“懶”のいろいろな読み方と例文
読み方(ふりがな)割合
ものう69.2%
なま11.2%
だる7.6%
もの4.9%
1.3%
だら1.3%
たゆ0.9%
ものぐ0.9%
0.4%
うと0.4%
(他:4)1.9%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
後に負へる松杉の緑はうららかれたる空をしてそのいただきあたりてものうげにかかれる雲はねむるに似たり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
卯平うへいはさうするとまたのつそりとものうげに身體からだ戸口とぐちまでうごかして與吉よきちわたしてやる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
扱帯しごき一層ひとしおしゃらどけして、つまもいとどしく崩れるのを、ものうげに持て扱いつつ、せわしく肩で呼吸いきをしたが、
悪獣篇 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
学士はフェリックスの前に立ち留まった。「まあ。養生をしなくてはいけないのだ。これから二人でどこか山奥の方へ行ってすっかりなまけるのだね。」
みれん (新字新仮名) / アルツール・シュニッツレル(著)
「一生懸命にやらなくちゃいけないよ。なまけちゃいけないよ。それにうんと急いで、ゆるゆるしていちゃだめだよ。一日おくれたらもう後悔してもだめだ。」
王成 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
普魯西プロシヤのフレデリツク大王は忍び歩きの時でも、いつもにぎふとステツキり廻して途々みち/\なまものを見ると、
淡紅うすあかい顔をしたその西洋人が帰って来ると、お島さんもどこからか現われて来て、自堕落じだらくだるい風をしながら、コーヒを運びなどしていた。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
切迫した、あえぐような、内心でなにかと闘っているような表情をしていたが、やがて、笑いの消えた顔を、だるそうに縦に振った。
地虫 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
しかしそうした時、ごろごろだるいままに転がっている姿は、だんだん心も獣のようなそれと同じになるのではないでしょうか。
一週一夜物語 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
髯の薄い、いつもものぐさい風で患者を扱うので、伸子が嫌いな医者が、その日は当番であった。彼は伸子の挨拶に、
伸子 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
私は今この花を見捨ててぬるのがものうくその花辺に彽徊しつついる内にはしなく次の句が浮んだ。
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
彼れの汗で濡れた広い額は丁度雨上りの庭土のように、暗い光りで輝き、濃い眉毛に密接した奥深い眼は、物体の形よりも、むしだその影だけを見つめているように、ものう気であった。
ラ氏の笛 (新字新仮名) / 松永延造(著)
まだ乾き切らない湿気と鈍い日差しが皆の心も体もるくさせて、天気に感じ易い私は非常に不調和な気分になって居た。
追憶 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
かれはすぐ飯を食わすというとるそうに起きあがり、のそのそと僕のあとをいてきたのである。
一週一夜物語 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
男優は幕がすむと、例の気難かしい顔をして楽屋へ入るなり、エレン・テリイが大事の正念場だのに、自分の顔を見てにやにや笑ひ続けて居るので、舞台がれて芝居がにくくて仕方が無いと言ひ出した。
お蔭で赤塚氏はひどく腹をそこねた。そしてだらけきつた胃の腑を抱へて奉天へ来るには来たが、病気は捗々はか/″\しくはなほらなかつた。
三人は人数の少いだけ御利益ごりやくも多からうと、胸をわく/\させてゐると、程なく汽車は夜通し駆け廻つてだらけきつた身体からだ廊下プラツトフオームへ横たへた。
四月の太陽は、二日酔にでもかかつたやうに睡さうにだらけきつてゐる。
独楽園 (新字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
さながらいし葬式女はうりめの、たゆげに被衣かづき引延ひきはへて、
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
さながら老いし葬式女はうりめの、たゆげに被衣かづき引延ひきはへて、
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
出がらしになつた急須の茶滓を茶碗の一つに空けて、机の下から小さい鐵葉ブリキの茶壺を取出したが、その手付がいかにもものぐさ相で、私の樣な氣の早い者が見ると、もどかしくなる位緩々のろ/\してゐる。
札幌 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
出からしになつた急須の茶滓を茶碗の一つに空けて、机の下から小さい葉鉄ブリキの茶壺を取出したが、その手付がいかにもものぐさうで、私の様な気の早い者が見ると、もどかしくなる位緩々のろのろしてゐる。
札幌 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
いまは筆とることのもの
忘春詩集:02 忘春詩集 (新字旧仮名) / 室生犀星(著)
何處までもうとましいのである。
炭焼のむすめ (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
『ワツハハ。』けだるい笑方をして、松太郎は顔を上げた。
赤痢 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
背向そがひに臥してしどけな
花守 (旧字旧仮名) / 横瀬夜雨(著)
篠田は語りつづく「人間のもつとも耻づかしいのは、虚言うそを吐くことです、喧嘩けんくわすることです、まけることです」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
姫君は話を聞き終ると、白い月を眺めたなり、ものうげげにやつれた顔を振つた。
六の宮の姫君 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)