“つくばい”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
筑波井20.0%
石泉20.0%
踞居20.0%
蹲跼20.0%
蹲踞20.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
宗右衛門もふと奥庭の奥深くへ眼をやつた。白無垢しろむくのお小夜とお里が、今、花のまばらなくちなしの陰から出てつはぶきに取り囲まれた筑波井つくばいの側に立ち現はれたところである。
老主の一時期 (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
奥庭の小径こみちの奥筑波井つくばいの向うのくちなしすき、低い風流な離れ家のむね。それが何度一日に彼の目につくことであらう。結局彼はいつとはなしに娘達と遠ざかつて行つてしまつた。
老主の一時期 (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
父親は、蜘蛛の巣に羽ばたく虫を払い、手を石泉つくばいで漕いだ。
後の日の童子 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
威儀いかめしく太刀たちき、盛装してづ。仕丁相従い床几しょうぎひっさづ。神職。おごそかに床几にかかる。かたわらに仕丁踞居つくばいて、棹尖さおさきけんの輝ける一流の旗をささぐ。——別に老いたる仕丁。一人。
多神教 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
わたくしは蹲跼つくばい(石手洗い)というものを愛している。形のよい自然石に蜜柑型の底ひろがりの月がたの穴をうがった、茶人の愛する手洗石である。
庭をつくる人 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
蹲踞つくばいの水に薄氷が張っている。芝生の広い庭のむこうに早春の海。
喪服 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)