“可厭”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
いや87.7%
いやあ3.8%
いとわ2.8%
いと1.9%
いやな1.9%
いやら0.9%
いやらし0.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
おいら可厭いやだぜ。」と押殺した低声こごえ独言ひとりごとを云ったと思うと、ばさりと幕摺まくずれに、ふらついて、隅から蹌踉よろけ込んで見えなくなった。
陽炎座 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
『けれどもねえ智惠子さん、うしたんだか些とも氣がはずまなかつてよ。騷いだのは富江さん許り……可厭いやあねあの人は!』
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
可厭いとわしい親戚の前に頭を下げて、母子おやこの生命を托さなければ成らないか、と思う心は、一家の零落を哀しむ心に混って、涙を流させた。
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
言畢いひをはつて、かたけ、ゆきなすむねだらけの無手むずき、よこつかんで、ニタ/\とわらふ。……とたぼ可厭いとはず、うなじせななびいてえる。
麦搗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
突如だしぬけに斯う云った人があったのです。見返ると、あの可厭いやな々々学生が、何時か私達の傍近くに立って居たではありませんか。
昇降場 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
連れた可厭いやらしいお客がござって迷惑なら、私家わしとこへ来て、かがんで居ッさい。どれ、店を開けておいて、いかいこと油を売ったぞ、いや、どッこいな。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
さう致すと、案の定可厭いやらしい事をもうもう執濃しつこく有仰るのでございます。さうして飽くまで貴方の事をうたぐつて、始終それを有仰るので、私一番それには困りました。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)