓湘かんしやうたからかにうたつていはく、青山雲水せいざんうんすゐくついへ子夜しや瓊液けいえきそんし、寅晨いんしん降霞かうかくらふ。こと碧玉へきぎよく調てうたんじ、には白珠はくしゆすなる。
花間文字 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
孔子、晩にして易をこのみ、たんけいしょう説卦せっか文言ぶんげんついず。易を読み、韋編いへん三たび絶つ。曰く、我に数年を仮し、かくのごとくせば、われ易に於て則ち彬彬ひんぴんたらん。(『孔子全集』、一九六五)
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
少し間のびた顏をしてゐる者があツたら、突倒つきたふす、踏踣ふみのめす、噛付かみつく、かツぱらふ、うなる、わめく、慘たんたる惡戰あくせんだ。だからあせあかとが到處いたるところ充滿いつぱいになツてゐて、東京には塵埃ごみが多い。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
「然し、時にはたんぼうといふことも——これまた時に応じて必要とするんだらうね。」
村のストア派 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
「儲けろ 沢山たんとな 立派人いいひとになってれ」
飢えたる百姓達 (新字新仮名) / 今野大力(著)
そして船が巖の間をすれすれに急たんを下る時にも、叫び声一つあげず、じっと船頭の巧みなかいのつかい方に見入り、かつて何かで読んだことのある話を思い出していた。
次郎物語:03 第三部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
然れども警察の取締皆無のため往来の人随所に垂流すが故に往来の少し引込みたる所などには必ず黄なるもの累々としてうずたかく、黄なる水たんとしてくぼみにたまりをりて臭気紛々として人にせま
二葉亭四迷の一生 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
春雲しゆんうんつきめて、よるほの白く、桜花あうくわたんとして無からむとす。かはづの声いと静かなり。
花月の夜 (新字旧仮名) / 徳冨蘆花(著)
幽咽いうえつ 泉流 水 たんを下る
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
声なくてたんを掻く音
幻想 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
聞いてみると勿論咳も痰もひどく熱も高かつたが、年寄りが、そりや痰咳たんだから醤油食ふな、といふんで、本人もそのつもりで鹽氣を出來るだけ斷つて通して來たといふんです。まるで滅茶ですね。
続生活の探求 (旧字旧仮名) / 島木健作(著)
老子らうし苦縣こけん厲郷らいきやう曲仁里きよくじんりひとなりせい李氏りしあざな伯陽はくやうおくりなたんふ。しう(一)守藏室しゆざうしつなり孔子こうししうき、まされい老子らうしはんとす。
州の南門、黄柏路こうはくろというところにたん六、詹七という兄弟があって、きぬを売るのを渡世としていた。
同時にいまさらのように、そのとき不注意にわきみをするとか隣のものに話しかけるとしたかも知れなかった自分をふり返ってわたしはたんぜんとした。
雷門以北 (新字新仮名) / 久保田万太郎(著)
まず材をよく磨きてのち、鉛丹たん膠水にかわ、または尋常よのつね荏油えのゆ仮漆かしつあわせたる、黄赤にしてたいまい色をなすところの元料もとを塗る。
元禄十三年 (新字新仮名) / 林不忘(著)