“蹲踞”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
しゃが28.5%
うずくま17.9%
しやが17.1%
うずく9.8%
うづくま4.9%
そんきょ4.9%
そんこ2.4%
はひつくば2.4%
かいつくば1.6%
うづく1.6%
しゃがん1.6%
そんきよ1.6%
かしこま0.8%
つくば0.8%
うづくまり0.8%
つくな0.8%
つくばい0.8%
つぐみ0.8%
ゐすくま0.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
阿呆陀羅経のとなりには塵埃ほこりで灰色になった頭髪かみのけをぼうぼうはやした盲目の男が、三味線しゃみせんを抱えて小さく身をかがめながら蹲踞しゃがんでいた。
深川の唄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
つくねんと蹲踞うずくまった揚句やっぱり望みを達せずに、空しく木屋町へ戻る事になったら、却ってあきらめが着いてせいせいするだろう。
恐怖 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
四ツばひになつて雑巾掛をする時、井戸端で盥を前にして蹲踞しやがむ時、また重い物の上下しに上気じやうきしたやうに頬を赤くする顔色などを見る時
人妻 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
妙子がそれを取次ぐために這入って行くと、病人の寝台の頭の方に嫂と妹が蹲踞うずくまってい、脚の方に老人夫婦がいた。
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
おとなしく真中に蹲踞うづくまつてゐないとすぐひつくり返りはしないかと思はれるやうな舟。そればかりではありません。
一少女 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
片手を岸なる松柳にかけたるもの、足を団石だんせきの上に進め、猿臂えんぴを伸ばせる者、蹲踞そんきょして煙草を吹く者、全く釣堀の光景のまゝなり。
東京市騒擾中の釣 (新字旧仮名) / 石井研堂(著)
恨めしそうに跡を目送みおくッて文三は暫らく立在たたずんでいたが、やがて二階へ上ッて来て、まず手探りで洋燈ランプを点じて机辺つくえのほとり蹲踞そんこしてから、さて
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
その折ある地方で、皮膚はだの赤茶けた土人が、地面ぢべた蹲踞はひつくばつて玉蜀黍たうもろこし煙管パイプやにくさい煙草をすぱすぱやつてゐるのを見かけた。
坊さんも坊さんなら、居士も居士だと思つた。で、いぬのやうに次ぎの蹲踞かいつくばつて訳を訊くと居士はけろりとした顔で言つた。
取り大岡殿へ差出せしかば大岡殿此久兵衞は浪人らうにん文右衞門がかねかゝあひの者なればとて直樣すぐさま白洲へ呼出され調べにこそはかゝられけれれば久兵衞は繩付なはつきまゝ砂利じやりうへ蹲踞うづくまるに大岡殿是を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
見ると剥げちょろけた塔のような建物を背にして、石段の上に五六人の男が立ったり蹲踞しゃがんだりしている。
消えた霊媒女 (新字新仮名) / 大倉燁子(著)
こしをだにくる所もなく、唯両脚を以てたいささへて蹲踞そんきよするのみ、躰上に毛氈もうせんと油紙とをかふれども何等なんらこうもなし、人夫にいたりては饅頭笠まんじうがさすでに初日の温泉塲をんせんばに於てやぶ
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
たづねらるゝやと白洲しらす蹲踞かしこまる時に大岡殿平左衞門を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
主人は月の二十一日には、きまつたやうにお大師参りをする。お大師参りの途中には、薄汚い、物貰ひが居て、蝦蟇がまのやうに土の上にかい蹲踞つくばつてゐた。
願ふことはよもあるまじ然らば憑司はうたがひなきにあらじ依て手錠てぢやう申付ると有ければ憑司は戰々わな/\ふるひ出し何か云んとする所だまれと一せいしかられて蹲踞うづくまりしぞ笑止せうしなる又大岡殿は榊原家の留守居るすゐへ向はれ此度の一條吟味懸ぎんみがかり三人の役人は其方へ屹度きつと預けおつて呼出すべしと言渡いひわたされたり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
禪頂小屋に蹲踞つくなんでゐて見ても何うすることも出來ないほど寒いので、急いで下りて來て、志津の小屋で一夜を過した。
日光 (旧字旧仮名) / 田山花袋(著)
蹲踞つくばいの水に薄氷が張っている。芝生の広い庭のむこうに早春の海。
喪服 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
すかし見るに生憎あひにく曇りて黒白あやめも分ず怖々こは/\ながら蹲踞つぐみ居ればくだんの者は河原へあがより一人の女を下しコレ聞よ逃亡者かけおちものと昨日から付纒つきまとひつゝやう/\と此所へ引摺ひきずこむまでは大にほね
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
始め與力同心列をたゞして嚴重に居並ゐならびければ吉五郎は彌々いよ/\いろ蒼然あをざめあはまでふるへながら家主のあと蹲踞ゐすくまるにぞ越前守殿是を見られ是へ/\と申さるゝに吉五郎は今にもくび
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)