“跼”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
かが56.1%
しゃが17.9%
うずく5.1%
うずくま3.6%
せぐくま2.6%
こご1.5%
かゞ1.5%
くぐま1.5%
こゞ1.5%
うづくま1.0%
しやが1.0%
ひざま1.0%
しや0.5%
ひざまず0.5%
ひざまづ0.5%
かがま0.5%
かゞま0.5%
くぐ0.5%
くゞ0.5%
すわ0.5%
つくば0.5%
つくばひ0.5%
ぬ0.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
そして今迄縮み跼(かが)んでゐた力が一齊に地下上天、周圍に對して目ざましい程ずんずん伸び出した。自分は新しく生きる。新しく育つ。
太陽の子 (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
菜葉服の三好と又野が、テニス・コートの審判席の処に跼(しゃが)んでいた。二人の背後(うしろ)にはまだ半枯れのコスモスが一パイに咲き乱れていた。
オンチ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
その中の一人は、我々の依頼者の若い美しい女性で、口にはハンカチーフを巻きつけられ、全く気絶したように、正体もなく崩れ跼(うずく)まっていた。
先に戸口のところに跼(うずくま)って風を避けた二人の者は、まだ居たのかもしれないが、しかしもう私には見えなかった。
孫七牛は、牛舎のなかに眼を閉じて、おとなしく跼(せぐくま)っていた。角の直後の脳天に、まだ黒い血がにじんでいるのを見た。
越後の闘牛 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
漸っとそれが蝙蝠傘(こうもりがさ)の下で、或る小さな灌木(かんぼく)の上に気づかわしげに身を跼(こご)めている、西洋人らしいことが私には分かり出した。
美しい村 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
百松は、萬筋(まんすぢ)の單衣を端折つて、舞臺の上に跼(かゞ)みました。蝋燭をかゝげると、縛られたお村の顏よりは、自分の醜怪(しうくわい)な顏の方が、灯りの眞ん中へヌツと出ます。
背を刺すような日表(ひなた)は、蔭となるとさすが秋の冷たさが跼(くぐま)っていた。喬はそこに腰を下した。
ある心の風景 (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
黒い着物にクツキリと白い襟を見せて、前跼(こゞ)みに歩いて來た花嫁、それが自分の新しい母であるとは、何うしても思はれなかつた。
父の婚礼 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
……こんな処に、うす暗いうすら寒い台所の片隅に、竈(かまど)の前へしよんぼりと跼(うづくま)つて、思ふやうには燃えない炎をさつきからぢつと見つづけて居る自分。
と、さほど大きくもない額の前に跼(しやが)んで眺め入つてゐる。
裸女の画 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
秀子が二人の下部を連れて帰って来て「オヤ浦子さんは私の後でも未だ貴方のお傍へ来ませんか」と云いつつ余の傍へ跼(ひざま)ずいた
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
「熱い日でしたね。病院があんまり暑(あつ)いものだから、とう/\堪(こら)へ切れないで出て来(き)たの。——あなたは又何であんな所に跼(しや)がんで入(い)らしつたの」
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
すでに事態は急迫以上に急迫していたので、跼(ひざまず)いて詳密(しょうみつ)に告げている間もなかった。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
朝に水をかひ、夕に虫をはらふて、而(しか)して、一年なれ、二年なれ、しかる後に静かに其花前に跼(ひざまづ)いて、思へよ、恥ぢよ、悔いよ。
閑天地 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
ぎょろりと周囲を睨(ね)めまわした。おのずから身構えが出来ていた。そして、砂の凹みに足を進めたとき、彼はその目の前に跼(かがま)っている若い女を発見した。一瞬眼をこらして見つめた。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
寒空に袷(あはせ)一枚で乳母車を露店にして黄塵を浴びながら大福餅を燒いて客を待つ脊髓の跼(かゞま)つた婆さんを、皺だらけの顏を鏝塗(こてぬ)りに艶裝(めか)しこんで、船頭や、車引や
崖の下 (旧字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
全身、蒼黒(あおぐろ)くなりその上、痩(やせ)さらばう骨の窪(くぼ)みの皮膚にはうす紫の隈(くま)まで、漂い出した中年過ぎの男は脹(は)れ嵩張(かさば)ったうしろ頸(くび)の瘤(こぶ)に背を跼(くぐ)められ侏儒(しゅじゅ)にして餓鬼のようである。
食魔 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
弥撒(ミサ)を行ふ間は、わが心自づと強く、身も緊(しま)つて、尊い葡萄酒の輝(かゞやき)は眼に満ちわたり、聖なる御油(みあぶら)に思も潤ふが、このわが廊堂の人げない処へ来ると、此世の疲(つかれ)に崩折(くづを)れて、跼(くゞ)まるとも構(かまひ)ない。
法王の祈祷 (新字旧仮名) / マルセル・シュウォッブ(著)
小さい鐘を横にしたような中に、細いカンテラの灯が動いている、その微(かす)かな灯影(ほかげ)の周囲に三四人の兵士が跼(すわ)っていた。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「フフン、犬奴(め)ッ、——猿奴(め)ッ、いえ、犬だって猿だって、お前よりは優(ま)しだよ。人前でこそ男一匹らしい口をきくが、三月前までは私の前に這い跼(つくば)って、散々御機嫌を取ったお前じゃないか」
天保の飛行術 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
矢を番(つが)へ物見安らぐ跼(つくばひ)のよに落居(おちゐ)たる姿よく見む
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
何だか薄気味の悪い言葉だ、併し此の意味も其のうちには分るだろうと、跼(ぬ)き足して此所を立ち去り、見て置いた階段の方へ行ったが、四辺は全くの闇である。
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)