“なま”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ナマ
語句割合
37.0%
21.0%
14.4%
8.0%
6.9%
3.4%
2.4%
1.5%
0.9%
0.8%
(他:27)3.7%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
不思議に思いて、一の戸に行くなりとなまいらえするに、かれ笑って、ああおのし、まようて損したり、福岡の橋をわたらねばならずと云う。
突貫紀行 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
この魚はなまえを食ってさえも死ぬというのに、なまのままでしばしば食っても遂に害がなかったのは、やはり一種の天命というのであろうか。
その大胆巧妙さといったら実に舌を捲くばかりで、天勝てんかつの手品以上の手練を持っているんだからトテモなまやさしい事で捕まるものでない。
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
武者の鼻息はみな荒い。なまりのある田舎弁で、あたりかまわぬ立ち話だった。——それが、辻々、随所で見かけられた。全都の話題をさらっていた。
そのうちにまた、べつな声で、北国なまりの男が何かしゃべりだした。呉の陣中に北兵がいるのはいぶかしいと蒋幹はいよいよ聞き耳をそばだてていた。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「言葉にも少し甲州なまりがありますのと、それからあいつの手に入墨があるのでございます、そいつが甲州入墨と、ちゃんとにらんでおきましたよ」
大菩薩峠:08 白根山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
その通りは、すべての都会にあるような混乱された一区劃で、新建しんだちで、家そのものさえなまめかしい匂いとつやとをもっているのであった。
幻影の都市 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
顔を挙げて見ると、空の色よりも青い小袖、ほの白い顔があかりの側にパッと咲いて、赤い唇だけが、珠玉の言葉を綴ってなまめかしく動きます。
ただほんのりとともっている、絹行燈きぬあんどんの光の裡に、美しい調度などが、春の夜にふさわしいなまめいた静けさを保っていた。
藤十郎の恋 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
「だっておめえ、らねえもなァ仕方しかたがねえや。——いってえ、あのなまものが、どこでそんなにもうけやがったたんだ」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
二人ふたり息子むすこたちが、こんなふうになまものでありましたから、父親ちちおやはほんとうにこまってしまいました。
星と柱を数えたら (新字新仮名) / 小川未明(著)
けれど、おうさまは、うつくしくいたはなをごらんになったとき、はなというものは、いかにもなまものだとおもわれました。
王さまの感心された話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
杜若かきつばたく墨の、紫のしずくを含んだのであろう、えんなまめかしく、且つ寂しく、翌日あすの朝は結う筈の後れ毛さえ
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ブラテエル、モレエヌ、水蓼みづたで、もつとなまめかしい姿よりも、おまへたちの方が、わたしはすきだ。ほろんだ花よ、むかしの花よ。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
何を思い出したのか一知が、突然に真赤になって自分の影法師を凝視した。その赤い横頬と、青い襟筋が朝日に照されて、女のようになまめかしかった。
巡査辞職 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
学士はフェリックスの前に立ち留まった。「まあ。養生をしなくてはいけないのだ。これから二人でどこか山奥の方へ行ってすっかりなまけるのだね。」
みれん (新字新仮名) / アルツール・シュニッツレル(著)
「一生懸命にやらなくちゃいけないよ。なまけちゃいけないよ。それにうんと急いで、ゆるゆるしていちゃだめだよ。一日おくれたらもう後悔してもだめだ。」
王成 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
普魯西プロシヤのフレデリツク大王は忍び歩きの時でも、いつもにぎふとステツキり廻して途々みち/\なまものを見ると、
今岩内の町に目ざめているものは、おそらく朝寝坊のできる富んだなまけ者と、灯台守とうだいもりと犬ぐらいのものだろう。夜は寒くさびしくふけて行く。
生まれいずる悩み (新字新仮名) / 有島武郎(著)
なまけものの美術家に縁づいて、若い盛りをいやな借金取りのいいわけに過して来た話を、お庄は時々この女の口から聞かされた。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「私がいくら稼いだって駄目です。私はこれまでなまけるなどと云われたことのない女です」お島は涙をきながら言った。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
十七か八くらいの、きりょうのいい女たちで、髪かたちも着ている物も、立ち居、身ぶりや言葉つきも、まるでいろまちの者のようになまめいていた。
着物をぬぎ、寝衣をひっかけたところで、なめらかにひき緊った小さな肩と、くびれた裸の脇腹とが、おどろくほど新鮮になまめかしく感じられた。
さぶ (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
姿は御殿ふうだが、新八を見るまなざしや、その言葉つきは、三年まえに別れたときと違って、それ以前の、なまめかしく色めいたようすに返っていた。
代助はこんな話を聞く度に、勇ましいと云う気持よりも、まず怖い方が先に立つ。度胸を買ってやる前に、なまぐさいにおいが鼻柱を抜ける様にこたえる。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
代助は斯んな話を聞くたびに、いさましいと云ふ気持よりも、まづ怖い方が先につ。度胸を買つてやる前に、なまぐさいにほひ鼻柱はなばしらを抜ける様にこたへる。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
すみ無花果いちじくが一本あって、なまぐさい空気の中に、青い葉を少しばかり茂らしていた。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「しかし、その信心ができぬ。拙者にはこうなるが天罰じゃ、当然の罰で眼が見えなくなったのじゃ、これはなまじい治さんがよかろうと思う」
大菩薩峠:05 龍神の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
然し単に一法律家に過ぎぬ私が、なまじ変な小説を書けば世のわらいを招くにすぎないでしょうから、私は今、あなた方の前に事件を有りの儘にお話して見ましょう。
彼が殺したか (新字新仮名) / 浜尾四郎(著)
しの「今になってなまじいにそんな事はいわねえで、黙っておっんでしまえ、何うぞ若旦那さま、何時までも苦痛をさせたくねえでがんすから首を打落ぶちおとして下せえまし」
「目の覺めるやうな威勢のいゝ仕事は無えものかなア。此節のやうに、掻つ拂ひや小泥棒ばかり追つ掛け廻して居た日にや腕がなまつて仕樣がねえ」
「目の覚めるような威勢のいい仕事はねえものかなア。この節のように、っ払いや小泥棒ばかり追っ掛け廻していた日にゃア腕がなまって仕様がねえ」
そして、直接、敵兵に触れ、悍馬のあしもとに蹴ちらしながら、長柄の刃が血でなまるほど、縦横無尽に、いで行った。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
沼田下新田の角右衞門殿の恩義ではないか、拙者も其の恩義を知らんではないが、御当家へお抱えになると間もなくお国詰を仰付けられ、万里の波濤を隔てゝ居れば、都度々々書面も送らんが、又なまじいに便りを致せば其の多助と云うものが八歳まで育てられた事ゆえ
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
何故私はポチをしつけて、人を見たら皆悪魔と思い、一生世間をめ付けては居させなかったろう? なまじ可愛がって育てた為に、ポチは此様こんなに無邪気な犬になり、無邪気な犬であった為に、遂に残忍な刻薄な人間の手に掛って、彼様あんな非業の死を遂げたのだ。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
いいえ、いつも一人で往復ゆきかえりします時は、馴れて何とも思いませんでございましたけれども、なまじおつれが出来て見ますと、もうさびしくって一人では帰られませんから、御一所ごいっしょにお帰りまでお待ち申しましょう。そのかわりどうぞ花籠の方はお手伝い下さいましな。」
薬草取 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
もう何も言はずに、源太郎はお文の取り寄せて呉れた生魚なますしを喰べてゐた。
鱧の皮 (新字旧仮名) / 上司小剣(著)
もう何も言はずに、源太郎はお文の取り寄せて呉れた生魚なまの鮓を喰べてゐた。
鱧の皮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
生魚なまの盤台から切身でも盗んだか——彦兵衛はむしろ微笑もうとした。
怠惰なまけるとお見舞申みまひまをすぞ。」
麦搗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「珍しくはないがよく怠惰なまけるなあ。」
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そういう場合、未成熟なまの娘の心身から、利かん気を僅かに絞り出す、病鶏のささ身ほどの肉感的な匂いが、柚木には妙に感覚にこたえて、思わず肺の底へ息を吸わした。
老妓抄 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
そういう場合、未成熟なまの娘の心身から、利かん気を僅かに絞り出す、病鶏やみどりのささ身ほどの肉感的な匂いが、柚木には妙に感覚にこたえて、思わず肺の底へ息を吸わした。
老妓抄 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
なまめかしくも媚ある風情を
青猫 (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
「馬鹿め。何をうじうじしているんだ! 秋の夜は長えといっても怠慢なまけているうちにゃあ、直ぐ明けるぜ」
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
なまじい云えばおっかさんや惣吉の為にならんと思って思い切って、心にもない悪体あくたいを云って出て来たが、是まで真実に親子の様に私に目を掛けておくんなすったしゅうとに対して実に済まない、お母さん、其のかわり屹度きっと
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
そのうちにやや陰影の曇りを煙らした室内の光に懶怠なまけはてた私の物思が今はもう珈琲の匂にさへ堪へがたいほどの疲れをおぼえる。而してただそこはかとなくアンダンテの夢の調子に堕ちてゆく。
桐の花 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
「てめえも見せろ、正金なまで十両、あるか」
醤油仏 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
藁色わらいろ薔薇ばらの花、稜鏡プリズム生硬なまな色にたちまざつた黄ばんだ金剛石のやうに藁色わらいろ薔薇ばらの花、扇のかげで心と心とをひしと合せて、のぎにほひをかいでゐる僞善ぎぜんの花よ、無言むごんの花よ。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
そのほか果実くだもの——その他およそ「生身なまの貨物」だけは、いつまでも帆船のものである。
黒船前後 (新字新仮名) / 服部之総(著)
果実をはじめ、マトン、ラム、ビーフ、バター、ミルク、野菜、魚類等々の「生身なまの貨物」にいたっては、汽船はいけないどころか、汽船によってはじめてこれらの貨物は長距離輸送が可能になった。
黒船前後 (新字新仮名) / 服部之総(著)
余巻を開き、細玩するに、複する者はこれり、く者はこれを補ひ、なまる者はこれを正し、綜核究窮、直ちに原書の蘊奥うんおうつくす。その紹述の功勤めたりとふ可し。是に於てか余の喜び知る可きのみ。
杉田玄白 (新字新仮名) / 石原純(著)
故吉田博士は、その地名辞書吉野国樔の条下に、諸国に多き栗栖くるす小栗栖おくるすの名は、『クズ』のなまりにあらずやと疑われ、紀伊国栖原浦に久授呂くずろ宮あり、社伝に国栖人の吉野より来りて祭れるものとなし、今国主宮と訛るという事実を引かれた、またその国主くにし神社の条下には、
国栖の名義 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
ある時はゴーガンの如逞ましき野生なまのいのちに觸ればやと思ふ
和歌でない歌 (旧字旧仮名) / 中島敦(著)
取替えて貰うわけには行かず第一あれ丈の吹手には代りもなし、仕方のないところから和泉屋を説き伏せて白羽二重一匹に金子なまを若干
助五郎余罪 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)