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叶
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かな
ふりがな文庫
“
叶
(
かな
)” の例文
私と云ふ先妻の長男を家庭内で冷遇することが少なからず後妻の気に
叶
(
かな
)
ふので、父はさかんに私を冷遇して後妻に
媚
(
こ
)
びる癖があつた。
ある職工の手記
(新字旧仮名)
/
宮地嘉六
(著)
又
御身
(
おんみ
)
の位地として相当の準備なくては
叶
(
かな
)
はず、第一病婦の始末だに、
尚
(
なほ
)
付
(
つ
)
きがたき今日の場合、
如何
(
いかん
)
ともせんやうなきを察し給へ。
母となる
(新字旧仮名)
/
福田英子
(著)
その晩もお菜に鹽つ辛い
鮭
(
さけ
)
をつけると、——こんなお菜は飯が要つて
叶
(
かな
)
はない——つて、下女のお留に大小言を食はせたんですつて。
銭形平次捕物控:102 金蔵の行方
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「へい、おほきに。どうぞお出やしてお呉れやす。此頃旦那がちつとも来て呉れはらしまへんので、淋して
叶
(
かな
)
やしまへんのどつせ。」
世の中へ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
それですから、もし神尾の殿様に願って通らなかった時は、この殿様に願えば必ず
叶
(
かな
)
えて下さるだろうと思われてなりませんでした。
大菩薩峠:11 駒井能登守の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
▼ もっと見る
ひそめ、こんどは体でもわるくせねばよいがと案じていたが、それくらいな望みなれば、
叶
(
かな
)
えて
遣
(
つか
)
わしてもさしつかえないではないか
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この美しく降った雪を、若しお二人で眺めることが
叶
(
かな
)
いましたならば、どんなにかお
懽
(
うれ
)
しいことでございましょう、というのである。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
お二人のお心からの純眞な
温
(
あたゝか
)
い御同情を、あなたの福音の道に
叶
(
かな
)
つた慈善のお心と同じやうに、本當に嬉しく有難く思つてをります。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
其
(
それ
)
にあなたも
舊
(
もと
)
と
違
(
ちが
)
つて、
今
(
いま
)
のやうな
御身分
(
おみぶん
)
でせう、
所詮
(
しよせん
)
叶
(
かな
)
はないと
斷
(
あきら
)
めても、
斷
(
あきら
)
められないもんですから、あなた
笑
(
わら
)
つちや
厭
(
いや
)
ですよ。
三尺角拾遺:(木精)
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
豪商百万両の金も、飴やおこし四文の銭も、
己
(
おの
)
がものとしてこれを守るの心は同様なり。世の
悪
(
あ
)
しき諺に、「泣く子と
地頭
(
じとう
)
には
叶
(
かな
)
わず」
学問のすすめ
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
今夜それを読んだら、
叶
(
かな
)
はない気がした。
僅
(
わづか
)
百枚以内の短篇を書くのに、悲喜
交
(
こもごも
)
至つてゐるやうでは、自分ながら気の毒千万なり。
雑筆
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
たった伊予一国の知行のみ仰せ付けられ、鎌倉に入ることも
叶
(
かな
)
わず、追い戻されるとは、どう考えても、わからないことだらけじゃ
現代語訳 平家物語:11 第十一巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
簡単に、われわれのところに、あなたがたの希望条件に
叶
(
かな
)
った一室がある、お見せすることが出来る、という男文字の文面だった。
道標
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
自分
(
じぶん
)
の
馬
(
うま
)
はのろくてとても
叶
(
かな
)
ひませんので、その
馬
(
うま
)
をほしく
思
(
おも
)
ひ、いろ/\
話
(
はなし
)
をして
馬
(
うま
)
を
取
(
と
)
りかへてもらひ、
喜
(
よろこ
)
んで
家
(
いへ
)
へかへりました。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
けれども三千代と最後の会見を遂げた今更、父の意に
叶
(
かな
)
う様な当座の孝行は代助には出来かねた。彼は元来が
何方
(
どっち
)
付かずの男であった。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
これは
遉
(
さすが
)
に露という季を入れていて、私に
逢
(
あ
)
ったクウシュウの心もちを述べたものでありまして、俳諧の規則に
叶
(
かな
)
っております。
俳句への道
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
口
(
くち
)
にせねば
入譯
(
いりわけ
)
御存
(
ごぞん
)
じなきこそよけれ
御恩
(
ごおん
)
がへしにはお
望
(
のぞ
)
み
叶
(
かな
)
へさせまして
悦
(
よろこ
)
び
給
(
たま
)
ふを
見
(
み
)
るが
樂
(
たの
)
しみぞと
我
(
わ
)
れを
捨
(
すて
)
ての
周旋
(
とりもち
)
なるを
五月雨
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
彼の姿絵を、床の下に敷きながら、
焦
(
こが
)
れ死んだ娘や、彼に対する恋の
叶
(
かな
)
わぬ悲しみから、
清水
(
きよみず
)
の舞台から身を投げた女さえない事はない。
藤十郎の恋
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
それに、ちがいない。その上、緑色は睡眠のためにも、たいへんよろしいのであるから、願ったり、
叶
(
かな
)
ったりというものである。
春の盗賊
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
かく
患者等
(
かんじゃら
)
は
理髪師
(
とこや
)
の
外
(
ほか
)
には、ただニキタ
一人
(
ひとり
)
、それより
外
(
ほか
)
には
誰
(
たれ
)
に
遇
(
あ
)
うことも、
誰
(
たれ
)
を
見
(
み
)
ることも
叶
(
かな
)
わぬ
運命
(
うんめい
)
に
定
(
さだ
)
められていた。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
わたしは、五十嵐先生のあとをついで、このむずかしい仕事をなしとげようとしている兄達の念願を、どうかお
叶
(
かな
)
え下さいと祈るのです。
偉大なる夢
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
神聖
(
たふと
)
い
語
(
ことば
)
で
二人
(
ふたり
)
の
手
(
て
)
を
結
(
むす
)
び
合
(
あ
)
はして
下
(
くだ
)
されば、
戀
(
こひ
)
を
亡
(
ほろぼ
)
す
死
(
し
)
の
爲
(
ため
)
に
此身
(
このみ
)
が
如何樣
(
どのやう
)
にならうとまゝ。
妻
(
つま
)
と
呼
(
よ
)
ぶことさへ
叶
(
かな
)
へば、
心殘
(
こゝろのこ
)
りはない。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
山野を跋渉しなければならないから健康的で、まず新スポーツとでも言えるだろう。厚生省が高唱している体位向上の主旨にも
叶
(
かな
)
うわけだ。
採峰徘菌愚
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
医者が患者の
容態
(
ようだい
)
が
判
(
わか
)
るように、料理をする者は、相手の
嗜好
(
しこう
)
を見分け、老若男女いずれにも、その要求が
叶
(
かな
)
うようでなくてはなりません。
日本料理の基礎観念
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
そんなことすら長い年月の間、非常な
贅沢
(
ぜいたく
)
な願いのように考えられていた。でも、白足袋ぐらいのことは
叶
(
かな
)
えられる時が来た。
足袋
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
強敵にぶつかって「到底
叶
(
かな
)
わぬ」と気が付いたり、又は物の見事にしくじったりした場合なぞに心の底の悲観や落胆が鼻に現われたもので
鼻の表現
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
かれの狡猾はかねがね人に知れ渡っているところから、自分の無罪を証明することは到底
叶
(
かな
)
うまじきようにかれも思いだした。
糸くず
(新字新仮名)
/
ギ・ド・モーパッサン
(著)
「今薬局で芫菁を
磨
(
す
)
っているのですが、どんなに我慢をしても、あれには
叶
(
かな
)
いません」とのことで、それから
暫
(
しばら
)
く外へ出て休んでいました。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
却ってこれが間に
介
(
はさ
)
まらねば、余り
両人
(
ふたり
)
の間が接近しすぎて穏さを欠くので、お政は文三等の幸福を成すに
無
(
なく
)
て
叶
(
かな
)
わぬ人物とさえ思われた。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
余にはこの翁ただ何者をか秘めいて
誰
(
たれ
)
一人開くこと
叶
(
かな
)
わぬ箱のごとき思いす。こは
余
(
よ
)
がいつもの怪しき
意
(
こころ
)
の
作用
(
はたらき
)
なるべきか。
源おじ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
つぶれた眼には痛みはないですが、あいて居る眼は、私の欲望を思う存分
叶
(
かな
)
えてくれるだろうと、私は喜び勇んだものです。
按摩
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
それ迄は幾分遊戯気分で追い廻していたものが、それからは
傍目
(
わきめ
)
もふらずに恋いこがれて、是非とも望みを
叶
(
かな
)
えずには
措
(
お
)
けないようになった。
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「……お気に入らぬと知りながら、未練な私が
輪廻
(
りんね
)
ゆえ、そい
臥
(
ふ
)
しは
叶
(
かな
)
わずとも、お
傍
(
そば
)
に居たいと辛抱して、これまで居たのがお身の仇……」
夫婦善哉
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
謙蔵は、村内のさる中農の次男だったが、性来実直で、勤勉で、しかもどこかに才幹があるというので、正木の老人の眼鏡に
叶
(
かな
)
ったのだった。
次郎物語:01 第一部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
それに彼にはこの土地が、ひどく心に
叶
(
かな
)
っていた。漁師町であり農村であり、且つ港である銚子なる土地は、粗野ではあったが詩的であった。
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
古い小栗の
戯曲
(
じょうるり
)
(『新群書類従』五)に、判官「畜生には
叶
(
かな
)
わぬまでもせみょう(宣命か)含めると聞く、
某
(
それがし
)
がせみょうを含めんに心安かれ」
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
一日
(
いちにち
)
も
此塲
(
このば
)
を
立去
(
たちさ
)
る
事
(
こと
)
叶
(
かな
)
はねば、そこで
私
(
わたくし
)
と、
日出雄少年
(
ひでをせうねん
)
と、
武村兵曹
(
たけむらへいそう
)
と、
他
(
た
)
に
二名
(
にめい
)
の
水兵
(
すいへい
)
とが、
鐵車
(
てつしや
)
に
乘組
(
のりく
)
む
事
(
こと
)
になつた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
実に御下問の条々が理に
叶
(
かな
)
って尋常のお尋ねではないので、岡倉校長は
恐懼
(
きょうく
)
致されたと、後に承ったことで御座いました。
幕末維新懐古談:70 木彫の楠公を天覧に供えたはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
されば到底貴下の満足する如く丁寧に教ふる事は
叶
(
かな
)
ひがたかるべし。もしそれにてもよければやむをえざる故唯折々
暇
(
いとま
)
あらん時遊びに
来
(
きた
)
られよ。
書かでもの記
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
「さあ、たしか、
新富町
(
しんとみちょう
)
の
市川左団次
(
たかしまや
)
さんが、
謝
(
わび
)
に連れてってくだすって、
帰参
(
きさん
)
が
叶
(
かな
)
ったんですが——ありゃあ、廿七、八年ごろだったかな。」
市川九女八
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
行歩
(
ぎやうぶ
)
に
叶
(
かな
)
へる者は、吉野十津川の方へ落ゆく。
歩
(
あゆみ
)
もえぬ老僧や、尋常なる修業者、
児
(
ちご
)
ども
女
(
をんな
)
童部
(
わらんべ
)
は、大仏殿、
山階
(
やましな
)
寺の内へ我先にとぞ
迯
(
にげ
)
行ける。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
「煩悩が煩悩に溺れては、その煩悩の中より力を獲ることは
叶
(
かな
)
わぬわけ——有森氏! 煩悩力をもって出羽を討つとの誓いはいかが召されたっ!」
煩悩秘文書
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
そしてしまいにはやっぱり
翌日
(
あくるひ
)
までお花をつけることになるから来てくれるたびに金がいって
叶
(
かな
)
わんいうてはりました。
霜凍る宵
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
「ほんに
羨
(
うら
)
やましいのはそなたの身じゃ、その美くしさとその若かさとを持っていたら、あらゆる此の世の楽しみ、何ひとつ
叶
(
かな
)
わぬことはない筈だ」
艶容万年若衆
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
これを
養育
(
はぐく
)
むこと
叶
(
かな
)
はず、折角頼みし仇討ちも、仇になりなん口惜しさ、推量なして給はらば、
何卒
(
なにとぞ
)
この児を
阿姐
(
あねご
)
の児となし、阿姐が
乳
(
ち
)
もて育てあげ。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
容易にはまたとお目もじも
叶
(
かな
)
うまじと存ぜられ候。あなたさまはいつまでも私のお兄さまにておわし候。静かに御養生なされ候ようお祈り申しあげ候。
千鳥
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
國のくの字も仰しゃる
気遣
(
きづか
)
いはありませんよ、それですから貴方が本当に
信実
(
しんじつ
)
がおあり遊ばすならば、私の
願
(
ねがい
)
を
叶
(
かな
)
えて、
内
(
うち
)
の殿様を殺して下さいましな
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
古歌に劣らぬ歌は
何処
(
どこ
)
から如何に詠み出すべきかと、
叶
(
かな
)
わぬまでもつとめて見るのが大事だという形になったが、これはまことに当然のことであろう。
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
出来ますことなら、お嬢さまから
叶
(
かな
)
えて上げて下さいますなら、わたくしまでどんなに救かりますか知れないのでございます。どうぞお願いいたします
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
純潔
(
チヤスチチイ
)
より恋愛に進む時に至道に
叶
(
かな
)
へる順序あり、
然
(
しか
)
れども始めより純潔なきの恋愛は、
飄漾
(
へうやう
)
として浪に浮かるゝ肉愛なり、何の
価直
(
かち
)
なく、何の美観なし。
処女の純潔を論ず:(富山洞伏姫の一例の観察)
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
叶
漢検準1級
部首:⼝
5画
“叶”を含む語句
叶屋
相叶
不叶
御叶
不相叶
叶坊
叶家
叶橋
叶津
大入叶
大叶屋
戸叶