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はず
ふりがな文庫
“
逸
(
はず
)” の例文
川音と話声と
混
(
まじ
)
るので
甚
(
ひど
)
く聞き
辛
(
づら
)
くはあるが、話の
中
(
うち
)
に自分の名が聞えたので、おのずと聞き
逸
(
はず
)
すまいと思って耳を立てて聞くと
雁坂越
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「危ねい! 往来の真ン中を
彷徨
(
うろうろ
)
してやがって……」とせいせい息を
逸
(
はず
)
ませながら立止って怒鳴り付けたのは、目の
怕
(
こわ
)
い車夫であった。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
と、心持息を
逸
(
はず
)
ませて、呆氣にとられてゐる四人の顏を急しく見廻した。そして
膨
(
むつち
)
りと肥つた手で靜かにその解職願を校長の卓から取り上げた。
足跡
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「
後開榛名梅ヶ香
(
おくれざきはるなのうめがか
)
(
安中草三郎
(
あんなかそうざ
)
)」や「
粟田口霑笛竹
(
あわたぐちしめすふえたけ
)
」や「
塩原多助一代記
(
しおばらたすけいちだいき
)
」もまた
逸
(
はず
)
すべからざる代表作品であるがこれらの検討もまた他日を期そう。
我が円朝研究:「怪談牡丹灯籠」「江島屋騒動」「怪談乳房榎」「文七元結」「真景累ヶ淵」について
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
「もう解った。ふうむ、そうか。……それでやっと胸に落ちた。爺つぁん!」——と岩太郎は声を
逸
(
はず
)
ませた。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
▼ もっと見る
言葉數も少なく、杯も一向に
逸
(
はず
)
まぬ。座の一方の洋燈には冷やかに風が
搖
(
ゆら
)
いで居る。此ごろでは少し飮めばすぐに醉ふやうになつてゐる父が、その夜は更に醉はない。
古い村
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
失敬な事を云ふ奴だと思つたが、翁に会ひたいと云ふ
願
(
ねがひ
)
で
逸
(
はず
)
んで居る心には腹も立たなかつた。晶子は東京の有島
生馬
(
いくま
)
君から貰つて来た紹介状に皆の名刺を添へて
下部
(
ギヤルソン
)
に渡した。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
昨夜
逸
(
はず
)
んだような心持で母親の言い出したことを考え出すとおかしいようでもあった。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
今日まで如何なる難題にも、邪推にも、悪罵にも、あてこすりにも十二分に堪えていた温良な嫁も、むざむざ良人との愛を
割
(
さ
)
かれるこの不法と苛酷に対して、思わず自制の
箍
(
たが
)
を
逸
(
はず
)
してかッと逆上した。
姑と嫁について
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
『けれどもねえ智惠子さん、
怎
(
ど
)
うしたんだか些とも氣が
逸
(
はず
)
まなかつてよ。騷いだのは富江さん許り……
可厭
(
いやあ
)
ねあの人は!』
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
こっちの四人、女連れだ、
殊
(
こと
)
に浜路は
疲労
(
つか
)
れている。呼吸が
逸
(
はず
)
んで歩きなやむ。
背後
(
うしろ
)
三間、追い逼まった敵!
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
息が
逸
(
はず
)
んで、足が
竦
(
すく
)
んで、もう
凝
(
じッ
)
として居られない。抱付くか、逃出すか、二つ一つだ。で、私は
後
(
のち
)
の方針を
執
(
と
)
って、物をも言わず
卒然
(
いきなり
)
雪江さんの部屋を逃出して了った……
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
その眼は妙に輝いて、聲まで
逸
(
はず
)
んでゐる。
貴下
(
あなた
)
は東京の人だらう、と言ひながら頭の
頂上
(
てつぺん
)
から爪先まで見上げ見下してゐる。何氣なく左樣だと答へると、何日にあちらを立つたと訊く。
熊野奈智山
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
「時」の血を火の如く
逸
(
はず
)
ませ
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
『けどもねえ智恵子様、怎うしたんだか
些
(
ちつ
)
とも気が
逸
(
はず
)
まなかつてよ。騒いだのは富江さん許り……
可厭
(
いやあ
)
ねアノ人は!』
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
深手を負わせるという約束に背いて時の
逸
(
はず
)
みとは云い乍ら、切り殺したように思われたからです。
赤格子九郎右衛門
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
小さな茶店に休んでゐると其処にも四五人がゐて、何か戦争の話が
逸
(
はず
)
んでゐた。
岬の端
(新字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
逸
(
はず
)
してなるものか、というような気になって、必死になって武者震いを喰止めて、何喰わぬ顔をして、呼ばれる儘に雪江さんの部屋の前へ行くと、
屈
(
こご
)
んでいた雪江さんが、其時
勃然
(
むっくり
)
面
(
かお
)
を挙げた。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
二人の話はもう以前の樣に
逸
(
はず
)
まなくなつた。吉野が來てからの智惠子は、何處となく變つた點が見える。さればと言つて別に自分を厭ふ樣な樣子も見せぬ。
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
いかに鍛えた体とはいえ、疲労せざるを得なかった。彼は今にも仆れそうになった。ハッハッハッハッと
呼吸
(
いき
)
が
逸
(
はず
)
んだ。で彼は北側の廊下で、しばらく休むことにした。
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
すると次第に彼等同志だけで話が
逸
(
はず
)
んで來て、後には御者もその仲間に入つた。
熊野奈智山
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
智恵子の来なかつたのは、来なければ
可
(
い
)
いと願つた吉野を初め、信吾、静子、さては或る
計画
(
もくろみ
)
を抱いてゐた富江の
各々
(
おのおの
)
に加留多に気を
逸
(
はず
)
ませなかつた。其夜は詰らなく過ぎた。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
だんだん二人は
疲労
(
つかれ
)
てきた。足の運びも遅くなり、胸が苦しく呼吸が
逸
(
はず
)
む。
南蛮秘話森右近丸
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
と、ツイ
逸
(
はず
)
んで
地方訛
(
なまり
)
を使つたので遽てゝ紅くなる。
姉妹
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
智惠子の來なかつたのは、來なければ可いと願つた吉野を初め、信吾、靜子、さては或る計畫を抱いてゐた富江の各々に、歌留多に氣を
逸
(
はず
)
ませなかつた。其夜は詰らなく過ぎた。
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
どうしたことか今日に限って一向にお
逸
(
はず
)
みなされませぬな。
赤格子九郎右衛門の娘
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「どうやら少し
呼吸
(
いき
)
が
逸
(
はず
)
む。ちょっと体を休めるとしよう」
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「秋篠!」と若殿は嬉しさに、声を
逸
(
はず
)
ませて呼びかけた。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「殿、拝借、望遠鏡を」近習の三弥、声を
逸
(
はず
)
ませる。
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
時の
逸
(
はず
)
みで松太郎も、刀を執らざるを得なかった。
高島異誌
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
逸
常用漢字
中学
部首:⾡
11画
“逸”を含む語句
独逸
飄逸
都々逸
逸見
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逸物
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逸品
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獨逸
放逸
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逸駿
見逸
逸雄
逸作
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