“はず”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ハズ
語句割合
35.5%
26.4%
8.4%
4.9%
3.6%
3.4%
2.8%
2.4%
2.3%
1.5%
(他:129)8.8%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
家の経済を思えば、一銭のむだ使いも出来ぬはずであるのに、つい、ふとした心のはずみから、こんな、つまらぬ旅行を企てる。
佐渡 (新字新仮名) / 太宰治(著)
が、それもそのはず、あとで身上みじょうを聞くと、芸人だと言う。芸人も芸人、娘手品むすめてじな、と云うのであった。
妖術 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
船頭は魚を掬って、はりはずして、舟の丁度真中まんなかの処に活間いけまがありますから魚を其処そこへ入れる。
幻談 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
自分が席をはずして、つい近所の洋食屋へ行って支度したくをして帰って来ると、彼はきっと「うまかったか」と聞いた。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
――だが不審なのは、それまで殊のほか温順だった黒鹿毛が、なにゆえにかくも狂おしくはずみ出したか、その原因が謎でした。
カラカラッと、くう木枯こがらしと聞こえたのは、逃げるはずみに、その男が竹の束につかッて鳴ったひびきで、
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして足利一勢にてがわれた宿所の地は、やっと捜したような京も辰巳たつみ(東南)はずれの月輪つきのわだった。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
見送りのため、城下はずれまで、駒を並べつついて来た義弟おとうとの小十郎に、彼は、平時のように話しかけていた。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
二十四五のちよいと好い男で、場所柄らしくないにしても、何んかのはずみでニツコリすると、女のやうに優しい表情になります。
「そいつが、何んかのはずみで開かなかつたんだ。東海坊が火に追はれ乍ら、床板ばかり氣にすると思つたが、こいつだよ」
豆腐屋が気に向いた朝だけ石臼を回して、心のはずまないときはけっして豆をかなかったなら商買しょうばいにはならない。
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ガラツ八は平次をなだめ乍ら、財布から小粒を出して勘定をすませ、板前と小女に、はずみ過ぎない程度のお年玉をやりました。
顔の赤くなるほどはずかしいことや、また生きていることがいやになるほど卑しいことや、まだまださまざまの Evil を!
愛と認識との出発 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
何故なら、そんな小学生の時分から、私はみんなの前では、私の母から話しかけられるのさえ、ひどくはずかしがっていたから。
麦藁帽子 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
息子さんはたれやらと札の引張合いをして勝ったのが愉快だというので、大声に笑った拍子に、顎が両方一度にはずれた。
カズイスチカ (新字新仮名) / 森鴎外(著)
「ほら、羽根から視線をはずした瞬間、まわっていることが分るでしょう。僕もいま飛び出したばかりですよ。ほら。」
微笑 (新字新仮名) / 横光利一(著)
それにおはずかしいことには、ってうまれたけずぎらいの気性きしょう内実ないじつよわいくせに
故山に帰る心事 だんだん日本に近づくに従って私は非常の感慨かんがいに打たれて、どうも日本に帰るのがはずかしくなった。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
第四ノ目的ハ、ソウスル〓ニヨッテ彼女ヲ極度ニはずカシメ、彼女ガドコマデシラヲ切ッテイラレルカヲ試シテヤリタイノダ。
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
中にはその名をはずかしめないものがありますが、その大部分は外国へ出すのでありますから、吾々の生活とは交る面が限られております。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
『けどもねえ智恵子様、怎うしたんだかちつとも気がはずまなかつてよ。騒いだのは富江さん許り……可厭いやあねアノ人は!』
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
『けれどもねえ智惠子さん、うしたんだか些とも氣がはずまなかつてよ。騷いだのは富江さん許り……可厭いやあねあの人は!』
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
彼は呼吸いきはずませていた。暗くてくは判らぬが、おそらく顔の色も蒼くなっているだろうと思われた。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
と息をはずませて、右源太が、人に聞いていた。そして、群衆の中を、走って行った。新らしい橋へ来た時、もう、大作の姿も、役人の姿も無かった。
三人の相馬大作 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
あおざめていて力なさそうで、悲しそうで恨めしそうではずかしそうで、イヤハヤ何とも言様がない。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
その心のごときも我は華族であるからはずかしき行いをしてはならんと深く自ら戒めて居る者が多い。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
はずみましたとも。あれからこども達と一緒にクンカンなんかりましてね。ひどはしやぎましたよ。」
「滅多に手答へがないんださうで、――尤も返事を貰つてくれたら、一分くらゐははずんでもいゝといふのもありますがね」
「わたし、……わたしは……字を知りません」阿Qは筆をむんずと掴んではずかしそうに、恐る恐る言った。
阿Q正伝 (新字新仮名) / 魯迅(著)
夫れを相場はずれにせよと云いながら、はず気色けしきもなく平気な顔をして居るのみならず
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
発奮はずんで、ずるずると来たやつが、若衆わかいしゅの足許で、ころりとかえると、クシャッと異変な声を出した。
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
響に応じて、コロコロとったが、こっちは一吹きで控えたのに、先方さき発奮はずんだと見えて、コロコロコロ。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そんなにはずまないのだけれど、もうよそうとも言えないので、干し列べた平茎の中をぶらぶらと出て行く。
千鳥 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
千代子はもとより誰彼の容赦なく一様に気易きやすく応対のできる女だったので、御嬢様と呼びかけられるたびに相当の受答うけこたえをして話をはずました。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
串戯じょうだんではない。日向ひなたさっと村雨がかかった、すすき葉摺はずれの音を立てて。――げに北国の冬空や。
古狢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
この上に東天紅とうてんこうのそよ風なびいて、葉摺はずれの音をどくろの唄と聞かせている。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
思わずそこへ出て来たように声を掛けながら、節子は暗い格子戸の内から日中でも用心のために掛けてある掛金をはずしてくれた。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
裏へぬきを打ってはずしのできるようにこしらえたすかしの板敷を、絶間なく知らない人が往ったり来たりした。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「無力同然な使者の一行、そうまでせずとも、われらが洛中へ入る日まで、幡豆はずのどこかに牢舎させておけばすもうに」
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
これから遠く離れた愛知県の宝飯ほい額田ぬかた郡、また幡豆はず郡の一部においても、タンポポをマンゴと呼んでいる土地が今でもある。
自分の嫌ひな人間に対して頗る無愛想であるが、こゝろを許した友に対しては話はなか/\はずむ方であるから、三人は火鉢を前にして、冬の夜の寒さを忘れるまでに語りつゞけた。
魚妖 (新字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
自分の嫌いな人物に対して頗る無愛想であるが、こころを許した友に対しては話はなかなかはずむ方であるから、三人は火鉢を前にして、冬の夜の寒さを忘れるまでに語りつづけた。
魚妖 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
井戸の蓋と隔ての戸とをこれにて兼ね、一方を当てて夜ごとには彼方かなた此方こなたを垣したる、透間すきま少し有りたる中より、奮発はずみたるまりのごとく
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
茶代を奮発はずんで、頼むと言った。
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そうして花を引いても気のはずむということがなかった。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
そしてはずんだ調子で、現場の模様を誇張して話した。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
祗園ぎおんの祭には青簾あおすだれを懸けてははずし、土用のうしうなぎも盆の勘定となって、地獄の釜のふたの開くかと思えば、じきに仏の花も捨て、それに赤痢の流行で芝居の太鼓も廻りません。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
旅館は新宿のカフエ街のはずれの細かい小路にあったが、いつか一度泊まったこともあるので、すぐ円タクを手前まで乗りつけることができたが、車をおりて前まで歩いて行くと、上から葉子の呼ぶ声がした。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
ところが、お新は金が欲しさに戻って来た、そこで十両とはずんでやって喜ばせた上、後から追っ駆けて細引で締め殺した、が、細引から足がつくといけないと思って、改めてお新の荷物から真田紐を捜して来てそれを首に巻きつけ、細引は目印の赤い端っこを切り落して、藍染川の泥に突っ込んだ――多分細引に血か泥が付いて
それはそうとして君、それから僕は内心すこぶるはずかしく思ったから、今度は大いに熱心になってきだしたが、ほぼできたから巻煙草まきたばこを出して吸い初めたら、それまで老爺おやじさん黙って見ていたが、何と思ったか、まじめな顔で、その絵をくれないかと言いだした。
郊外 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
イヤイヤ一わせることに、先方むこう指導霊しどうれいとも手筈はずをきめていてある。
鍛練した目的はちがっていたが、こういう困苦に向って、彼の引きしまった肢体したいはいよいよはずんでいるようであった。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
総領女は起きて入口の方へ往ったが、どうも其の詞の調子が母と違っているように思われるので、戸の懸金をはずしかけてまた聞いた。
白い花赤い茎 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)