“訛:なま” の例文
“訛:なま”を含む作品の著者(上位)作品数
吉川英治25
野村胡堂9
中里介山8
太宰治7
山本周五郎5
“訛:なま”を含む作品のジャンル比率
社会科学 > 風俗習慣・民俗学・民族学 > 伝説・民話[昔話]23.3%
文学 > 日本文学 > 小説 物語2.9%
文学 > 日本文学 > 評論 エッセイ 随筆0.2%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
マイヤーの講義はザクセンなまりがひどく「小さい」をグライン「戦争」をグリークという調子で、どうも分りにくくて困った。
ベルリン大学 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
女は僅かの間しか奉公して居なかつたが、それと入れ替りに色の黒い、言葉になまりのある、私の一番嫌ひであつた下婢が来た。
(新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
「猫又よ、やよ猫又よと申しければ……」と、先生はその中の一句を、田舍ゐなかなまりの可笑しな抑揚で高らかに讀み上げた。
猫又先生 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
「このいやななまりを持ち出して作者は一体我々に何をしようというのか? 隠語とは全くやりきれない。身震いが出るようだ。」
兄弟ふたりのことばには、どこか奥州なまりがある。吉次の耳にはよく聞き分けられた。なつかしくもあり、不審でもある。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのフランス語の調子は、多少ヌーフシャテル(16)なまりがあったが、それでもりっぱにパリ生れであることを示すものだった。
彼の話の調子は、何かしら變つて響いた——はつきりと外國なまりではないが、と云つて純粹に英國のでもないのであつた。
とある日一人の男が柏屋の店を訪ずれた。年の頃は二十五、六、田舎者まる出しの仁態じんていで言葉には信州のなまりがあった。
日置流系図 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
貫名海屋ぬきなかいおくの「赤壁賦せきへきのふ」をなまったというのですが、それを読んでまた遠い昔のことを思出しました。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
岩手県海岸の大槌おおつちの町などでも、市の日に言葉のなまりの近在の者でない男が、毎度出てきて米を買って行った。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
富山の近傍でチゴノマイ、またはなまってチグルマイなどというのも、かつてそういう舞を、面白く見た者の聯想であろう。
鼓の音が聞えて来たからである——また笛の音が流れて来たからである。さらに、北国なまりを帯びた郷土の唄まで聞えて来たので、
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼は余りのうれしさに、生れ故郷のなまりを、スッカリ丸出しにしながら、身体からだに似合わない優しい声を出した。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
そのせいか時々、中国なまりが出るし、また思いがけない下々しもじものことばなどを戯れにせよよくもてあそぶ。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
土地のなまりの、にいと云う弖爾波てにはが、数珠の数取りの珠のように、単調にしゃべっている詞の間々に、はっきりと聞こえる。
(新字新仮名) / 森鴎外(著)
かんぷりとはその木槌さいづちあたまに付けられた仇名あだなで、つまり「かぶり」というのがなまったのだと思う。
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「イヤース」と、ロンドンのシチーなまりを気取って返事をする慧敏けいびんな義光ちゃんのいつもの声が聞えます。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
文中「ひき移り」を「しき移り」となし、「ひる前」を「しる前」に書き誤っているのは東京下町言葉のなまりである。
濹東綺譚 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
とにかくにこの名は珍しくまた新しく、古い日本語のなまって伝わっているものとはどうしても解しにくいのであった。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
「奧州なまりのある大名と家來で、女中に京女を使つて居るところと言ふと、直ぐ判りさうぢや御座いませんか、旦那」
その芝辻とは実は芝辻子しばずしなまりで、ここに唱門屋敷のあったことは、『雑事記』文明十一年八月七日条に、
俗法師考 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
言葉ことばのいさゝかなまれるも可愛かわゆく、だい一ははなれよき氣象きしやうよろこばぬひとなし
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
言葉はひどいなまりで、半分は聽き取り兼ねましたが、そのメラメラと燃えるやうな眼や、唇の赤さなど、男にしては珍らしい特徴です。
銭形平次捕物控:315 毒矢 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
彼等かれらくちからさうして村落むらの一ぱんからなまつて「おで念佛ねんぶつ」とばれた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
飯盛山のお婆さんの話も半分は分からなかったが、この二古老のなまりはもっと純粋朴訥ぼくとつで分かりにくい。
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
淀君は今日三河の山奥の人々がなまるような口調で静かに物語られた。そのしとやかな美しい言葉と態度には賀川市長も少からず動かされた。
空中征服 (新字新仮名) / 賀川豊彦(著)
「でボースンやカムネ(カーペンター——大工——のなまり)はどうするんだね」波田はボースンや大工が裏切り者になりはしないかを恐れた。
海に生くる人々 (新字新仮名) / 葉山嘉樹(著)
私の記憶が誤りでなくば、女は、たしか、男へ向つて、なまりの多い英語で斯う呟いて見せさへしたのである——
アリア人の孤独 (新字旧仮名) / 松永延造(著)
かんぷりとはその木槌さいづちあたまに付けられた仇名で、つまり「かぶり」というのがなまったのだと思う。
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
先生の詞には東北生れらしい怪しげな田舍ゐなかなまりと、それから起る變てこなアクセントが隱れてゐた。
猫又先生 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
御方は満足らしくうなずいて、言葉しずか、息かんばしい京なまりで、自分の生立ちを物語りだした。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ここへ来てからもう一刻ちかく経つ。おつるは絶えず眼をきながら、少しなまりのある言葉つきで、源次郎とのゆくたてを語り続けていた。
五瓣の椿 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
僕は君がしばらく故郷の部隊にいるうちに、ひどく東北なまりの強くなったのに驚き、かつはあきれた。
未帰還の友に (新字新仮名) / 太宰治(著)
助役をボーシンというのは、汽船用語のボースンがなまったものらしく、一つの組の世話役を意味している。
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
「ひどいやつや。」と僕は、食事をしながら竹さんの言葉のなまりを真似まねてそっとつぶやいた。
パンドラの匣 (新字新仮名) / 太宰治(著)
武者の鼻息はみな荒い。なまりのある田舎弁で、あたりかまわぬ立ち話だった。——それが、辻々、随所で見かけられた。全都の話題をさらっていた。
『御紋は気がつきませんでしたが、言葉のなまりが、何処やら旦那様のお話し振とよう似ておりましたが』
死んだ千鳥 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
(大牟田公平だ。——薄あばたがあって熊本なまりのある同じ年頃の侍といえば、あの公平に相違ない!)
死んだ千鳥 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と何処の国のなまりか、変に抑揚のついた尻上りの口調で言つて、私の背から荷物を取り下してくれた。
乳の匂ひ (新字旧仮名) / 加能作次郎(著)
言語が地方的にいかに異なったなまりを帯びて来ようとも、文字的表現においては常に同一であり得る。
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
そのうちにまた、べつな声で、北国なまりの男が何かしゃべりだした。呉の陣中に北兵がいるのはいぶかしいと蒋幹はいよいよ聞き耳をそばだてていた。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「言葉にも少し甲州なまりがありますのと、それからあいつの手に入墨があるのでございます、そいつが甲州入墨と、ちゃんとにらんでおきましたよ」
大菩薩峠:08 白根山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
級長の、大きいがさつなが、強いカムバァーランドなまりで怒鳴どなりながらやつて來た——
シュンチは日本の古語シジのなまり、シジもカモも共に男の児の前のしるしのことで、そういう名をつけて笑った子供の顔が、目に見えるような気がする。
いつか、「ばあはん」がなまって、「ババン」と呼ばれ、お人よしではあるけれども、親切で、情愛ぶかいヨネは、子供たちに、心底からなつかれた。
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
室町むろまち末の人々にうたい飽かれた歌が、この尾張あたりへ伝って来て、農家の娘の糸繰いとくり歌などになまってよくうたわれている。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
娘の言葉にはロアール地方のなまりがあった。手に男持ちのような小型のふくろを提げていた。
巴里祭 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
ジャネットは此の人混ひとごみにあおられるとすっかり田舎女の野性をむき出しにしてロアール地方のなまりで臆面もなく、すれ違う男達の冗談に酬いた。
巴里祭 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
何しとるというようななまりは、甲州入墨で江戸ッ子をもって任ずるがんりきの地声ではない、特におどしをかす場合のお国訛りに相違ないでしょう。
大菩薩峠:33 不破の関の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
と、助けられた仔細を、なまりのひどい言葉に——しかし心からの歓びを現わして告げるのだった。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
だが、この落ちは、舞子たちにあんまり受けませんでした。というのは、かんじんの、釣がねえのねえは、江戸方面のなまりで、関西では同様の格に用いない。
大菩薩峠:40 山科の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「どうぞお掛け遊ばせ。」ごくはっきりした気持のよい若々しい声で。その口調アクセントには少し外国なまりがあったが、それは全くほんの少しである
わたくしは、さっきから、この番頭の言葉に何かかすかななまりのあるのに気付きましたが、このおすんこによって秋田訛りであるのを観破かんぱしました。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
しかし、それとて、長い時間ではありえなかった。明らかに織田武士の躍る影を見、身近く尾張なまりの聞きつけない怒号を聞き、二、三、こっちを眼がけて、
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、黒眼鏡をかけ、深い髯の中に埋った鴨下ドクトルの顔が、階段の上で待っていた。帆村はドクトルのその声の隅に、何処か聞き覚えのあるなまりを発見した。
蠅男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
おごりませんよ。』と言ふ富江の聲はなまつてゐる。『ホヽヽ、いくら髭を生やしたつて其麽そんな年老としとつた口は利くもんぢやありませんよ。』
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
店員は精々せい/″\京都なまりを出さないやうにして、詳しく新案の談話はなしをした。
「竹さん、これからも、甘えさせてや。」とわざと竹さんみたいな関西なまりで言ってみた。
パンドラの匣 (新字新仮名) / 太宰治(著)
隼人をその後にはなまって「ほいと」と呼ぶ。「ほいと」の中から容貌のすぐれた女の子が、お杉お玉となってあいやまへ現われるというのであります。
大菩薩峠:06 間の山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
下の句は、「に取り着きて言ひし子ろはも」というのだが、それがなまったのである。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
なお一団のものの会話が、中古の雅文体をそのままで、どうかすると近代のなまりが入る。
大菩薩峠:22 白骨の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
一人として薩弁さつべんか、土佐弁、久留米弁くるめべんか、なまりのない者はない。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おんが似ているじゃないか。彼はもう一度、二つの言葉を発音してみた。たしかに舌の廻り具合が似ている。ゼンソクタバコの方が、原音からなまったのだろう。
幻化 (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
ばからしい、とふじこは鼻柱へしわをよせ、お客さんは酔って気がどうかしているのだろう、という意味のことを、ひどいなまりのある言葉でつけつけと云った。
ケイズと申しますと、私が江戸なまりを言うものとお思いになる方もありましょうが、今は皆様カイズカイズとおっしゃいますが、カイズは訛りで、ケイズが本当です。
幻談 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
なまりの多い咽喉で土地の唄をうたっているものに合いの手を入れて、席に戻って来た。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
ここでライオンスは、この男の語調には多分のアメリカなまりがあったと証言している。
女肉を料理する男 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
四国なまりじゃったら舟の中に、一こりや二こり爆薬ハッパは請合います。
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
フランシュ・コンテのなまりがある男らしい声で、気障きざなことを言いたてていた。
九郎助は灯から顏を反けるやうに、たゞおろ/\と辯解するのです。見る影もない中老人で、半面に青痣あをあざのある、言葉の上方なまりも妙に物柔かに聞えます。
わずかに二里を隔てた妻籠と馬籠とでも、言葉のなまりからしていくらか違っていた。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
旅人宿の軒行燈に白い手が灯を入れれば……なまりにもおもむきある客引きの声。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
どうやら西方の大内おおうち勢らしく、聞きれぬ言葉なまりが耳につきます。
雪の宿り (新字新仮名) / 神西清(著)
どうやら西方の大内おおうち勢らしく、聞きれぬ言葉なまりが耳につきます。
雪の宿り (新字旧仮名) / 神西清(著)
このほかシッキムにはチベットからとブータンから移住して来た種族も沢山あって、それらは純粋のチベット語ではないけれどもまずチベットのなまり言葉を使って居る。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
いちへ近づくと、馬蠅うまばえと人間がわんわんいっている。関東なまりの、あらゆる地方語でわめいているので、なんの意味やら分らない騒音になっている。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「外ぢやありませんが、九州なまりのある、二十歳位の若い娘を御存じありませんか」
若黨の金太郎は小氣味の良い男振りでした。色の淺黒い骨組のたくましい、どこか野の匂ひのする男で、言葉の關東なまりにも、何にか知ら小氣味のよさがあります。
軍隊なまりで、運転手が説明した。左手の山脈は、眼にみるやうな、赤い土肌をしてゐるところがある。相当、トロッコは、山の上に登りつめて来た。吐く息が白い。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
是をなまって大和やまとではコバシ、土佐とさではトガシともっている。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
信州なまりの者がたくさん兵の中にいたり、信玄の息がかかっている門徒もんとの僧兵が交じっていたり、また、常に往来した機密文書などが無数に発見され、結局これも
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
という客の、すこしなまりをおびた嗄声かれごえで、なんだか聞きおぼえのあるような気がして、かすかにさげていた頭をあげ室内を見た。ちんまりと洒落しゃれた小座敷。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
けれども、小学校の先生は彼の「言葉尻ことばじりなまり」に気がついた。
食卓に着きいろいろの話の中、当時のことを語られているのを聞いていると、お国なまりのこととて、くは聞き取れませんが、おいどんが、どうとか、西郷従道侯の物語りに
女は早口に、なまりの強い言葉でしやべり、ギター弾きを追ひかへした。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
「ホース」と云ふは、「ハウス」か「ホーム」のなまりであるらしかつた。
釜ヶ崎 (新字旧仮名) / 武田麟太郎(著)
謝罪あやまった、謝罪った。たって手前の方から願いましたものを。千世ちいちゃん、御免なさい、と云って、お前さんもおややまり。」と言憎いから先繰りになまって置く。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
越中えっちゅうではなまってコボレと謂い、またナカマとも謂っている。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
と婆やはなまりのある調子で、町で聞いて来た噂を節子に話し聞かせた。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
その細君は、津軽なまりの無い純粋の東京言葉をつかっていた。酔いのせいもあって、私は奇妙な錯覚を起したのである。ツネちゃんは、色白で大柄なひとだったそうではないか。
(新字新仮名) / 太宰治(著)
ござんす、というところがいく分鼻にかかるなまりを響かせながら、坐っているみんなに挨拶するようにして徳田球一が入って来た。一方の窓を背にして置かれていた小机の前に坐った。
風知草 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
老媼のへやを出でし跡にて、少女は少しなまりたる言葉にて云ふ。
舞姫 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
お伽堂というのは、この女房の名の、おときをちょっとなまったので。
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
これは英語の navel、おへそって字からなまってきたのよ。
(新字新仮名) / 池谷信三郎(著)
なるほど、そう聞けば、この人々には、特有ななまりがある。しかもその訛りはすぐ自分の少年時代を思い出させるなつかしい郷里の土のにおいまで持っている語音ごいんだった。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
これをもっと俗歌的にくだいて、おまけにこの辺の田舎なまりを加え、
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おそらくは『釈日本紀しゃくにほんぎ』に引用する暦録れきろくの、佐祈毘(叫び)が佐伯となまったという言い伝えとともに、一箇の古い説明伝説と見るべきものでありましょう。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
故にもし名を正すとなれば、ヤマセビ・カワセミよりもショウビンの方がいにしえに近く、それがなまりとして排斥せられるとすれば、いっそソニドリと呼ぶより他はないのである。
たとえば同じラテン語が地方によって異なったなまりを帯びて来る。
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
その言葉はなまっているので、何をいうのかく判らないが、ひどく哀しんで憫れみを乞うように見受けられたので、凴はどうしたのかと訊ねると、彼は手をうごかして小声で説明した。