“かな”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:カナ
語句割合
21.6%
14.9%
13.3%
12.4%
9.3%
6.4%
4.3%
3.1%
仮名2.1%
可成2.0%
(他:156)10.6%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
いくら江戸っ子でも、どれほどたんかを切っても、この渾然こんぜんとして駘蕩たいとうたる天地の大気象にはかなわない。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
流石さすがに中條流名譽の腕前だ、名乘つて正面から向つてはかなはなくとも、後ろからなら門弟の一人くらゐは成敗できる。
こひはまさかもかな草枕くさまくら多胡たこ入野いりぬのおくもかなしも 〔巻十四・三四〇三〕 東歌
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
しかも其處そこひらめいてゐたのは、いかりでもなければかなしみでもない、――ただわたしをさげすんだ
藪の中 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
富「処が向が大勢おおぜいでげすから、此方こっちが剣術を知っていても、大勢で刃物を持って切付けるからかないません」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
こういう時には三吉の方から折れて出て、どうしても弱いものにはかなわないという風で、種々に細君の機嫌きげんを取った。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
私が子規のまだ生きているうちに、「半鐘と並んで高き冬木かな」という句を作ったのは、実はこの半鐘の記念のためであった。
硝子戸の中 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
嗚呼ああ盲目なるかな地上の人類、汝等なんじらは神の名においあやまちを犯せる人の子の生命を断ちつつある。
菜食信者と訳したら、あるいは少し強すぎるかも知れませんが、主義者というよりは、よく実際にかなっていると思います。
ビジテリアン大祭 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
江戸中の色町いろまちに名を響かせた女と云う女を調べても、彼の気分にかなった味わいと調子とは容易に見つからなかった。
刺青 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
かなしい少女の心には、睡蓮のあの可哀想な、淋しそうで悲しそうな、あの気持ちがあまりにもぴったりはいって来るからです。
季節の植物帳 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
「いや僕も、君の言うことがよく解ったよ。それでは僕も明日は出席しないからね……」私は少しかなしくなって、こう言った。
遁走 (新字新仮名) / 葛西善蔵(著)
むかとったる杵柄きねづかの、覚束おぼつかなくもかなでけるに、黄金丸も興に入りて、病苦もために忘れけり。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
琴の糸のかなで出すあやは、彼女の空想を一ぱいにふくらませ、どの芽から摘んでいいかわからない想いが湧上わきあがるのだ。
田沢稲船 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
もしそういう人があったなら、その人は一つ一つの出来事に、それにかなった尺度を持って行って当てるわけではないでしょうか。
子遠もしく同志とはかり内外志をかなえ、この事をして少しく端緒あらしめば、吾の志とする所もまた荒せずというべし。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
この日、白雲は、どこかでローマ字綴りの仮名かなをつけたのを、半紙へ幾枚か墨で書いてもらって来て、それを練習している。
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
さいわい箸箱はしばこの下に紙切が見着かった――それに、仮名かなでほつほつと(あんじまいぞ。)と書いてあった。
瓜の涙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「純粋な芸術」というような言葉は、可成かなり滑稽な言葉である。社会的効果を標準にして、芸術の高下は定める可きである。
愚言二十七箇条 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
誰も拾いてのない川の中に、彼らのいるところよりは可成かなり低い水面に、抛物線ほうぶつせんを描いてずぶりと墜ちた。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
高麗錦こまにしきひもけてるがろとかもあやにかなしき」(同・三四六五)
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
相模路さがむぢ淘綾よろぎの浜の真砂まなごなす児等こらかなしく思はるるかも」(巻十四・三三七二)等の例がある。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
耳は少し遠いようだが、かなツンボというわけではないから、お松がそばにいてあしらってくれればけっこう話の用には立つ。
大菩薩峠:34 白雲の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
そうかとおもうと、かなだらいのなか金魚きんぎょおよがしているのや、いろいろでありましたが、あるところへくると
ある夜の姉と弟 (新字新仮名) / 小川未明(著)
し、なんぢところこゝろかなへり、かねもくをこそとおもひけれ
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
今、朕れ、丈六の仏を造りまつらむがために、き仏の像を求む。汝が所献たてまつれる仏のためし、即ち朕が心にかなへり。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
そのころちょっと外出がいしゅつするにも、すくなくとも四五にん従者ともかならずついたもので……。
居士コジは、人命犯じんめいはんにはかならず萬已むを得ざる原因あることひ、財主ざいしゆ老婆ろうば
「罪と罰」の殺人罪 (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
それを今に復古して、実績をあげるには、なおいくたの困難と上下の協和とがなくてはかなわぬところで、真の御世泰平を仰ぐ日は
以前から彼の心のすみには“山林さんりん”があった。“後生の願い”もたぶんにあった。すべてかなわぬねがいであった。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ガラツ八は時々ふところを覗いて、假名かなで書いて貰つた口上書を辨慶べんけい讀みにし乍ら、斯う言つた聲を張り上げました。
お艶から金太郎へやる手紙をお六に頼まれたのは幹助だ。幹助は無筆と言つてゐるが實は假名かな文字くらゐは書ける。
が併し、その絵姿が美しければ美しい程、云いようのないかなしみの影が心の底に頭を擡げて来るのをドリアンは気がついた。
絵姿:The Portrate of Dorian Gray (新字新仮名) / 渡辺温(著)
と、もう涙をためてゐた。「こんど来る時には、メンデルスゾンのものを買つて来てね、いつそかなしい方が慰めだわ、新しい、騒々しいのは厭……」
繰舟で往く家 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
それ天下有司に諭し、務めて礼教をたっとび、疑獄をゆるし、朕が万方ばんぽうともにするをよろこぶの意にかなわしめよと。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
若し阿部正弘が榛軒に聴いたとすると、それは榛軒の説が保守主義者たる正弘の旨にかなつたのであらう。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
世界の希望は人間の希望なり、何をか人間の希望といふ、曰く、個の有限の中にありて彼の無限の目的にかなはせんこと是なり。
「拙者の以前まえに持っておった者が、やはり三つの願をかけて、それも三つともかなったとか聞き及んでおるが――。」
永享十年八月二十三日四季部奏覧を終え、一条摂政兼良が真字まな序・仮字かな序ともに作った。
中世の文学伝統 (新字新仮名) / 風巻景次郎(著)
また本居宣長もとおりのりながおうもやはり『古事記伝』の初めの総論に「仮字かなの事」という条に、明らかに音の区別であったといっているのであります。
古代国語の音韻に就いて (新字新仮名) / 橋本進吉(著)
然るに矛盾に滿ちて居る人の世は、如何なる時に於ても、人の望にかなつた無疾病の世といふものが現在した例を見せて居ない。
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
かみの御意図にかなうわけで、必ずお気に入りましょう。
――が、御諚なればと、二人は懸命に、そのとき“熊野ゆや”のふしかなでて歌った。
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
袴を取って踊り出すものもあればお菊のかなでる三味線に合わせて渋い喉を聞かせるものも出て来た。
赤格子九郎右衛門の娘 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
しかれどもかみ和ぎ、しもむつびて、事をあげつらふにかなふときは、すなは事理ことわり自らに通ふ、何事か成らざらむ。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
よつかなつとに好む所に、永く願はくは人間を辭せん、といつてゐる位に
華厳滝 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
「あの加奈かなとかいった娘に、もういちど逢いたいような気がしますよ。ちょいと淋しいが良い娘でしたね、夕顔の花のようで」
平次はそれを一と通り見終ると、振り返つて縁側にゐる主人の治兵衞と、繼母のお加奈かなに挨拶しました。
その学に志した時が二十前後であつたと云ふにかなはない。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
嵩山の歿年万治二年と云ふにかなはない。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
鐘のひびきのかなしくも
閑人詩話 (新字旧仮名) / 河上肇(著)
仙太は、この町での飲みがしらであった。酒にかけてはかなうものがいない。この親爺が白面しらふで歩いているのを、町の人たちは見かけたことがないという。
凍雲 (新字新仮名) / 矢田津世子(著)
「どう? 譲治さん、子供に負けて口惜くやしかないこと?―――もう駄目だわよ、何と云ったってあたしにかなやしないわよ。まあ、どうだろう、三十一にもなりながら、大の男がこんな事で十八の子供に負けるなんて、まるで譲治さんはやり方を知らないのよ」
痴人の愛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
この人の悪口は、火の中から出したばっかりのかなごてのようだ。
風知草 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
かな網の中にまします矢大臣
漱石氏と私 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
万葉集の詞書には、「有間皇子自らかなしみて松が枝を結べる歌二首」とあるのは、以上のような御事情だからであった。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
いや、さうさう、柏原かしわばらの奥さんが、お前の写真を是非欲いと言つて、会ふたびやかましく催促するんでかなはんよ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
かなはぬ事のみなるにくるしかりけれど、安否をかざりし幾年いくとせの思にくらぶれば、はやふくろの物をさぐるに等しかるをと
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
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