“しゃが”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
26.4%
19.1%
18.8%
蹲踞10.6%
10.6%
車駕4.3%
皺枯2.1%
蹲跼1.5%
跪坐1.2%
皺嗄0.9%
蹲居0.9%
0.6%
咳枯0.3%
嗄枯0.3%
射干0.3%
潜伏0.3%
背屈0.3%
胡蝶花0.3%
著莪0.3%
0.3%
0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
たずね尋ねてとうとう追いついたのだ。彼は主人を認めると、一またぎにとびこんで来た。阿賀妻の足もとにしゃがんで手を貸そうとした。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
「苦しい! 麻痺しびれる! ……助けて助けて!」としゃがれた声で叫んだが、見る見る顔から血の気が消え、やがて延びて動かなくなった。
仇討姉妹笠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
三吉は三升だるをブラ下げて、艪にしゃがみました。五十六七、すっかり月代さかやきが色付いて、鼻も眼も口もしなびた、剽軽ひょうきんな感じのする親爺です。
それから、例のかまちの上の飾台だいの前に立って、何度となく離れたり蹲踞しゃがんだりして眺めていたが、やにわに台の下を覗き込んだ。
杜は、またそこにしゃがんで、棟木の下に隠れている女の手首を改めた。なんだか下は硬そうであるが、とにかくその下を掘り始めた。
棺桶の花嫁 (新字新仮名) / 海野十三(著)
十一月七日の車駕しゃが御到着の日などは、雲もない青空に日がよく照って、御苑ぎょえんも大通りも早天から、人をもってうずめてしまったのに、なお遠く若王子にゃくおうじの山の松林の中腹を望むと
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
この声はさっきの「おい」よりも少し皺枯しゃがれていたから、大方別人だろうと鑑定した。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
私が勝手口の木戸を開けて、河ばたの石の上に蹲跼しゃがみながら、かちゃかちゃとなべを洗っていると、この人が坂の下の方から能く上って参りました。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
猟師に追詰められた兎かなんぞのように、山裾の谿川たにがわの岸の草原に跪坐しゃがんでいる、彼女の姿の発見されたのは、それから大分たってからであった。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
の葉の騒ぐのとは思いながら、澄んだ耳には、聴き覚えのある皺嗄しゃがれた声や、快活な高声たかごえや、低い繊弱かぼそい声が紛々ごちゃごちゃと絡み合って、何やらしきりにあわただしく話しているように思われる。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
三人は大声で笑い興じながらちょうど二人の対岸まで来た二人の此処ここ蹲居しゃがんでいることは無論気がつかない。
富岡先生 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
しゃがんだ。煖炉敷ハースラッグの前でしゅっと云う音がする。乱れた紙は、静なるうちに、惓怠けったるのびをしながら、下から暖められて来る。きな臭い煙が、紙と紙の隙間すきまのぼって出た。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
少女はすこしもはにかまずに彼に答えていた。彼女の声は、彼女の美しい眼つきを裏切るような、妙に咳枯しゃがれた声だった。
燃ゆる頬 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
お常の眉は虫に食われたように半分消えてしまって、右の頬に大きな引釣りが出来たと思うと、その次に行った時は、顔の色が妙に銅色になって、声までが、何となく不気味に嗄枯しゃがれておりました。
高く抽き出でた花はあつまってまぼろしの雲と棚曳き魂魄を匂いの火気に溶かしている。林や竹藪の中にくぐまる射干しゃが、春蘭のような花すら美しき遠つ世を夢みている。
富士 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
天神下の叔父の家の二階に潜伏しゃがんでいる磯野とお増のことが、時々思い出された。お庄は明りがつく時分になると、天神の境内から男坂の方へ降りて行った。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
室の向うの片隅に小さくなって背屈しゃがんで居る、夜前思うた通り脊僂せむしの男、イヤ未だ男とも云い難い十五六の子供であるが、其の穢く汚れて居る事は譬うるに物もない
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
東京ではさほどにも思わない馬酔木あせびの若葉の紅く美しいのが、わたしの目を喜ばせた。山の裾には胡蝶花しゃがが一面に咲きみだれて、その名のごとく胡蝶のむらがっているようにも見えた。
鰻に呪われた男 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
そのゴサン竹の傍にしょうぶも咲けば著莪しゃがも咲く、その辺はなんだかしめっぽい処で薄暗いような感じがしている処であったが、そのしめっぽい処に菖や著莪がぐちゃぐちゃと咲いているということが
初夢 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
銀子は廊下のところしゃがんでいたが、内へ入って坐った。
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
堀端に在る輪田夏子の墓の前へしゃがみ、二十分ほど泣いて居ました、爾して堀に向かった方の窓を開き其の中へ這入って了いました、何でも玄関からでは人に見られるから、誰にも知らさぬ様に
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)