“なま”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ナマ
語句割合
生35.2%
訛21.6%
艶13.7%
怠8.0%
媚6.3%
嬌4.0%
懶3.2%
惰2.4%
腥1.1%
憖1.0%
鈍0.7%
憗0.4%
生魚0.4%
怠惰0.2%
未成熟0.2%
生身0.1%
婉0.1%
嫋0.1%
怠慢0.1%
慦0.1%
懶怠0.1%
正金0.1%
現金0.1%
生硬0.1%
譌0.1%
転0.1%
通貨0.1%
野生0.1%
金子0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
煮(に)るかと云うに、いや生(なま)こそ殊(こと)にうましなぞと口より出まかせに饒舌(しゃべ)りちらせば、亭主、さらば一升まいらせむ、食いたまえと云う。
突貫紀行 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
言葉には少しも地方の訛(なま)りがないが、其顔立と全身の皮膚の綺麗なことは、東京もしくは東京近在の女でない事を証明しているので
濹東綺譚 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
ある夜彼がまた洞穴の奥に、泣き顔を両手へ埋(うず)めていると、突然誰かが忍びよって、両手に彼を抱(いだ)きながら艶(なま)めかしい言葉を囁(ささや)いた。
素戔嗚尊 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
が、畢竟(つまり)は慾張りと怠(なま)け者の熱心さで、氣狂ひ染みた雷同性(らいどうせい)に引摺られて、春の夜の薄寒さも、餓(うゑ)も疲(つか)れも物の數ではありません。
と背後(うしろ)からお才を呼んで、前垂(まえだれ)の端はきりりとしながら、褄(つま)の媚(なま)めく白い素足で、畳触(たたみざわ)りを、ちと荒く、ふいと座を起(た)ったものである。
吉原新話 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
銀鈴のような嬌(なま)めかしい声を出したもんだ。
超人鬚野博士 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
花隈(はなくま)の熊(くま)というと、この辺の漁村や町では、恐(こわ)がられている親分である。もうひとりは生田(いくた)の万とかいう精猛(せいもう)なる懶(なま)け者(もの)であった。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
惰(なま)けものの美術家に縁づいて、若い盛りを嫌(いや)な借金取りのいいわけに過して来た話を、お庄は時々この女の口から聞かされた。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
平和主義を抱ける洋人某、曾(か)つて余と「八犬伝」を読む。我が巻中に入れたる揷画、腥(なま)ぐさき血を見せざる者甚だ尠(まれ)なり。
想断々(1) (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
然し単に一法律家に過ぎぬ私が、憖(なま)じ変な小説を書けば世の嗤(わら)いを招くにすぎないでしょうから、私は今、あなた方の前に事件を有りの儘にお話して見ましょう。
彼が殺したか (新字新仮名) / 浜尾四郎(著)
「——とは叱りましたが、深く思うてみれば、下手(へた)と上手(じょうず)の差。また、無事がつづくほど、人間は鈍(なま)るという。そなたが負けたのは、当り前なことかも知れぬ」
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
否(いいえ)、いつも一人で往復(ゆきかえり)します時は、馴れて何とも思いませんでございましたけれども、憗(なま)じお連(つれ)が出来て見ますと、もう寂(さび)しくって一人では帰られませんから
薬草取 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
もう何も言はずに、源太郎はお文の取り寄せて呉れた生魚(なま)の鮓を喰べてゐた。
鱧の皮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
「怠惰(なま)けるとお見舞申(みまひまを)すぞ。」
麦搗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
そういう場合、未成熟(なま)の娘の心身から、利かん気を僅かに絞り出す、病鶏のささ身ほどの肉感的な匂いが、柚木には妙に感覚にこたえて、思わず肺の底へ息を吸わした。
老妓抄 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
石炭を焚(た)いて臭い煙を吐く蒸汽船に、たとえば茶のような商品は、いかになんでも、積むことができない。そのほか果実(くだもの)——その他およそ「生身(なま)の貨物」だけは、いつまでも帆船のものである。
黒船前後 (新字新仮名) / 服部之総(著)
果実をはじめ、マトン、ラム、ビーフ、バター、ミルク、野菜、魚類等々の「生身(なま)の貨物」にいたっては、汽船はいけないどころか、汽船によってはじめてこれらの貨物は長距離輸送が可能になった。
黒船前後 (新字新仮名) / 服部之総(著)
かなり婉(なま)めいた月見の戯が浜いっぱいに開かれるのだそうである、藻潮を焚いて月を待つという、歌めいた習慣に清三はなにか雅致のある懐しさを感じさせられた。
須磨寺附近 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
嫋(なま)めかしくも媚ある風情を
青猫 (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
「馬鹿め。何をうじうじしているんだ! 秋の夜は長えといっても怠慢(なま)けている中(うち)にゃあ、直ぐ明けるぜ」
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
坊が困るといわれた時には、実はこれ/\と打ち明けて云おうかと思ったが、慦(なま)じい云えばお母(っか)さんや惣吉の為にならんと思って思い切って、心にもない悪体(あくたい)を云って出て来たが
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
そのうちにやや陰影の曇りを煙らした室内の光に懶怠(なま)けはてた私の物思が今はもう珈琲の匂にさへ堪へがたいほどの疲れをおぼえる。而してただそこはかとなくアンダンテの夢の調子に堕ちてゆく。
桐の花 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
「てめえも見せろ、正金(なま)で十両、あるか」
醤油仏 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
つけるからにゃ洗ってありまさあ、しかも今日はちょいとまとまった現金(なま)が入っているはず、親分などが御覧なすったら、ほんの悪戯仕事かも知れませんが、まあお目見得の手土産代り、どうか見てやっておくんなさい
暗がりの乙松 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
藁色(わらいろ)の薔薇(ばら)の花、稜鏡(プリズム)の生硬(なま)な色にたち雜(まざ)つた黄ばんだ金剛石のやうに藁色(わらいろ)の薔薇(ばら)の花、扇のかげで心と心とをひしと合せて、芒(のぎ)の匂(にほひ)をかいでゐる僞善(ぎぜん)の花よ、無言(むごん)の花よ。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
近ごろその草藁(そうこう)を持し来つて余に示す。余巻を開き、細玩するに、複する者は之(これ)を芟(か)り、闕(か)く者は之(これ)を補ひ、譌(なま)る者は之(これ)を正し、綜核究窮、直ちに原書の蘊奥(うんおう)を尽(つく)す。其(その)紹述の功勤めたりと謂(い)ふ可し。
杉田玄白 (新字新仮名) / 石原純(著)
諸国に多き栗栖(くるす)、小栗栖(おくるす)の名は、『クズ』の転(なま)りにあらずやと疑われ、紀伊国栖原浦に久授呂(くずろ)宮あり、社伝に国栖人の吉野より来りて祭れるものとなし、今国主宮と訛るという事実を引かれた
国栖の名義 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
「もう可いからお泣きでない。通貨(なま)が無いからそれを曲入(まげ)て、人身御供(ひとみごくう)を下げておいで、仁三が何か言句(もんく)をいおう。謂ったら私の名をいいな。」薄着になりし情(なさけ)の厚さ。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ある時はゴーガンの如逞ましき野生(なま)のいのちに觸ればやと思ふ
和歌でない歌 (旧字旧仮名) / 中島敦(著)
これは困ったことになったとは思ったものの、取替えて貰うわけには行かず第一あれ丈の吹手には代りもなし、仕方のないところから和泉屋を説き伏せて白羽二重一匹に金子(なま)を若干
助五郎余罪 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)