“私”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
わたし41.1%
わたくし17.8%
わし14.3%
ひそ5.3%
ひそか3.5%
あたし2.2%
わっし2.1%
わっち2.1%
あっし1.9%
わた0.8%
うち0.8%
わたい0.6%
あて0.5%
わたく0.5%
てまえ0.4%
あたい0.4%
わて0.4%
わつし0.4%
0.4%
0.3%
ワタシ0.3%
わつち0.3%
あたくし0.3%
わしゃ0.3%
あつし0.3%
わたへ0.2%
わちき0.2%
わッし0.2%
ひと0.2%
わっちゃ0.2%
ワタクシ0.2%
わい0.1%
あし0.1%
たれ0.1%
そっ0.1%
てまい0.1%
わしい0.1%
そつ0.1%
あた0.1%
あたへ0.1%
うわし0.1%
おら0.1%
ふァたい0.1%
わしイ0.1%
わたしゃ0.1%
わだし0.1%
わっ0.1%
わっちや0.1%
わつ0.1%
わはし0.1%
わらは0.1%
わらわ0.1%
わッち0.1%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
わたしまれるまえから、このおき時計どけいは、いえにあったので、それだけ、したしみぶかいかんがするのであります。
時計と窓の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「それは、わたしも時どき思わんこともありません、深尾殿なら、貴方あなたのこともよく御存じでございますから、ここのようではありますまい」
水面に浮んだ女 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
鞘師さやし曾呂利新左衛門そろりしんざゑもんといふ人が、此事このこといて、わたくしも一つやつて見たうござる、とふので
落語の濫觴 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
「さよう、わたくしでございます。とおいところ、やっとあるいてまいりました。」と、老人ろうじんはとぎれとぎれにこたえました。
三月の空の下 (新字新仮名) / 小川未明(著)
武「なに貴様は余程酒がきだな、わし此処こゝを通るたびに飲んでらん事はないが、貴様は余程よっぽど酒家しゅかだのう」
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
いやわしくさみ一つせぬくらゐ、おふくろときたまれいみちやつはじめるがの
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
村家に就きて言語を査するに、親子兄弟一様なる語調あり。われは平生、我が国語の自から階級的なるを厭ふもの。之を思ひてひそかに悟るところあり。
客居偶録 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
我能く人に福を分てば、人も亦我に福を與ふべく、たとひ人能く我に福を與へざるまでも、人皆心ひそかに我をして福あらしめんことを祷るものである。
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
——フランシス上人の後へついて、殊勝らしく、そこいらを見物して歩きながら、悪魔は、ひそかにこんな事を考へて、独り会心の微笑をもらしてゐた。
煙草と悪魔 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
その不見識とやらをきらふよりは、別に嫌ふべく、おそるべく、いましむべき事あらずや、と母はひそかおもひはかれるなり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
「厭だああたし……だから此前の日曜にしようと言たのに、阿母かあさんが……」といいながら座敷へ入って来て、始めて私が眼へ入ったのだろう。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
「今度はあたしが人間で三人犬にならないか。私がお菓子や何かを投げてやるから、みんな四つ這いになって其れを喰べるのさ。ね、いゝだろ」
少年 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
横ッちょに曲ってかかってるんですが、わっし過日いつか中から気になってならないんで、直すか直すかと思ってるとやっぱり横ッちょだ。
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そうかと思うと、「へえ仁王だね。今でも仁王をるのかね。へえそうかね。わっしゃまた仁王はみんな古いのばかりかと思ってた」と云った男がある。
夢十夜 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
傳「わっち左様そう言いましたよ、柳田典藏さんと云う手習てなれえの師匠で、易をたっうとすっかりならべ立ったので」
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「知ってる段じゃございません。わっちらはそいつらと張り合ってるので」「誰だな? そいつは? え、誰だな?」「赤格子九郎右衛門でございますよ」
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
あっしなんぞは、そんなものを持って来たって駄目さ。気楽な隠居の身分にでもなったら願いましょうよ。」と言って新吉は相手にならなかった。
新世帯 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「もしあっしの申し上げることが、旦那のおためになることでやして、もっともだと旦那がお思いでしたら、一万五千ペセタ下さいやしょうかね?」
陰獣トリステサ (新字新仮名) / 橘外男(著)
わたしのなぞといつたら野郎やらうから心替こゝろがはりがしてかほてさへすのだから仕方しかたがない
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
名前が分って居るなら先ず其名前をきこう(大)もとより名前をいいますが夫より前にわたしの発見した手続きを申ます、けどが長官
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
「漢和何とかいうの引いたの。末っちゃんに考えてもらえってうちいうたのやけど、義兄にいさんったらきかはらへんのや。いややなアそんな名?」
御身 (新字新仮名) / 横光利一(著)
「なんやこう、あんたに離れるのがいやで言うたみたいやけど、うちいままで毎日お祖父ちゃんの俥のタイヤに空気入れてたさかい、ポンプ押すのん上手やし。」
わが町 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
「早くかうよ。わたいお金持ちだよ。今夜こんやは。仲店なかみせでお土産みやげを買つてくんだから。」とすた/\歩きだす。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
「それはあの、何なの、だってわたいは何にも知らないんですもの、」と俯向うつむいて膝の上を、煙管きせるで無意識にたたきながら、
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
何もな、何も知らんのえ、あて路之助はんのは、あんたはん、ようお馴染なじみの——源太はん、帯がゆるむ——いわはったひとどすの。
白花の朝顔 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
あてでっか。あて如何どないでもよろしおま」表情一つ動かさず、強いて言うならば、綺麗な眼の玉をくるりくるり廻していた。
青春の逆説 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
わたくしの名は越智東風おちとうふうではありません、越智おちこちですと必ず断りますよ」「妙だね」と雲井くもいを腹の底までみ込む。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
わがまヽながらわたく一生いつしやうひとりみのねがひあり、おふせにそむくはつみふかけれど、ればかりはと子細しさいもなく
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
と打傾いて、遠くへな、てまえを導いて教えるような、その、目は冴えたがうっとりした顔をじっと見ながら聞き澄ますと、この邸じゃありません。
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
昨年の十月頃から再度参り、お前の処の娘をわきで欲しがる番頭とか旦那とか有るから世話を致そうと申しますが、てまえ取合いませんでした、すると昨年の暮廿九日に又てまえ方へ参りまして、三十金並べまして、お前さんはお堅いけれ共三十金は容易たやすい金じゃアない
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「可いよ、可いよ、あたい、私はね、こんなうつくしい蒲団に坐る乞食なの。国ちゃん、おこも敷いてるんじゃないや。うつくしい蒲団に坐る乞食だからね。」
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
番「たいでもえ、あたいは理の当然をいうのや、お嬢さまを殺して金子かねを取ったという訳じゃないが、う思われても是非がないと云うのや」
闇夜の梅 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
山村やまむらは陰気くさいよつて、何か、ぱつとした東京風の派手な踊が見たい/\言ははりますさかいな。つまりわてらはお客さん次第だんがな。」
まさか土地柄とちがら、気性柄蝶子には出来なかったが、といって、わてを芸者にしてくれんようなそんな薄情はくじょうな親テあるもんかと泣きこんで
夫婦善哉 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
わつしはね今日けふはアノとほり朝からりましたので一にちらくようと思つて休んだが、うも困つたもんですね
黄金餅 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
角助 おまへの方では心配しなくつても、息子さんの方で、却ておまへを案じてゐるかも知れねえ。わつしが行つて一遍さがして來ようか。
箕輪の心中 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
「その百人一首も焼けてなくなったんでございますか。わたしは、お墓もどこだか存じません。」
縁結び (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
格子かうしめずともしがめる、かくおく
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
の資力を以てせんこと容易に非ず、すなわち前に掲げたるが如く今回富士観象会なるものを組織して弘く天下に向て賛助を乞うに至れり
もとより明断めいだんし難しといえども、開闢かいびゃく以来の実験にり、また今日の文明説に従うときは、一家ののため一国のこうのために
日本男子論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
「今朝もMのおつ父さんに会つたがね、あれはお前が入学当時の成績のことを思つて、あなたのお子さんはよくお出来でつて挨拶をしたがワタシは冷汗が出た。」
その頃の生活 (新字旧仮名) / 中原中也(著)
ケサ、六時ロクジ林房雄氏ハヤシフサオシ一文イチブンンデ、ワタシカカナケレバナルマイトゾンジマシタ。
創生記 (新字新仮名) / 太宰治(著)
わつちアおめえにりんびやうおこつてもぢきなほ禁厭まじなひをしへてらう、なはを持つてな、ぢきなほらア。
にゆう (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
成程なるほど善悪にや二つは無えが、どうせ盗みをするからにや、悪党冥利みやうりにこのくれえな陰徳は積んで置きえとね、まあ、わつちなんぞは思つてゐやすのさ。
鼠小僧次郎吉 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
「あいにく留守にしたあとで、あたくしでは何のお役にもたちませんで——どうぞ、ごゆるりとなさって下さいまし。」
「えゝ、よくやすみまして寝坊をいたしました。あたくしが開けませう。」
桑の実 (新字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
眞「もしお梅はん、大事に気晴しのなるようにして呉れんなさませ…あゝわしゃなア済まぬがかね十両借りたいが、袈裟文庫を抵当かたに置くから十両貸してくんなさませ」
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
くの「はい、団扇は持って居ります、わしゃ貴方あんたに少しお目にかゝってお願い申したいと存じまして」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「驚いたな、お町さん。あつしもいろ/\の目に逢つたが、石井三右衞門ともいはれる大金持の身上を、まるごと預るやうなことにならうとは思はなかつたよ」
嬰兒あかんぼちゝみますから、あつしうでも、彼女あれにはるものの一口ひとくちはせたうござんすから。」——で
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
『前は鳥居や門や扉で、幾重いくへにもなつてますのに、後は板一枚だすな。……わたへ何處どこの宮はんへ參つても、さう思ひまんな。』
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
「これから家へ行くと、お酒の臭氣かざがして阿母アはんに知れますよつて、わたへもうちいと歩いて行きますわ。をツさん別れまへう。」
鱧の皮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
美「なにわちきのお父さんと心安い人なんで、四五たび私を呼んでくれた人ですが、うちのお母さんと近付に成りたいって来てえるんですよ」
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
婆「御存じのとおりわちきのとこは小部屋も何も有りませんが、何の御用でございますか、何うか此処で仰っしゃってねヘヽヽ何うも下さいませんと困りますねえ」
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「全くです。だからわッしなんざあ、昔からついぞ腹と云うものを立てたことがありません。それと云うのが矢張道楽をしたお蔭でございますね。………」
幇間 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「そうですか。わッしゃまたお上さんがお近しいから、そんな縁引きで今度親方のとこへも来なすったんだと思いまして……いえね、金さんの方じゃ知んなさらねえようだが、私ゃ以前あの人の家のじき近所に小僧をしていて、あの人のことはよく知ってますのさ」
深川女房 (新字新仮名) / 小栗風葉(著)
ところが、わたしの肚の中では依然として、妻がひとを苦しめるという憤怒の念と、彼女の上を案じる胸騒ぎとが、相争っているのでした。
清太郎さんもあまりの事に腹を立てて、いくら叔父さんでも主人でも、ひとの物を取上げて燒くといふのは無法だ。若しその梅の千五百十八番が千兩の一番に當つて居たらどうします。
森「お前さんは大変な事をやって、驚きましたねえ、わっちゃアまご/\しているんだ、お前さんは藤原のお内儀かみさんの口を引裂ひッつァいて殺しましたかえ」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
わっちゃアこれから東京へけえったが、此の時節に成りやしたから大阪へ往ったり、又ちっとばかり知る者があって長崎の方へ往って、くすぶって居て、存じながら手紙も上げず、御無沙汰をしやしたが、漸々よう/\此方こっちけえ
御懸念ゴケネン一掃イッソウノオ仕事シゴトシテラレルナラバ、ワタクシナニオウ
創生記 (新字新仮名) / 太宰治(著)
宋朝ソウチョウ管領カンリョウ梁中書リョウチュウショ北京ホッケイニアリテ、民ヲ毒シ、ケンヲ用イマツリホシイママニシテ富財ヲワタクシスルコト多年。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「なあ今はん。これわい、きょう一円二十銭で買い立ての帽子や、上方者やからすぐ値段言う思いなはんなや」
寄席 (新字新仮名) / 正岡容(著)
わいも贅六やけど、私はつまり贅六の場違いや」
寄席 (新字新仮名) / 正岡容(著)
のぼさんの好意に背くことは忍びん事であるけれども、自分の性行を曲げることはあしには出来ない。つまり升さんの忠告をれてこれを実行する勇気は私にはないのである。」
子規居士と余 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
「嫌わなけりゃ、あしの話を聞いてもらいたい」
蟹の怪 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
一妓ひとりのぎ社のうしろに入りて立かへり石の水盤てうづばちかれたる水をわづかすくひあらひしはたれりしならん。
一妓ひとりのぎ社のうしろに入りて立かへり石の水盤てうづばちかれたる水をわづかすくひあらひしはたれりしならん。
お島がその事を、そっと養母にただしたとき、彼女はそう言って苦笑していたが、養父母に対する彼女のこれまでの心持は、段々裏切られて来た。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
お島は小野田の失望したような顔を見るのがいやさに、小野田がいつか手本を示したように、そっと直しものの客の二重廻しなどを風呂敷につつみはじめた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
森の奥から火を消すばかり冷たい風で、大蛇だいじゃがさっと追ったようで、遁げたてまいは、野兎のうさぎの飛んで落ちるように見えたということでございまして。
眉かくしの霊 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
てまいはただ目が暗んでしまいましたが、前々ぜんぜんより、ふとお見上げ申したものの言うのでは、桔梗の池のお姿は、まゆをおとしていらっしゃりまするそうで……
眉かくしの霊 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
多「久八さんわしい少し用が有りやすから、誠にお気の毒だが何うか一足お先へ往っておくんなせえな、すぐあとから出かけやす」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
多「わしいむだなことには三文も遣いやしねい、天下のためなら遣いやす」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「わたし何だか急に来て見たくなつて、そつ脱出ぬけだして来たの。まさかこんなに遠い処とは思はないでせう、来てみて驚いてしまつたわ。」
或売笑婦の話 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
或日の午後、彼女はそつ新造しんぞに其事を話して、くるわを脱け出ると土産物を少し調とゝのへて、両国から汽車に乗つた。
或売笑婦の話 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
三毛子は嬉しそうに「あら御師匠さんが呼んでいらっしゃるから、あたし帰るわ、よくって?」わるいと云ったって仕方がない。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
あたへかて、知りまへんがな、……こんなとこ。……』
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
商「エーイ主人がね此方こっひえようとすう、てもえ此方ほっひけようとする時にほろがりまして、主人の頭とうわしの頭とぼつかりました処が、石頭ゆいあさまいさかった事、アハアしべてえや」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「ホホホホホホホホホ、だって評判だよ。こないだの夕方、ホラお富婆さんなあ、あの人が三の門の前に立ってると、お前許まいんとこの旦那様と奥様が懐古園の方から手を引かれて降りて来たと言うよ。おらいやだ。お盲目めくらさんででも無くて、手を引かれて歩くという者があるもんかね」
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
八重「半治はん誠にほめえはりいよう、ほれじゃアまねえよ、ふァたい此家ほゝているに、ほめえがほんなほとをひてや親分ほやぶんまねえよ、小兼ほはねはんにひまになってへえれってえ、ほれじゃア可愛ははひほうだアへえ」
多「おかゝさん、何うぞ御免なすって下せいまし、仮令たとえ書いたものがありやしても知りやせん、わしイお作と私通わるさアした覚えは何処までもがんせん、又おえいに離縁状を出すことは出来やせん」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
損「其方そっちも困るだろうが私も困らアね、引続いて長い間めて置き、蒲団はよごし料銭は少しも払わず、うにもうにも仕方がないから、わたしゃア蒲団を持ってきますよ」
『それだつてなす、毎日悪い事許りして千早先生に御迷惑かける様なんだハンテ、よくお聞き申して置いて、後でわだしもよツく吩付いひつけて置くべと思つてす。』
足跡 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
わっしゃ、よんべも食いましたがナァ」
あまり者 (新字新仮名) / 徳永直(著)
旅「江戸っ子で色の白い、い女でありやした、だん/\話を聞いたところが、今こそ斯様こん零落おちぶれているが、昔は侍の娘だと云って大変こぼしていやした、あんまり気の毒だから、わっちやア別に百文気張って来ました」
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「お、お、お……」その女は、嬉しさと、感激がこみ上げてくるものゝように声をあげて泣いた。「……お前さんが来て呉れたんか。……お、お、お……これでわつッしらも助かろうわい。お、お、お……」
武装せる市街 (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
逡巡ぐづ/″\してゐずにあいちやんはかぜのやうにはしりました、うさぎかどまがらうとしたときに、『あれッ、わはしみゝひげうしたんだらう、おそいこと』とふのをきました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
うらわかはゝともなはれし幼兒をさなごの、ひとるに、われもとてかざりしに、わらはよわくて、ばかりのふねにも眩暈めまひするに、荒波あらなみうみとしならばとにかくも、いけみづさんこと、人目ひとめはづかしければ得乘えのらじとよ。
婦人十一題 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
下郎は飛びのき不義はお家の御法度ごはっと、とシラ/″\しく言えば、女の身で恥かしいこと言い出して殿御に嫌われては最うこれまで、と懐剣ひきぬき自害の模様になるを、下郎はびっくりして止めると、そんならわらわの望み叶えてたもるか
伴「こんな所へ着けて何方どちらへ入らっしゃるのですえ、わッちも御一緒に参りましょう」