“いと”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:イト
語句割合
48.3%
10.8%
10.2%
8.9%
3.4%
2.6%
1.8%
1.0%
0.9%
可憐0.9%
意図0.9%
可愛0.8%
0.7%
0.6%
0.6%
0.5%
0.5%
最愛0.5%
0.4%
0.4%
生糸0.3%
伊都0.2%
怡土0.2%
0.2%
三味0.2%
可厭0.2%
0.2%
0.2%
意圖0.2%
0.2%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
倫糸0.1%
0.1%
三絃0.1%
令嬢0.1%
伊斗0.1%
0.1%
可怜0.1%
可惜0.1%
垂綸0.1%
射取0.1%
小女0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
最惜0.1%
0.1%
0.1%
絹糸0.1%
綿糸0.1%
0.1%
縷糸0.1%
0.1%
釣糸0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
意気の為めには死をもいとはざりし也。魏徴ぎちようが所謂「人生感意気、功名誰復論」なるものは是れ彼等の血を以て保護せし信条なりし也。
信仰個条なかるべからず (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
らしていた居間の道具類、始終いていた琵琶びわ和琴わごんなどの、今はいとの張られていないものなども御覧になるのが苦しかった。
源氏物語:36 柏木 (新字新仮名) / 紫式部(著)
「だから、はないツちやない。」と蘿月らげつは軽くにぎこぶし膝頭ひざがしらをたゝいた。おとよ長吉ちやうきちとおいとのことがたゞなんとなしに心配でならない。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
そゝぐ涙に哀れをめても、飽くまで世を背に見たる我子の決心、左衞門いまは夢とも上氣とも思はれず、いとしと思ふほど彌増いやまにくさ。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
そのくるま手長蜘蛛てながぐもすね天蓋てんがい蝗蟲いなごはねむながい姫蜘蛛ひめぐもいと頸輪くびわみづのやうなつき光線ひかりむち蟋蟀こほろぎほねその革紐かはひもまめ薄膜うすかは
尋ね出してをつと道十郎殿の惡名をすゝがせん者をと夫より心を定め赤坂あかさか傳馬町でんまちやうへと引取られ同町にておもてながらもいとせま孫店まごだな借受かりうけ爰に雨露うろ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
○鯉釣場にして、いはゆる浅草川の紫鯉を産するところなれば、漁獲の数甚だ多からざるにかゝはらず釣客のいとを垂るゝもの甚だ少からず。
水の東京 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
何の鳥とも知らず黒い小鳥がいて、二三羽頭の上を廻っていた。かたわらの垣根の竹に蛞蝓なめくじが銀色のいとを引いて止まっている。
(新字新仮名) / 小川未明(著)
そいからまたしてもいとなり出して、今度は前よりもっと苦しそうにのた打ち廻って、何や血のかたまりみたいなもんが出たらしいいうたりするのんですが
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
気丈きじょうなので人に涙を見せないのであろうと、尼はなおさら可憐いとしがったが、政子は自分をいつわってはいないのである。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
だれひとり、その勇壮活発ゆうそうかっぱつ歌詞かしをうたって男先生の意図いとおうとするものはなく、イイイイ ムイミーと歌うのだった。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
「いいえ。色恋ではないわいな。わたしゃシンカラ与一よっちゃんが可愛いとしゅうて可愛いとしゅうて……」
名君忠之 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「ウム。……だが伊織。それならお前はなぜ、白骨を持ったその手を、さも汚いように、先刻からいとっているのか」
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
中阿や南阿の土人が、象と花驢いと多かった時、これを馴らし使う試験をかさねず、空しくこれを狩り殺したは、その社会の発達をいたく妨げた事とおもう。
恐ろしい大きな高い巌が前途ゆくてに横たはつてゐて、あのさきへ行くのか知らんと疑はれるやうな覚束ない路を辿つて行くと、辛うじて其の岩岨いはそばいとのやうな道が付いて居て
観画談 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
ひもも、紙鳶に相応ふさはしい太いいとだし、それがかれてあるわくも、子供では両手で抱へてゐなければならぬ程、大きな立派なものである。
良寛物語 手毬と鉢の子 (新字旧仮名) / 新美南吉(著)
かつて学校の窓で想像した種々さま/″\の高尚な事を左様さういつ迄も考へて、俗悪な趣味をいとひ避けるやうでは、一日たりとも地方の学校の校長は勤まらない。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
最愛いとしい、沢山たんとやつれ遊ばした。罪もむくいもない方が、こんなに艱難辛苦かんなんしんくして、命に懸けても唄が聞きたいとおっしゃるのも、おっかさんの恋しさゆえ。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
二十五のいとはんやったらしっかりしたはって、願ったりかなったりだと、わざわざ定枝の歳をありがたいものにするいい方を、仲人はして、つまりはおたかの気性をのみこんでいた。
わが町 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
彼は彼自身の眼を疑うように、一刹那いっせつなは茫然とたたずんでいた。が、たちまち大刀を捨てて、両手に頭を抑えたと思うと、息苦しそうなうめき声を発して、いとを離れた矢よりも早く、洞穴の外へ走り出した。
素戔嗚尊 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
黒眼鏡をかけて、糸織の袷羽織あわせばおりに、角帯をしめて、茶の中折帽、東京から来て今生糸いと相場ほうへ思惑をしてみたが、ちょっと、追敷おいじきが足らなくなったからと、軽く言っているのだがね……
かんかん虫は唄う (新字新仮名) / 吉川英治(著)
伊都いと郡の野村という所などは、弘法大師が杖で突いてからき出したと伝わって、幅五尺ほどの泉が二十五間もある岸の上から落ちて、広い区域の田地を潤しています。
日本の伝説 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
唐津、名護屋なごや怡土いと城、太宰府、水城みずき宇美うみ筥崎はこざき多々羅たたら宗像むなかた、葦屋、志賀島しかのしま残島のこのしま、玄海島、日本海海戦の沖の島なんて見ろ、屈辱外交の旧跡なんて薬にしたくもないから豪気だろう。
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
はじめ村中も倶々とも/″\すゝめて止ざりけりさても寶澤は願ひの如き身となりたび用意よういもそこ/\にいとなみければ村中より餞別せんべつとして百文二百文分におうじておくられしにちりつもりて山のたとへ集りし金は都合八兩貳とぞ成にける其外には濱村はまむらざしの風呂敷ふろしき或は柳庫裏やなぎごり笈笠おひがさくもしぼり襦袢じゆばんなど思々の餞別せんべつに支度は十分なれば寶澤は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
いき三味いとがほしいような、何ともうれしいけしきである。
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
これほど親しいお牧では有りましたが、しかし彼女のあかぎれの切れた指の皮の裂けたやうな手を食事の時に見るほど、可厭いとはしいものも有りませんでした。
などと、彼は自分を歌って、自分をいとしがった。
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
今はたとい葛飾で出来た早稲の新米を神様に供えてお祭をしている大切な、身をきよくしていなければならない時であっても、あのいとしいお方のことですから、むなしく家の外に立たせては置きませぬ
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
さぞうちたての蕎麥そばのゝしつて、なしつてることだらう。まだそれ勝手かつてだが、かくごと量見りやうけんで、紅葉先生こうえふせんせい人格じんかく品評ひんぺうし、意圖いと忖度そんたくしてはゞからないのは僭越せんゑつである。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いとけなけれどなまめかしく、而も無心むしん
畑の祭 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
昨夜ゆうべいといくさのことに胸なやませていたていじゃに、さてもここぞまだ児女わらわじゃ。今はかほどまでに熟睡うまいして、さばれ、いざ呼び起そう」
武蔵野 (新字新仮名) / 山田美妙(著)
いとう武芸にけておじゃるから思いやるも女々しけれど……心にかかるは先ほどの人々の浮評うわさよ。狭い胸には持ちかねて母上に言い出づれば、あれほどに心強うおじゃるよ。
武蔵野 (新字新仮名) / 山田美妙(著)
抱起だきおこして「これ、俯向うつむき轉倒ころばしゃったな? いま一段もっと怜悧者りこうものにならッしゃると、仰向あふむけ轉倒ころばっしゃらう、なァ、いと?」とふとな
仰向あふむけ轉倒ころばっしゃらう、なァ、いと」とふと、阿呆あはうどのが啼止なきだまって、「あい」ぢゃといの。(笑ふ)
一八六四年版、ピエロッチの『パレスタイン風俗口碑記』に、アラブ人が馬を愛重する有様などをいと面白く書いた。とても拙毫せつごうの企て及ぶところでないが、その概略を左に訳出しよう。
あり触れた和漢の故事を述べてまたその話かと言わるるをおそれ、唐訳の律蔵よりいとも目出たい智馬ちばの譚を約説して祝辞に代え、それから意馬いばはしるに任せ、おもい付き次第に雑言するとしよう。
天保二年、抽斎が二十七歳の時、八月六日に長女いとが生れ、十月二日に妻威能が歿した。年は二十六で、とついでから僅に三年目である。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
五百の来り嫁した時、抽斎の家族は主人夫婦、長男恒善つねよし、長女いと、次男優善やすよしの五人であったが、間もなく純はでて馬場氏のとなった。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
足許へざざと波がくる。そこを流してゐると、一尋の倫糸いとへ一尺もある奴がぐつと来るのだからたまらない。竿が満月だ。巧みにあやして引ぬく、魚は黒銀の生きた扇だ。
夏と魚 (新字旧仮名) / 佐藤惣之助(著)
皆ハネ竿で、倫糸いとも長く、先づ半職釣といつた人が多い。
夏と魚 (新字旧仮名) / 佐藤惣之助(著)
この仇無あどないとしらしき、美き娘のやはらかき手を携へて、人無き野道の長閑のどかなるをかたらひつつ行かば、如何いかばかり楽からんよと、彼ははや心もそらになりて
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
かの男女なんによいとしさにへざらんやうに居寄りて、手に手をまじへつつ密々ひそやかに語れり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
この容色きりょう三絃いともちょっと響く腕で——ころ同然な掃溜はきだめへ落ちていると分りますと、一夜妻のこの美しいのが……と思う嬉しさに、……今の身で、恥も外聞もございません。
菎蒻本 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「へへ、わ、わたくしはお松云いまして令嬢いとはんのお世話をして居りますものでございます」
蠅男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
かれその御子の生れましし地に名づけて、宇美といふ。またその御裳にかしし石は、筑紫の國の伊斗いとの村にあり。
「おつつみなされても、この頃のおやつれよう、尼も胸がいとうなりまする」
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
意外にも敵のおのれよりわかく、己より美く、己より可憐しをらしく、己よりたつときを見たるねたさ、憎さは、唯この者有りて可怜いとしさ故に、ひとなさけも誠も彼は打忘るるよとあはれ、一念の力をつるぎとも成して
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
けれども頑固な父は女給であると云う事だけで私達の結婚をどうしても許さなかった。父にして見れば早く妻に別れて、男手一つで育て上げた一人息子は掌中の珠より可惜いとしかった。
愛の為めに (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
下に小さな舟をつないで、一人の男がしきりに垂綸いとを見詰めている。一行の舟が、ゆるく波足なみあしを引いて、その前を通った時、この男はふと顔をあげて、久一さんと眼を見合せた。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ところで、今度、隅田川両岸りょうがん人払ひとばらい、いや人よせをして、くだんの陣羽織、菊綴、葵紋服あおいもんぷく扮装いでたちで、拝見ものの博士を伴ひ、弓矢を日置流へぎりゅうばさんで静々しずしず練出ねりだした。飛びも、立ちもすれば射取いとられう。
妖魔の辻占 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
行儀作法ぎゃうぎさはふ生粹きっすゐぢゃありやせん、でもほんこと仔羊こひつじのやうに、温和おとなしいひとぢゃ。さァ/\/\、小女いとよ、信心しんじんさっしゃれ。……え、もうみましたかえ、おひる食事しょくじは?
まだいとけなき少年の頃よりして、この故しらぬ靈魂の郷愁になやまされた。夜床はしろじろとした涙にぬれ、明くればにはとりの聲に感傷のはらわたをかきむしられた。
青猫 (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
氷の如き宮が手を取り、ひしと握りて、永く眠れるおもてのぞかんと為れば、涙急にして文色あいろも分かず、推重おしかさなりて、いとしやと身をもだえつつ少時しばし泣いたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
私が始終斯ういう感じにばかりつかっていて、実感で心を引締めなかったから、人間がだらけて、ふやけて、やくざがいとどやくざになったのは
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
まつとなりしあはれさはたとへものもなかりけり茲に腰元こしもとお島と言は其以前より藤五郎がひそかなさけをかけし女なれば此程の體裁ありさまいとほしく思ひ人目を忍びて朝夕の食事其外何くれとなく心を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
少女のように浮き立って——顔を見れば涙がこぼれそうな、こんなに男を待っていたのか、と、われと我が身がいとおしくなる切ないような気持であった。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
「悪徒の友なるいとしきは狼の歩みしづかかに共犯人かたうどの如く進み来りぬ。いと広き寝屋ねやの如くに、空おもむろとざさるれば心焦立いらだつ人はたちまち野獣の如くにぞなる……」
夜あるき (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
村中にても薄々うす/\知て居る者あれば幸ひと引取り親子共に夫婦となりける又おせんも我身わがみあかりもたち傳吉へ金ももどりし上は人々にいとまを告げ野尻のじりへ立ち歸りぬ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「われらかんがへたもとほり……いや、をとこらしく、ようまをされました。さて、いづれもお最惜いとしいが、あゝ、あぶなことかな。」
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
つくしたれど定業ぢやうごふのがれ難く母は空敷むなしくなりにけり兵助の愁傷しうしやう大方ならずされなげき甲斐かひ無事なきことなれば泣々も野邊の送りより七々四十九日のいとなみもいとねんごろにとふらひける。
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
私が書物ばかり買うのを見て、奥さんは少し着物をこしらえろといいました。私は実際田舎いなかで織った木綿もめんものしかもっていなかったのです。そのころの学生はいとはいった着物を肌に着けませんでした。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
貞之進は自分の放埒ほうらつを父が聞及んでのこと、ヒシと胸板を貫かれ、おず/\部屋へ迎え入れたが、庄右衛門は手織のあわせ絹糸いとの這入ったゞけを西条の豪家として、頬から下へ福々しい顔に変りはなく
油地獄 (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
細き橋を渡り、せまがけぢて篠田は伯母の軒端近く進めり、綿糸いとつむぐ車の音かすかに聞こゆ、彼女かれは此の寒き深夜、老いの身のほ働きつゝあるなり
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
とこっちも莫連ばくれんのお吉、うそぶくように鼻でいい、蜘蛛くもいとに煤が紐のようにたかり、無数に垂れている天井へ、濃化粧の白い顔を向けた。
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
いわゆる囘憶おもいでというものは人を喜ばせるものだが、時にまた、人をして寂寞せきばくたらしむるを免れないもので、精神たましい縷糸いとすでに逝ける淋しき時世になお引かれているのはどういうわけか。
「吶喊」原序 (新字新仮名) / 魯迅(著)
御母さんの弁舌は滾々こんこんとしてみごとである。小野さんは一字の間投詞をさしはさいとまなく、口車くちぐるまに乗ってけて行く。行く先はもとより判然せぬ。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
町人のゆらしている煙は西国煙草さいこくたばこらしい。それも阿波あわ煙草や薩摩さつま煙草ではなく中国ものだ——。そんな事を考えたりして、釣糸いとに心はいていないのだ。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)