“踞”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
しゃが29.2%
うずくま17.0%
しやが14.2%
つくば8.5%
うずく7.1%
かが5.7%
うづく4.7%
きょ2.8%
うづくま2.4%
きよ1.9%
こゞ0.9%
しや0.9%
ひざまず0.9%
うず0.5%
かゞ0.5%
こご0.5%
こしか0.5%
すわ0.5%
せぐゝま0.5%
つくぼ0.5%
ひざまづ0.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
笏は、何ごとかを言おうとしたが、童子はものをも言わずにしゃがみ込んだが、すぐ一抹いちまつの水煙を立てると、その水田の中へ飛び込んだ。
後の日の童子 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
……続くと、一燭いっしょくの電燈、——これも行燈にしたかったと言う——朦朧もうろうとして、茄子の牛がうずくまったような耳盥みみだらいが黒く一つ、真中に。
露萩 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
泥濘ぬかるみ捏返こねかへしたのが、のまゝからいて、うみ荒磯あらいそつたところに、硫黄ゆわうこしけて、暑苦あつくるしいくろかたちしやがんでるんですが。
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
火鉢の向うにつくばって、その法然天窓ほうねんあたまが、火の気の少い灰の上に冷たそうで、鉄瓶てつびんより低いところにしなびたのは、もう七十のうえになろう。
国貞えがく (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
白帆は早やなぎさ彼方かなたに、上からはたいらであったが、胸より高くうずくまる、海の中なるいわかげを、明石の浦の朝霧に島がくれく風情にして。
悪獣篇 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
静かに線路に下り立った彼は、身をかがめてレールに耳を当てた。遠い黄泉よみの国からかでもあるように、不思議な濁音が響いて来る。
自殺を買う話 (新字新仮名) / 橋本五郎(著)
「馬車が出ます/\」と、炉火ろくわようしてうづくまりたる馬丁べつたう濁声だみごゑ、闇のうちより響く「吉田行も、大宮行も、今ますぐと出ますよ」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
彼は今朝尋ねたりし阿園がくびれたる死骸しがいを見しなり、げに昨夜家を出て、六地蔵堂の松樹に縊れし阿園は、今その家の敷居にきょしてすすれる里方の両親の面前に
空家 (新字新仮名) / 宮崎湖処子(著)
何だか私は今頃貴方が冷い御飯に水をかけてお塩をかけて、埃りだらけの布団の隅にうづくまつて食べて被入る様な気がしてなりません。さうですか? 私は見たい。
獄中の女より男に (新字旧仮名) / 原田皐月(著)
枝折戸しをりどぢて、えんきよほどに、十時も過ぎて、往来わうらいまつたく絶へ、月は頭上にきたりぬ。一てい月影つきかげゆめよりもなり。
良夜 (新字旧仮名) / 徳冨蘆花(著)
左の建物の壁の根に、三つ股になつた、ひよろ/\の低い無花果の木が、上の方に僅かの小さい若芽を附けて、置き忘れられたやうに乏しくこゞまつてゐる外には、何のうわつてゐるものもない。
女の子 (旧字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
「その通りだよ兄哥あにき、矢は上向きに突つ立つて居る、——しやがんだところを後からやられなきや、こんな工合になるわけはねえ」
その狷介不羈けんかいふきな魂と、傲岸不屈ごうがんふくつな態度は、時には全ウィーン人を敵としながら、全世界の人を膝下しっかひざまずかしめたのである。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
壮大だと思った白河内岳も、ここから見ると、可愛そうなほど、低くなって、下にうずくまってしまった。
白峰山脈縦断記 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
くもをかくしたさくら樹立こだちも、黒塀くろべいくらつた。舊暦きうれきぐわつ二十一にちばかりの宵闇よひやみに、覺束おぼつかない提灯ちやうちんひとふたつ、をんなたちは落人おちうど夜鷹蕎麥よたかそばかゞんだかたちで、溝端どぶばたで、のどにつかへる茶漬ちやづけながした。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
女中に職すぎるのが、こごんで、両膝で胸をおさえた。お端折はしょり下の水紅色に、絞りで千鳥を抜いたのが、ちらちらと打水に影を映した。
雪柳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
畫工は絲の端を控鈕ボタンの孔に結びて、蝋燭を拾ひ集めたる小石の間に立て、さてそこにうづくまりて、隧道の摸樣を寫し始めき。われは傍なる石にこしかけて合掌し、上の方を仰ぎ視ゐたり。燭は半ば流れたり。
阿弥陀あみだいただけるもの、或は椅子に掛かり、或はとこすわり、或は立つて徘徊はいくわいす、印刷出来しゆつたいを待つ徒然つれづれに、機械の音と相競うての高談放笑なかなかににぎはし
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
さわぐまい、時々とき/″\ある……深山幽谷しんざんいうこくへんじや。わかひとたれかほ姿すがたも、かはるかんねえだ! おどろくとくるふぞ、ふさいでせぐゝまれ、しやがめ、突伏つゝふせ、ふさげい。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
御帰おかえりッ。」と書生が通ずれば、供待ともまちの車夫、つくぼうて直す駒下駄を、爪先に引懸ひっかけつ、ぞろりとつまを上げて車に乗るを、物蔭よりおはしたのぞきて、「いつ見ても水が垂るようだ。」
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
はじめ二目にもく三目さんもくより、本因坊ほんいんばう膏汗あぶらあせながし、ひたひ湯煙ゆけむりてながら、たる祕法ひはふこゝろむるに、僅少わづかに十餘子じふよしばんくや、たちまけたり。すなはひざまづいてをしへふ。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)