“なま”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ナマ
語句割合
37.7%
20.8%
14.3%
8.2%
6.8%
3.3%
2.4%
1.4%
1.0%
0.8%
(他:25)3.3%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
それから紫檀したん茶棚ちゃだなが一つ二つ飾ってあったが、いずれもくるいの出そうななまなものばかりであった。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
三ツ目の眼は爛々らんらんと光って、そうして無意識に天井を見つめている形相は、やっぱりなまやさしいものではなかった。
大菩薩峠:38 農奴の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
マイヤーの講義はザクセンなまりがひどく「小さい」をグライン「戦争」をグリークという調子で、どうも分りにくくて困った。
ベルリン大学 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
女は僅かの間しか奉公して居なかつたが、それと入れ替りに色の黒い、言葉になまりのある、私の一番嫌ひであつた下婢が来た。
(新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
眼の中には、彼女の柔い白い肉体が、人魚のように、なまめかしい媚態びたいを作って、何時までも何時までも、浮んでいた。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
社の裏の方は、細い道があって、そこには玉やという貸席や、堅田という鳴物師などが住んでいるなまめかしい空気があった。
それは工場でなまけているものを機械の枠越わくごしに、向う側でもなぐりつけることが出来るように、造られていた。
蟹工船 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
卜斎ぼくさいは、つれてきた半助などには目もくれず、頭からこのなまけ者の抜け作などとどなりつけて、さんざん油をしぼったあげく、
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いわんやそれが若い、なまめかしい声なるに於いてをや……といったような第六感がピインと来たから、特別に悠々と振返った。
超人鬚野博士 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
くだんの御所車を染めた友染の長襦袢ながじゅばんは、かわり裏のしどけない、もすそをこぼれてなまめかしい。
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
自分にはない心の余裕が羨やまれ、私はそんな、なまけ者らしい、呑気のんきな羨望の念を持ったりしたのだ。
その人 (新字新仮名) / 小山清(著)
といったアンバイ式に宣伝して世界中をみんななまけ者にしちまおうと思って発明したのがこの基督教なんだ。
悪魔祈祷書 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「私がいくら稼いだって駄目です。私はこれまでなまけるなどと云われたことのない女です」お島は涙をきながら言った。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
なまけものの美術家に縁づいて、若い盛りをいやな借金取りのいいわけに過して来た話を、お庄は時々この女の口から聞かされた。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「あそこで」あやはなまめかしい表情で、いま出て来た雑木林のほうへ眼をやった、「あそこであたしを抱いて、可愛がってくれたら云うわ」
ちくしょう谷 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
まえにはどこかしら崩れたような、じだらくなこびが感じられ、不道徳ななまめかしさが匂っていた。
すみ無花果いちじくが一本あって、なまぐさい空気の中に、青い葉を少しばかり茂らしていた。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
代助はこんな話を聞く度に、勇ましいと云う気持よりも、まず怖い方が先に立つ。度胸を買ってやる前に、なまぐさいにおいが鼻柱を抜ける様にこたえる。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「しかし、その信心ができぬ。拙者にはこうなるが天罰じゃ、当然の罰で眼が見えなくなったのじゃ、これはなまじい治さんがよかろうと思う」
大菩薩峠:05 龍神の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
小峰「本当になまじ逃げようなぞとして怪我アしてはいけませんから、おとなしく名乗って出て下さいよ」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
そして、直接、敵兵に触れ、悍馬のあしもとに蹴ちらしながら、長柄の刃が血でなまるほど、縦横無尽に、いで行った。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「目の覺めるやうな威勢のいゝ仕事は無えものかなア。此節のやうに、掻つ拂ひや小泥棒ばかり追つ掛け廻して居た日にや腕がなまつて仕樣がねえ」
沼田下新田の角右衞門殿の恩義ではないか、拙者も其の恩義を知らんではないが、御当家へお抱えになると間もなくお国詰を仰付けられ、万里の波濤を隔てゝ居れば、都度々々書面も送らんが、又なまじいに便りを致せば其の多助と云うものが八歳まで育てられた事ゆえ
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
何故私はポチをしつけて、人を見たら皆悪魔と思い、一生世間をめ付けては居させなかったろう? なまじ可愛がって育てた為に、ポチは此様こんなに無邪気な犬になり、無邪気な犬であった為に、遂に残忍な刻薄な人間の手に掛って、彼様あんな非業の死を遂げたのだ。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
もう何も言はずに、源太郎はお文の取り寄せて呉れた生魚なますしを喰べてゐた。
鱧の皮 (新字旧仮名) / 上司小剣(著)
もう何も言はずに、源太郎はお文の取り寄せて呉れた生魚なまの鮓を喰べてゐた。
鱧の皮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
怠惰なまけるとお見舞申みまひまをすぞ。」
麦搗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「珍しくはないがよく怠惰なまけるなあ。」
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
なまめかしくも媚ある風情を
青猫 (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
「馬鹿め。何をうじうじしているんだ! 秋の夜は長えといっても怠慢なまけているうちにゃあ、直ぐ明けるぜ」
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
なまじい云えばおっかさんや惣吉の為にならんと思って思い切って、心にもない悪体あくたいを云って出て来たが、是まで真実に親子の様に私に目を掛けておくんなすったしゅうとに対して実に済まない、お母さん、其のかわり屹度きっと
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
そのうちにやや陰影の曇りを煙らした室内の光に懶怠なまけはてた私の物思が今はもう珈琲の匂にさへ堪へがたいほどの疲れをおぼえる。而してただそこはかとなくアンダンテの夢の調子に堕ちてゆく。
桐の花 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
そういう場合、未成熟なまの娘の心身から、利かん気を僅かに絞り出す、病鶏のささ身ほどの肉感的な匂いが、柚木には妙に感覚にこたえて、思わず肺の底へ息を吸わした。
老妓抄 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
「てめえも見せろ、正金なまで十両、あるか」
醤油仏 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
藁色わらいろ薔薇ばらの花、稜鏡プリズム生硬なまな色にたちまざつた黄ばんだ金剛石のやうに藁色わらいろ薔薇ばらの花、扇のかげで心と心とをひしと合せて、のぎにほひをかいでゐる僞善ぎぜんの花よ、無言むごんの花よ。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
そのほか果実くだもの——その他およそ「生身なまの貨物」だけは、いつまでも帆船のものである。
黒船前後 (新字新仮名) / 服部之総(著)
果実をはじめ、マトン、ラム、ビーフ、バター、ミルク、野菜、魚類等々の「生身なまの貨物」にいたっては、汽船はいけないどころか、汽船によってはじめてこれらの貨物は長距離輸送が可能になった。
黒船前後 (新字新仮名) / 服部之総(著)
故吉田博士は、その地名辞書吉野国樔の条下に、諸国に多き栗栖くるす小栗栖おくるすの名は、『クズ』のなまりにあらずやと疑われ、紀伊国栖原浦に久授呂くずろ宮あり、社伝に国栖人の吉野より来りて祭れるものとなし、今国主宮と訛るという事実を引かれた、またその国主くにし神社の条下には、
国栖の名義 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
ある時はゴーガンの如逞ましき野生なまのいのちに觸ればやと思ふ
和歌でない歌 (旧字旧仮名) / 中島敦(著)
取替えて貰うわけには行かず第一あれ丈の吹手には代りもなし、仕方のないところから和泉屋を説き伏せて白羽二重一匹に金子なまを若干
助五郎余罪 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)