“外套”のいろいろな読み方と例文
読み方(ふりがな)割合
がいとう81.7%
ぐわいたう11.2%
とんび0.6%
コート0.6%
マント0.6%
うはぎ0.3%
ぐゎいたう0.3%
ぐわいとう0.3%
まはし0.3%
まんと0.3%
(他:13)3.8%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
“外套”を含む作品のジャンル比率
文学 > フランス文学 > 小説 物語40.4%
文学 > ロシア・ソヴィエト文学 > 小説 物語17.5%
文学 > 日本文学 > 小説 物語6.3%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
雨はだんだんみつになるので外套がいとうが水を含んでさわると、濡れた海綿かいめんすようにじくじくする。
琴のそら音 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
なるほど充分に雨を含んだ外套がいとうすそと、中折帽のひさしから用捨なく冷たい点滴てんてきが畳の上に垂れる。
琴のそら音 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
どうも日本人の貧弱な顔ぢや毛皮の外套ぐわいたうの襟へおとがひうづめても埋めえはしないやうな気がする。
一番気乗のする時 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
で、その引掴ひつつかんで、シイトをやゝとほくまで、外套ぐわいたう彼方むかうげた。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
じゃ、古い外套とんびだが、あれでも置いとこう、と、私が座敷に戻って来ると、神経質のお宮は、もう感付いたか、ちょいと顔を青くして、心配そうに、
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
其処そこら火灯あかりで、夜眼にも、今宵は、紅をさした脣をだらしなく開けて、此方をあおのくようにして笑っているのが分る、私は外套とんびの胸を、女の胸に押付けるようにして、
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
相手は外套コートの襟を立てて、中折のひさしを目深におろし、色眼鏡いろめがねをかけた若い男です。
九つの鍵 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
中二日置いて、この間からいっていた、外套コートを買ってやる約束があったのでまたお宮に逢いに行った。清月にいって掛けるとお宮はすぐやって来た。
うつり香 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
宗助は清に命じた通りを、小六に繰り返して、早くしてくれとき立てた。小六は外套マントがずに、すぐ玄関へ取って返した。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ところがそれからまた二日置いて、三日目の暮れ方に、かわうそえりの着いた暖かそうな外套マントを着て、突然坂井が宗助の所へやって来た。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
誇りえざりしなるべし、人の外套うはぎ締合しめあはすところより下方したわが目にうつれるものゆたかに三十パルモありき —六六
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
ひぢをまげて外套ぐゎいたうのまゝ、
楢ノ木大学士の野宿 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
途方もない長い外套ぐゎいたうを着、
楢ノ木大学士の野宿 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
〔評〕南洲弱冠じやくくわんの時、藤田東湖ふじたとうこえつす、東湖は重瞳子ちやうどうし躯幹くかん魁傑くわいけつにして、黄麻わうま外套ぐわいとう朱室しゆざや長劒ちやうけんして南洲をむかふ。
金雀花えにしだなか外套まはし羽織はおつたまま、横向よこむきてゐる。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
『其處にゐる軍人の外套まんとからだに。私いさうだんべと思つて探したら、慥かにはあ四十一ルーブルと二十コペエクありましただあ。』言ひながら百姓は、分捕品でゝも有るかのやうに羚羊かもしかの皮の財布を振り𢌞した。
我が最近の興味 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
またわたくしの嫉妬の布地きれぢで、永遠とこしへならぬ聖母さま、おんみの為に、外套まんとおを裁つでござりませう。
汚い外套もじりの襟を立てながら、キュッと唇を噛んでいた。
寄席 (新字新仮名) / 正岡容(著)
己が着てゐた夏外套インバ
都会と田園 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
「勿論。」と外套オウバアコオトの襟を立てる。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
たたずめる人は高等中学の制服の上に焦茶の外套オバコオトを着て、肩には古りたる象皮の学校かばんを掛けたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
三人みたりとも歩始あゆみはじめぬ。貫一は外套オバコオトの肩を払はれて、うしろ捻向ねぢむけば宮とおもてを合せたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
何時も鼠とか薄い茶色の、而もスタイルの舊い古ぼけた外套オバーコートを着てゐるのと、何樣な場合にも頭を垂れてゐるのと、少し腰をこごめて歩くのが、學士の風采の特徴で、學生間には「蚊とんぼ」といふ渾名あだなが付けてある。
解剖室 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
八メートル離れた這松はいまつの根元に、四十五、六歳ぐらいのねず背広、格子縞こうしじま外套オーバアーの紳士がくれないに染んで倒れ、さらに北方十二メートルのところに
棚田裁判長の怪死 (新字新仮名) / 橘外男(著)
「ううん。もう豚公には用はないよ。僕は、彼奴あいつ食余くいあました餌と毒を、手に入れたからね」とそう言って外套オーバーのポケットから、三、四枚の花の様な煎餅せんべいを出して見せました。
とむらい機関車 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
露西亜ロシア人は冬外套シュウバの襟を立てるのでそのために特にこう出来てるんだそうだが、私の考えでは、これは例の過激派ひげを焼かない用心だと思う。
踊る地平線:01 踊る地平線 (新字新仮名) / 谷譲次(著)
ソヴェトのプロレタリアートは雨傘なんてなしで「十月オクチャーブリ」をやりとげた。一九三〇年、モスクワの群集中にある一本の女持雨傘は、或る時コーチクの外套シューバぐらい階級性を帯びるのだ。
三月八日は女の日だ (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
「補祭だつて?」と、語尾を引つぱりながら、南京木綿の表を付けた兎皮の外套トゥループを著こんだ梵妻おだいこくが、啀みあつてゐる女たちに詰め寄つた。
そなたくろ外套マントルほゝばたく初心うぶをすッぽりとつゝんでたも、すれば臆病おくびゃうこのこゝろも、ぬゆゑにきつうなって、なにするもこひ自然しぜんおもふであらう。