蹲踞はひつくば)” の例文
その折ある地方で、皮膚はだの赤茶けた土人が、地面ぢべた蹲踞はひつくばつて玉蜀黍たうもろこし煙管パイプやにくさい煙草をすぱすぱやつてゐるのを見かけた。
そここゝの樹の下に雄雌をすめすの鶏、土を浴びて静息じつとして蹲踞はひつくばつて居るのは、大方羽虫を振ふ為であらう。丁度この林檎畠を隔てゝ、向ふに草葺くさぶきの屋根も見える——あゝ、お妻の生家さとだ。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
主人あるじは殿様のお通りだと聞いて、その仕事着のまんま、屋根から滑り下りて門外もんそと蹲踞はひつくばつた。少将はじろりと流し目に埃だらけの頭を見た。そして